精神障害(疾患)から職場復帰後の上手なコミュニケーション方法

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2021/2/15
2021/9/14

精神障害(疾患)から職場復帰後の上手なコミュニケーション方法

はじめに

精神疾患や障害がきっかけとなった休職から職場復帰する際、不安や緊張が強くなりがちですよね。 しかし、十分に休養期間を取って、主治医や会社とも相談や準備をして仕事復帰ができれば、不安になりすぎる必要はありません。 自分自身が仕事復帰をした際に、肩に力を入れすぎず、自分らしく働いていくためには、どのような準備や工夫をしていったら良いのか、ここでは主にコミュニケーションといった側面から見ていきましょう。

 

復職に際して、まず注意する点

精神障害(疾患)から職場復帰後の上手なコミュニケーション方法

復職に向けて準備を進める際は、また同じような事が起こらないように自分なりの対策や対処法を持っておくことがとても大切です。元々仕事を休むことになった理由や背景はどういったことだったでしょうか。 何らかのアクシデント、人間関係、長時間労働や働きすぎ、業務内容のミスマッチなど、それぞれになんらかの働きづらさがあったことかと思います。 休職は、こういった働きづらさを柔らかくして復帰後に自分らしく働いていくために、仕事から物理的に離れ必要な医療を受け、十分に休息を取りながら、自分自身の状態をよく知っていく時間として使える期間です。
この期間に焦って早く復帰しなければと思ったり、継続的な服薬ができず体調がなかなか整わなかったりすると返って休まなければならない期間は長くなってしまいます。無理に仕事復帰をしたとしても、またうまくいかなくなってしまう可能性も少なくありません。

いろいろな疾患や障害があるので一概には言えませんが、例えばうつの場合50%の人が再発をする可能性があると言われています。自己判断で治療をやめてしまったり、職場との環境調整がうまくいかないままストレスの強い職場に復帰してしまうことで、再発の可能性は高くなってしまいます。

復職をする際には会社と復帰後に、どのような形で仕事をしていくか十分に話し合っていくことが必要です。 そのためには、やはり自分自身にとって何がストレスだったのか、どういうことを辛く感じてしまっていたのかなど、休職に至った際の状況を振り返り棚卸しておくことが必要になります。

ただ、そういった辛い状況のことを振り返るには、ある程度心の体力が必要でそれを考えること自体がストレスに感じてしまうことがあります。 まずは十分に休息を取りある程度体力も気力も回復をして、主治医と復帰についての話ができるようになってから、実際どのように仕事に戻っていくのか考えるようにしていくのが望ましいです。

体調が整ってきたら主治医のアドバイスなどをもとに、仕事復帰に向けた具体的なリハビリテーションを始めましょう。 リハビリテーションでは自分の考え方の癖を知ることや、自分にとってどういった環境がストレスになりうるのかということを理解していくことが必要になります 。

それが、実際に仕事に戻っていく際にどういう状況であれば自分は力を発揮して仕事をしていることができるのか、過度なストレスを感じることがなく業務をすることができるのか、という話し合いができる準備となります。所属する会社の担当者や上司と電話や面談という形で復帰に向けての相談をすることが多いかと思いますが、この時に過度の遠慮はせずに希望を伝えることが大切です。
もちろん全ての要望が会社の中で通るわけではないかと思いますが、一定のストレスがある「職場」という場面に戻る時に、自分にとっては何が鍵になるのか、ということを自分自身が理解しておくことは自分を守ることにもつながります。なかなか自分の希望を会社に伝えるのが難しい、遠慮してしまうという場合は主治医やリワークのスタッフ就労支援の専門家などに相談をして、どのような形で会社に伝えれば良いのか相談してみるのもおすすめです。 言葉だけで伝えるのが難しい場合には紙に書くなどして準備しておくことも役に立つでしょう。

 

復職後のコミュニケーション

精神障害(疾患)から職場復帰後の上手なコミュニケーション方法

仕事復帰をしてからは、例えば定期的に上司と体調や業務内容に関して情報共有をしたり、相談ができる場があると安心です。
復帰前に相談をしていたような体制が実現できていたとしても、実際に仕事をしてみると「ここはもう大丈夫だなぁ」とか「こういう場面は辛いからやり方を変えたい」というようなことも出てくるかと思います。復帰前に話していた希望が全て通らずに、職場のやり方に適応せざるを得ないという場合でも、その中で難しさが出てきたときに定期的に相談をしたり話せる場があると、気づいたことをすぐに共有することができ、対処していくことが可能になります。たとえすぐに方法が変えられなかったとしても、自分の状態や気持ちを上司が把握できているという状況を作ることができ、一人で抱え込まない状態を作ることができるでしょう。

また職場に何らかの合理的配慮を実施してもらっている場合、上長だけではなく一緒に働く同僚の方とも情報共有をしておく必要があります。 復帰の際には、ミーティングの場など自分の体調や今後の見通しに関して共有しておけると、例えば業務の役割分担などで影響がある職場の方の理解にもつながり、周囲のストレスを減らしていけることにもつながります。 なかなか自分では言い出しにくいことではあるかもしれませんが、必要であれば合理的配慮検討シートなどを準備して配布した上で説明することも助けになるかもしれません。 合理的配慮に関しても業務をする中で新しく必要になった配慮や変更点などが出た場合には、その都度共有する時間を設けることも大切です 。

忙しい上司になかなか声をかけづらいなどの悩みが出てくるかもしれません。 そういった状況を回避するために事前に定期的に話せるような場を作ってもらうことや自分が困った時体調が悪くなった時にはメールやメモなどで共有するようにするなど、上司と共通認識を持ったルールを作っておくことも良いでしょう。

一緒に働いている上司や同僚の人に直接相談をするのがやはり難しいといった場合には、会社の相談窓口を利用したり、通院している医療機関の主治医やスタッフ、就労支援の専門家もしくは話しやすい家族など、プライベートのつながりなども積極的に利用しながら自分が感じるストレスを柔らかくしていける方法を見つけてみてください。

 

まとめ

話の内容によって話しやすい相手が変わったり、自分の体調が悪くなった時にはよりたくさんのサポートが必要になったりと、その時々で状況は変化していくと思います。 悩みや不安が生じた時に自分だけで抱えずに、いかに周囲の人や情報、社会資源を頼ったり、甘えたり、また必要な時には少し休息をできるかどうかということが、長く自分らしく働き続けるためには大切なポイントです。コミュニケーションの方法は直接話すと言う手段だけには限りません。メールやチャット、紙に書く、電話をする、またそういった話す内容を事前に自分で考えてまとめておく、など自分に負荷をかけない方法を見つけてみてください 。

うまくいかない場合の多くは自分の理解が十分でないために適切な配慮を求めることができなかったり、自分の困りごとに気づけていても、遠慮や自信のなさから、上手に人に頼れないという結果であることも多いです。一方で、会社側の理解や配慮が不十分であるという場合もあるかと思います。なかなか解決にいたるのが難しいこともあるかもしれませんが、一人で抱え込まないような対処の手段を持っておくのが望ましいです。

自立は誰にも頼らずに一人で何でもできることではありません。 自分に苦手なことや弱いところがあったとしても、周囲に頼ることによって自分の力が発揮できるようになる。それが自立です。そのためには、周囲と必要なコミュニケーションをとっていく必要が出てきます。ぜひ色々試して自分に合った、自分を楽にするコミュニケーション方法を見つけてみてください。