うつ病になりやすい職場環境はあるのか?

復職後にお悩みの方
うつ病
職場
2021/8/12
2021/8/16

どんな仕事でも、ある程度心身にストレスはかかるものですが、ストレスのかかりやすい職場環境であれば、うつ病などの精神疾患になりやすくなります。

ここでは、うつ病になりやすい人や、職場環境についてみていきましょう。

 

職場環境に影響を受けて、うつ病になりやすい人の特長

うつ病は、心理的なストレスだけではなく、もともと持っている気質、他の病気の症状として、生まれ育った環境など、さまざまな要因があると考えられています。

中でも、うつ病になりやすいタイプとして、「まじめで責任感が強く、人あたりもよい人」が多いと言われています。

仕事の場面では、以下のような特徴がある人といえます。

  • 丁寧に完璧な仕事を目指していて完成度の高い仕事をする
  • 納得いくまで仕事に取り組む
  • 白か黒をはっきりさせたい
  • 優先順位を付けられずに全部をがんばりがち
  • 周囲との和を重んじて、他者に配慮をし円満な関係を保とうと気を遣う
  • 他人の評価がとても気になる
  • 責任感が強く柔軟性が低い人

これらの特徴は、仕事の面で全て悪く出てしまうわけではありません。むしろ仕事で評価されることもあるでしょう。

一方、完璧主義なところがあり、思わぬトラブルや変化が起こった時に臨機応変な対応が難しかったり、人に気を遣って抱え込んだりしてしまうことが多いです。人から頼られると断りづらく、がんばりすぎてしまう傾向もあります。自分のキャパシティの限界を適正に判断することが苦手で、その結果として自分の限界を超えてしまうことがあります。

 

 

どんな職場環境でうつ病が発生しやすくなるのか?

もしうつ病になりやすい気質がある人でも、どんな職場でもうつになるわけではありません。逆にうつ病になりやすい気質がなかったとしても、あまりに合わない環境にいればうつ病になってしまうこともあるでしょう。

うつ病にかかりやすい職場環境としては以下のような特徴があげられます。

  • 過度に効率・利益を重視している
  • 残業が多く長時間労働となってしまう
  • 過度に業務量が多い
  • やりがい、ビジョンがない
  • 夜勤がある、シフト制など生活リズムを整えづらい

今は、どの企業でも効率が重視され、IT化によりその環境も整備されています。どんどん便利になりオンラインで仕事もできるようになっている一方で、生身の人とのコミュニケーションが減り心の健康が損なわれる場合があります。また、売上のノルマが高すぎたり、業務量が自分のキャパシティいっぱいいっぱいでも、常に緊張感のある状態となってしまいストレスが高くなります。

逆に、会社に明確なビジョンがなく、どこへ向かって仕事をしているのか分からないといった場合や、裁量がなくやりがいを感じられない仕事も自己肯定感を感じにくい職場といえます。一見こちらは仕事が楽そうに感じますが、手ごたえがなく、なぜここにいるのか分からないという状況はストレスになるものです。

夜勤やシフト制など、不規則な仕事が長く続くような職場でも、生活リズムが崩れることで心身のバランスが崩れやすくもなります。

 

 

うつ病になりやすい職業はあるのか?

令和2年の「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の請求件数の多い職種は、1.一般事務2.介護サービス職業従事者 3.保健師,助産師,看護師 4.商品販売 5.営業職となっています。それぞれ見ていきましょう。

一般事務職

一般事務職は、総務・人事・経理などの事務職を指します。

事務職は、早く細かい作業を求められ、ミスの許されない作業も多い一方で、給与は他職種に比べると一般的に低くなりがちです。大きく評価されることが少なく、仕事の内容も変化がないこともあります。逆にマルチタスクで負荷が強い場合もあるでしょう。

また、人間関係も社内のみになりがちで、上司や同僚と合わなければ人間関係のストレスが固定しやすい職種です。

販売・営業職

販売・営業職は、多くの場合売上目標があり、常にプレッシャーを抱えている状態です。さらに上司からのプレッシャーや同僚との競争などが加われば安心して働くことが難しくなってしまいます。

販売職は仕事がシフト制で体調管理がしにくく、プライベートの時間を確保しにくいという特徴もあります。

医療福祉関係職

特に介護の現場では慢性的な人不足であり、入所施設だと夜間勤務もあることから長時間労働になりがちです。また、人をケアする感情労働で心理的ストレスが溜まりやすくバーンアウトしてしまうことがあります。

看護師など医療職でも、同じく感情労働に加えて医療というミスのできない仕事のプレッシャーや、夜勤や緊急呼び出しなどで不規則な生活となりがちです。

中間管理職

職種に限らず中間管理職はうつになりやすいポジションと言えます。管理職ではあるものの、上司からのプレッシャーや、後輩のマネジメントや育成、サポートなど状況的に挟まれるポジションとなり自分の意見が言いにくい立場です。また、プレイングマネジャーとして自らもノルマを持っている場合もあり、業務量が多くなりがちです。

また、

  • 全上司や同僚とのトラブルや、ハラスメント、いじめやいやがらせを受けたなど対人関係の問題
  • やりがいのない仕事や、自分のスキルに見合わないレベルの高い仕事など、業務とのミスマッチ
  • 仕事内容ががらりと変わった

なども、精神障害を生じた出来事として回答が多くなっています。

 

 

職場環境が変わることの多い時期に注意

うつ病は、大きな環境変化により引き起こされることも多い病気です。仕職場では、人事異動や職場の対人関係、担当する業務の変化などがその例です。いくつかの要因が重なることも多いでしょう。

そのような職場の変化は、ストレスになりますが「社会人であればありうること」と適応しようと頑張る人が多いです。

周囲の期待にこたえなければならないという気持ちが我慢につながったり、想像していたことと違う状況になった場合は、どう対応したらいいか分からなくなります。客観的に自分の状況を判断するのが難しくなるのです。

これは特段うつになりやすい気質がなかったとしても誰にでも起こりうる状況です。

 

 

まとめ

自分がいる職場環境や自分の状態は、客観的に捉えにくいものです。

もし、自分自身がいる職場環境に不安や不満を感じた場合は、同僚も同じように感じている場合があります。特に身近な同僚とうまくいかない場合はストレスも高くなるでしょう。場合によっては休職や退職、転職が望ましい場合もあります。

その職場でどの程度ストレスを感じるかは、人によって違います。問題は個人よりも環境とのマッチングによる場合が多いので、もし今そのような場にいる場合には、我慢しすぎず、信頼できる他者に相談してみてください。