同僚にうつ病の様な症状がみられる際の接し方とは?絶対にしてはいけないNG行為とは?

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うつ病
コミュニケーション
2021/9/15
2021/9/13

同僚にうつ病の様な症状がみられる際の接し方とは?絶対にしてはいけないNG行為とは?

うつ病は一般的な病気になってきたとはいえ、身近な人がうつ病になったと聞いたら、戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。

うつ病は、風邪などの他の病気と同じように症状が徐々に出る時期、ひどくなって辛い時期、だんだんと良くなって通常の社会生活が可能になっていく時期に渡って、それぞれ対応の仕方が変わってきます。
一緒に働いている人や家族など身近な人は、うつ病がどのような病気なのか正しく知ることによって、本人を傷つけず、必要な対処ができるようになります。

ここでは、実際にどのような対応をしたらいいのか見ていきましょう。

 

 

基本的に「頑張れ」はNG

同僚にうつ病の様な症状がみられる際の接し方とは?絶対にしてはいけないNG行為とは?

うつ病は、いっぱいいっぱい頑張った結果であることが多いです。
傍からみていると、人はギリギリまで他人から見ても大丈夫なように見えてしまい病気や何らかの問題を抱えている、ということは見えません。その結果、「最近ミスが多いよ」「ぼーっとして、気合いが足りないんじゃない?」というような見え方をされてしまうことがあります。本人すらそう思っている場合があります。

しなければならないのは、頑張ることではなく、休むことです。

うつ病になりうる環境要因として、仕事の場面であれば、 長時間労働や、多すぎる業務量、人間関係、ハラスメント、異動などがストレスになりやすいと言われています。

一見喜ばしい出来事に思える昇進も大きなストレスの1つになりえます。また、気分が落ち込むような明らかなストレスが思い当たらないこともあるのに、うつ病の症状が出て診断されることもあるのです。

特に、仕事の場合は給料が発生し、誰もがある程度「しなければならない」と責任感を持って取り組むことが多いため、緊張感が発生しやすいです。

そこに、何らかのストレスが生じた場合でも、「仕事だからなんとかやらなきゃ」とストレスを感じている自分を十分にケアすることができずに、気負って働き続けるうちに、「働きすぎて身体の調子も悪く、ケアレスミスも増えてきた・・」「眠れない」という具体的な症状が出てくることが多いです。

その変化はグラデーションであり、本人も何が起こったのか冷静に理解するのが難しいこともあります。
それくらい脳が疲労している状態なのです。

 

 

正しい知識をつけよう

うつ病は、脳の病気で、気分障害の一つです。

一日中気分が落ち込んでしまう、好きなことにも興味を持てないという精神症状や、眠れない、食欲がないなどの身体症状が現れて、仕事だけではなく、日常生活にも大きな支障が生じます。

発症の原因はいまだにはっきりとは不明で、ストレスを受けやすいまじめな性格などの生物学的要因や心理学的要因と、外的なストレスなどの環境要因が作用することで発症すると考えられています。

うつ病になると、客観的にものごとを判断する力も低下してしまうため、マイナス思考から抜け出せなくなったり、普段なら乗り越えられる問題も、実際よりもつらく感じて対処が遅くなったり、注意力が発揮できなくなります。

普段は気さくにできるコミュニケーションもぎこちなくなり、表情は暗いことも多いです。眠れない、胃が痛い、アルコールを飲みすぎるという症状が出る場合もあります。

このようなうつ病の治療の基本は、しっかりと休養をとることです。

仕事を休職し、心身の休養がしっかりとれるように環境を整えるように精神科医から指示されることが多いでしょう。場合によっては入院し、投薬治療やカウンセリングなどのサポートが必要な場合もあります。

本人が気兼ねなく休めて、安心して休養できる環境が必要です。1か月~時には、年単位に渡って休むのが必要なこともあります。

 

 

短期的な視点ではなく長期的に考えて

同僚にうつ病の様な症状がみられる際の接し方とは?絶対にしてはいけないNG行為とは?

休むとは、ただ職場を離れるだけではなく、心身ともに疲れているところから徐々に回復し、リハビリテーションを受け、また社会復帰を目指していくという過程です。

仕事ができるようになったといっても、前と同じようなやり方を続けてしまうと、またうつ病が再発してしまう可能性もあります。

休職期間が1か月あったとしても、最初の1週間は仕事が気になって休めず、最後の1週間は仕事復帰に向けてまた緊張してくるなど、あっという間に過ぎてしまいます。

長い休職期間が必要な場合は、それだけ状態が深刻ともいえ、十分に身体と心を休めて、ある程度体力や気力が戻ってきてから、本人が自分自身と向き合うような時間が必要になります。今後無理なく働けるように、カウンセリングを通して自分の性格や生活を見直したり、病気のことを理解していく認知行動療法などのリハビリテーションを行う場合もあります。

うつ病は太陽にあたったり身体を動かすことが改善の役に立つと言われており、散歩をしたり適切な運動をするなど身体的なリハビリテーションも必要です。
そのような過程を経て、主治医の判断で復職が決まります。

復帰後も、職場環境や、ご本人の物事の捉え方などが、短期間で良い方向に改善するというのはなかなか難しいことです。復帰許可が出たのであれば依然と同じように働ける、と考えたり、逆に気を遣いすぎて仕事を任せないという対応ではなく、本人と仕事の進め方も相談して決めるのが大切です。

うつ病は、環境と個人との相互作用の間に生まれるものです。何かが悪い、と特定の1つを原因にはできないものです。

回復のペースは人それぞれです。
主治医の意見を参考にしながら、元どおり働けるようにという発想ではなく、より働きやすい新しいやり方をスモールステップでつくっていく必要があります。それは本人だけではなく、職場の協力がとても大切です。

 

 

まとめ

うつ病は環境と人との相互作用の結果とお伝えしてきました。実際には、多くの人が一緒に働く職場で、うつ病の方だけを配慮して職場環境を整えていくのは現実的ではないかもしれません。

一方、うつ病は誰にでもかかる可能性のある一般的な疾患です。困りごとを抱える1人が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい環境にもなります。

誰もが働きやすい職場をつくるために、仕組みを整えていこうという取り組みは、働き方改革にも繋がります。これまでの当たり前を見直し、よりよい職場を作っていくきっかけにもなるかもしれません。全てがすぐに改善できなくても、その姿勢が何よりも、うつ病でつらい経験をした方を助けることになると思います。