コロナ禍でリワークプログラムはどうなっているのか

リハビリ中の方
コロナ禍
リワークプログラム
2021/11/13
2021/11/1

今回はコロナ禍でリワークにどのような影響が出ているのかという現状をお伝えしながら、この期間にリワークを活用するうえでの注意点を確認していきたいと思います。

 

リワークにどのような影響が出ているか

コロナ禍でリワークプログラムはどうなっているのか

コロナ禍でオンラインや、リモートワーク化が進み、働き方が変化している中で、実際にリワークの利用者の増減はどうなっているのかという問い合わせいただくことが増えています。

筆者の実感にはなりますが、利用者の減少はしておらず、むしろ増えているような印象を受けます。リモートワークに変化する中で対面的な仕事が減少し、一見コミュニケーションによるストレスは減ったようにも感じられます。

しかし、対面ではないからこそ、以前はできていた相談ができなくなってしまい、休職してしまうケースも増えているのではないかと思っています。
コロナ禍以前は、ノンバーバルも含めた対面でのコミュニケーションスキルを使い、スムーズに仕事を進めていた方もいるかもしれません。しかし、リモートワークになり、電話やメールでのやり取りが中心となり、今まで使っていたスキルが使えなくなってしまい、人間関係に軋轢が生まれてしまい、苦しくなってしまう方も一定数いるのではなかいと思います。

筆者の以前の記事でも紹介しているSSTという技法の中では、以下のようにコミュニケーションのポイントを6つ挙げています。

【よいコミュニケーション】

  1. 視線を合わせる
  2. 手を使って表現する
  3. 身を乗り出して話をする
  4. はっきりと大きな声
  5. 明るい表情
  6. 話の内容が適切

このように、6の”話の内容が適切”以外は、すべて表情やジェスチャー等、ノンバーバルに付随したポイントとなっています。それまで1~5のポイントをうまく使って仕事を進めていた方は、特にコロナ禍で以前より仕事を進めにくくなったと感じる方もいるかもしれません。

一方で、リモートワークになって助かったという声を聞くこともあります。
よく耳にするのが通勤がなくなったことで就労が安定したという声です。朝の通勤ラッシュがとても辛く、出社する前に疲弊してしまう方にとっては、自宅で画面に映る部分だけの身だしなみだけを気を付けて、パソコンを立ち上げれば仕事を始められます。もちろん心配なこともあります。自宅でパソコンを開くことができてしまうということは、休養する場であった自宅で簡単に仕事とつながってしまうということでもあります。

実際に、リモートワークになってから、仕事とプライベートの境がなくなってしまい、休職してしまったというケースもあります。

 

コロナ禍におけるリワークプログラムの工夫

コロナ禍でリワークプログラムはどうなっているのか

筆者が所属している東京リワークセンターでは、緊急事態宣言下でも感染対策を行ったうえで運営を続けています。内容はソーシャルディスタンスの確保、消毒、換気、黙食等の基本的な感染対策を行いました。さらに、2部制を取り入れ、メンバー間の接触の機会を極力減らす対応を取りました。

次に、どのようなプログラムを行ってきたかご紹介します。
対面的なプログラムを行うことが難しいということもあり、コミュニケーショントレーニングやグループワークを中止し、個人ワーク中心のプログラムに変更していました。しかし、このコロナ禍においても、先に触れたようにコミュニケーション問題が要因となって休職した方も多く、自身のストレス対処を立案、検証する場面が不足していました。そこで、対面で行っていたプログラムをコロナ禍環境下でどのように再現していくかを考えました。

一度目の緊急事態宣言下では、ZOOMを用いたプログラムを行いました。
今でこそ当たり前のように普及していますが、当時はZOOMミーティングにログイン、ログアウトするのも一苦労でした。そのため、メンバーは指定の期日に各々ログインし、そこでグループワークを行い、リモート会議の練習をしました。

さらには、向かい合ったコミュニケーションを必要としないテレビゲームを用いたプログラムを行いました。近年注目を浴びているeスポーツですが、このコロナ禍でさらに取り上げられるようになりました。当センターでもテレビゲームを用いたプログラムが複数あります。テレビゲームをプログラムに採用するメリットは、ソーシャルディスタンスを保った状態で他者と共有体験ができることです。

一つの画面を横並びでみながら、コミュニケーションを取って課題を達成していく過程は、従来のグループワークと目的は変わっていません。また、オフラインだけでなく、オンラインで対戦ゲームを行うことも今後の展望として考えています。

 

コロナ禍におけるリワーク利用の注意点

コロナ禍でリワークプログラムはどうなっているのか

コロナ禍におけるリワーク利用時に注意したいことは、利用を検討している施設が、リワークとして機能しているのかということです。

利用希望の方からの問い合わせでは、「リワークは通常営業していますか?」という質問が増えています。休職者の多くは、コロナ禍を理由に入所を断られることがあるようです。受け入れの制限や、プログラムの中止といった感染対策を取っている施設も多いのかなという印象も受けます。また、営業時間を1日から半日に減らしたり、週5日間ではなく、週3日にしているなど、接触頻度減らす対応を取っている施設もあると思います。
リワークを修了しても、会社の復職条件を満たさず、復職許可が下りなかったというケースも聞いたことがあります。自身の復職条件とリワークの稼働状況が合っているかのすり合わせは必要になると思います。

また、アフターフォローが整っているかどうか確認できるとよいと思います。
このような社会情勢になりますので、会社の状況が非常に流動的です。例えば、毎日通勤していた方がリモートワークになるなど、働く環境が状況に応じて変化しています。
一般的には、メンタル不調がある方々は、このような環境の変化に弱いと言われています。そのため、復職後もサポートを受けられる体制が整っていることが望ましいです。メンバー同士のつながりや、スタッフ・施設がきちんと動いている場所を探していきましょう。

 

まとめ

今回はコロナ禍におけるリワーク活用の注意点をお伝えしました。
まだ社会情勢が混沌としていると言っても過言ではないと思います。

働く環境が変化しているということは、リワーク現場にも変化が求められます。皆さんが復職するうえで利用する施設がコロナ禍に対応して動いているのかを確認していただけるとよいと思います。