うつ病でお悩みの方にお勧めしたい日常での過ごし方。

リハビリ中の方
うつ病
2021/6/14
2021/6/7

うつ病でお悩みの方にお勧めしたい日常での過ごし方。
近年、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は大幅に増加しており、2017年時点で400万人を超えています。内訳としては、多いものから、うつ病、不安障害、統合失調症、認知症などが上げられています。

その中でも、うつ病を含む気分障害患者数は、1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2008年には104.1万人、2017年には119.5万人と、著しく増加しています。うつ病は検査などで明確に診断できる疾患ではなく、診断基準が少し変わることによって診断される患者数にかなりの差がでてくるため一概には言えませんが、統計上、上記のような変化をみることができます。(参考:厚生労働省 患者調査)

2013年に、うつ病を含む精神疾患は、国民に広く関わる疾患として地域の医療において重点的な対策が必要とされる5大疾病の1つになっています(その他の疾病は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4つ)。まだまだ、社会にもうつ病に罹患した患者自身にも精神疾患に対する偏見がある場合がありますが、実はそれくらい身近な疾患です。

 

うつ病で療養中の方に大事な事

うつ病に罹患する方は、一言で言うと「頑張りすぎてしまう」人が多いです。ストレスを我慢できてしまい、自分でも知らず知らずのうちに心の余裕がなくなってしまいがちな方が多く、日本人には多い気質とも言われています。その背景には「こうあるべき」という固定観念が強すぎたり、周囲に気をつかってしまい逆に自分の気を休めない方が多いです。

療養する際には、そもそも自分がそうやって頑張ってしまいがちだということを理解しながら、仕事や家事など「やらなければならない」と思うことを出来るだけ最小限にして、休むことを優先しましょう。

休む、というのはただ横になって身体を休めることではなく、心も含めてリラックスする、力を抜くことを指します。

仕事を休んでも、「家の〇〇をしなくては」「早く仕事に戻らなくては」と気が張ってしまっては、本来必要な休息がとれない状態になってしまいます。自分は休んでいいんだ、休むことが必要なんだと、「休むこと」を受け入れてあげて、むしろ休むことが仕事だと捉えることが療養のスタートです。

 

療養中のおすすめの過ごし方

まずは、主治医の指示を聞きながらの療養が第一です。病状が悪い場合は、横になって薬を飲み、ゆっくりと回復する力をつけていくところからスタートの場合もあります。午前中に起きて外に出るようにしてください、など具体的なアドバイスがある場合もあるので、どう過ごしていいか迷ったら主治医に相談してみるのもよいでしょう。

また、「今はとにかく休んでください」と指示があることも多いですが、心身共に休むといっても、どうやったら休むことになるのかうまく感覚がキャッチできないことも多いです。最初は力が入った状態からスタートするかもしれませんが、以下のようなことを日々取り入れていくと、生活リズム・自律神経が整い、だんだんとうまく力を抜いてリラックスすることができるようになります。

 

1.食事と睡眠を大切にする

うつ病でお悩みの方にお勧めしたい日常での過ごし方。

身体は食べ物でできていて、精神状態にも大きな影響を及ぼします。

例えば鉄が不足するとうつ傾向が強くなるということも分かっていて、療養中のダイエットは好ましくない場合もあります。逆に、食事が面倒でついつい手軽に食べられる甘いパンや麺類ばかりをとっていると、必要な栄養素は不足するのに太ってしまうこともあります。

総菜や他者の力を借りながら、自分に無理のしない方法でバランスのいい食事をとることを心がけてください。

また、十分な睡眠も大切です。上手く眠れないことがあっても身体を横にしておくだけでも休息になります。できるだけ就寝・起床時間を一定にして生活リズムも整えましょう。それが心のリズムも安定させていくことに繋がります。

 

2.興味が持てるものがあれば取り組んでみる

興味があることがあればやってみるのもいいでしょう。趣味があればそれに取り組んだり、決まった趣味がなくても興味を持つものがあれば取り組んでみてください。

好きなものに熱中する時間は、意識は今、ここにあります。未来に対する不安やもやもやを感じにくい時間になりますし、日々の生活に取り組むことがあること自体が不安を軽くします。

 

3.苦手な人や情報からは距離を置く

うつ病でお悩みの方にお勧めしたい日常での過ごし方。

人は、自分にとって不快に感じることがあるとストレスを強く感じます。特に、そういったストレスに対して頑張りすぎてしまうことが心を疲れさせてしまうものです。
苦手な人からは少し距離を取り、他者の目が気になったり、テレビやインターネットからのニュースで心がざわざわすることもあるかもしれません。

辛いようであれば、SNSやメディアから離れるなどして、自分にとって安心安全な環境を作りましょう。

 

4.マインドフルネスに取り組んでみる

うつ病でお悩みの方にお勧めしたい日常での過ごし方。

不安な気持ちは、意識が未来や周囲に向いたときに湧いてきやすいものです。一方で、自然あふれるところで川の水が流れる音や、風が葉っぱを揺らす音などが聞こえた時は、その音や感覚に注意が向き、リラックスした経験がある人は多いのではないでしょうか。

緑や水が多いところ、花の香りなど五感を刺激するものは、人をリラックスさせる効果があります。また、日光を浴びて散歩をすることは、自律神経を整え、夜眠りやすくする効果もあります。

ヨガやストレッチなど軽く体を動かす運動もおすすめです。呼吸を深くしながら身体を動かすので、心のリラックスにも効果があります。今はインターネットの動画を探せばたくさん参考にできるものがあります。寝る前の10分だけでも取り入れると、うまく身体の力が抜けて入眠の準備にもなります。

 

まとめ

療養の中で、自分なりの上手くいく方法を掴んでいくのには少し時間がかかるかもしれません。「休む」「頑張りすぎない」という新しいスキルを身に付ける過程だからです。

自分にちょうどいい休み方を習得することは、再発の防止やこれからの人生を楽に生きていくために役立ちます。焦らず・・・といってもそれが難しいかもしれませんが、まず自分に「今はまた歩き出すためのエネルギーを蓄える大切な時間なんだ」と自分で声をかけてあげてください。しっかり休めると、次の一歩の不安も少なくなりますよ。