就労移行支援を利用中にセカンドオピニオンを受けた際の流れとは?

リハビリ中の方
セカンドオピニオン
2021/7/22
2021/7/12

精神科や心療内科などの医療機関で治療を受けていると、「主治医となんだか相性が合わないな」「もっと他の治療法はないんだろうか?」など疑問や不安が出てくることがあります。また、「診断されたが、どうもしっくりこない」「他の意見も聞いてみたい」ということもあるでしょう。
そんなとき利用できるのが、「セカンドオピニオン」です。

 

セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは、納得のいく治療方法を選ぶために、現在受けている診断・治療に関して他の専門家(主に医師)に意見を聞き、その後に自身の治療法を選ぶ際の参考にするものです。
医師と患者が医療を一方的に医療を提供する側・受ける側という関係性ではなく、治療方針について患者は医師からインフォームド・コンセント(病気や治療方針に対しての説明と同意)を受け、患者自身も治療の決定にかかわりながら納得のいく医療を受けることを目的に広まってきました。

 

主治医や医療機関と何か信頼関係を損ねる原因があり、他の医療機関に変更することは転院であり、セカンドオピニオンではありません。セカンドオピニオンでは、主治医に現在の診断・治療に対して他の医師からも意見を聞きたい旨を相談し、セカンドオピニオンを受ける医療機関に提出する、これまでの治療経過や検査のデータが書かれた診療情報提供書作成してもらいます。
また、セカンドオピニオンは「相談」であり「診療行為」ではないため、健康保険は使えず私費での診療となります。

 

健康保険を利用して他の医療機関へ受診することは可能ですが、この場合、主治医から適切な情報提供を受けずに受診することになるので、適切な情報共有がなされず、その医療機関で最初からこれまでの過程を話したり検査をし直したりする必要が出てきます。
また、特に精神科の疾患は治療の過程が長くなることも多いため、自己判断で安易に他の医療機関に変えてしまうことにはリスクも伴います。例えば、1か月ほど様子を見なければ効果が出ているか判断ができない薬を服薬している場合など、すぐに効果が出ないのを心配していろいろな医療機関を受診することは問題解決にならない場合もあるでしょう。

セカンドオピニオンをしたい場合は、その旨を主治医に相談し、適切な情報提供を受けた上で行うのが望ましいです。
医師によってはセカンドオピニオンができる医療機関を紹介してくれることもあります。また、患者とインフォームド・コンセント(説明と同意)を大切に対等な関係で医療を行うことは医師にとっても大切なことですので、主治医との信頼関係ができていれば誰でもセカンドオピニオンの相談をすることができます。

 

 

就労移行支援利用中に、どのタイミングでセカンドオピニオンを検討するのがよいか?

就労移行支援を利用している過程では、訓練や就職活動の一環で自分自身の特性に新しく気づくことも多いです。
うつ病と診断されていたけど、就職活動を進める中で自分の得手不得手に改めて気づき、セカンドオピニオンを受けたところ発達障害の疑いが分かり、就職活動の方向性が変わった。適応障害と最初は診断されていたけど経過が長く、慢性的なうつ病に診断名が変わり、心積もりができた。ずっと服薬治療を受けているけど、体調が良くなってきて、それでもずっと薬を飲まなければならないのか不安。これからまた仕事をしていく、という準備期間の中ではこのようなさまざまな懸念が出てきやすく、就労移行支援のスタッフの意見も聞きながら試行錯誤しやすい時期でもあります。

 

基本的にはセカンドオピニオンに興味を持ち、行こうと思ったときで問題ないですが、就職直前よりも、訓練中や就職活動をこれから始めよう・始めたばかりという時期の方がその後の就職に向けて準備をする期間もとれるでしょう。

 

 

セカンドオピニオンを利用する際の注意点

セカンドオピニオンは、現在自分が受けている医療について、かかりつけ医以外からの意見を求めることができます。

  • 他の治療の可能性について知ることができる
  • かかりつけの医療機関では行っていない治療方法も知ることができる
  • 誤診があった場合、適切な治療方針に変更するきっかけになる

一方、必ずしも自分の期待する結果が得られるとは限りません。

  • 違う診断名を聞けると期待したが、主治医と同じ意見だった
  • より自分にとって厳しい治療方針を提案された
  • 相談に時間や費用がかかる

以上のようなメリット・デメリットもあるため、セカンドオピニオンの意見を聞いてホッとすることもあれば、よくわからず混乱してしまうこと、ショックを受けてしまうこともあるかもしれません。

可能であればセカンドオピニオンを受診する際は、頼れる第三者に同行してもらうのがよいでしょう。家族や信頼できる知人、就労移行支援事業所のスタッフが同行できる場合もあるので、頼りやすい人と一緒に受診できるとその人にも客観的に情報を聞いてもらえて、その後治療方針を選ぶ際にも相談しやすくもなります。

 

 

セカンドオピニオンを受けた後の就労移行支援との付き合い方

セカンドオピニオンを利用する際は、その旨を利用している就労移行支援事業所のスタッフに伝えておくとよいでしょう。セカンドオピニオンを受けた後は、治療方針が変わったり、診断が変わったりした場合は特にその内容を伝えてください。

診断が変わった場合は、その病気や障害に合わせて就職に向けて工夫できることがあったり、企業に求める合理的配慮の内容が変わることもあります。
また、セカンドオピニオンを受けたことによって心境がどう変わったか、というのも大切なことです。自分が想定していなかったことが分かった時や、病気を受け入れるのには時間がかかりそう、といった時にも、就労移行支援事業所のスタッフには相談ができます。
何か状況が変化した場合にはスタッフとしても教えてもらえるとサポートがしやすく安心です。

 

 

まとめ

ここまでセカンドオピニオンについて解説してきました。
セカンドオピニオンを受ける前の準備として一番大切なことは、自分の現在の治療方針について主治医とよく話し合い、理解しておくことです。

分からないこと・納得がいかないことは遠慮せず主治医に質問し、セカンドオピニオンで聞きたいこと・確かめたいことを明確にした上で相談に行ってみてください。

そこをよくかみ砕けないまま他の医療機関を受診しても、ドクターショッピングになってしまい、余計治療方針について分からなくなってしまう場合もありますので、消耗しないためにも事前の準備を大切にしてくださいね。