精神疾患のある方を家族の方がサポートの為に知っておきたいこと

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精神疾患
2021/4/16
2021/4/26

精神疾患のある方を家族の方がサポートの為に知っておきたいこと

はじめに

心の調子が悪い、精神疾患で困り感があるとき、ご家族からのサポートはとても大きな支えとなります。一方、これまで精神疾患に関する知識が少ないご家族の場合は、戸惑いがあったり、どうサポートしたらいいかわからない、ということもあるかもしれません。また、心療内科や精神科に受診することは、今ではかなり一般的になってきていますが、知識不足によりご本人ご家族ともに、偏見を感じたり抵抗感があるというようなこともあるかもしれません。

いずれにしても、今は精神疾患は珍しい病気ではありませんし、適切に医療機関を受診し、必要な休息やリハビリテーションを受けていく必要があります。
その際、まずご家族が「私たちはあなたの味方である」というメッセージは、本人にとってとても大きな支えとなります。

家族の方にどんなサポートができるのか?

一言に精神疾患といっても、様々な種類の病気があり、一過性で治るものもあれば、慢性的な経過をとり、精神障害という形で付き合っていくものまで様々です。どちらも、一旦落ち着いても再発する可能性もあり、どのような環境で過ごすかも大きな影響があります。
ここではご家族ができる環境づくりやサポートをみていきましょう。

 

家の中が安心安全な居場所であるよう配慮する

精神疾患の症状があるご本人は、周囲の刺激に敏感になったり、負担に感じることがあります。本人が快適に感じるような比較的静かでゆっくりと過ごせる空間になるとよいです。穏やかな雰囲気は安心感を感じることができます。また、体調がとても悪いときには衣食住といった身の回りのことをサポートすることも助けになります。一人になりたい、誰かにそばにいてほしい、などその時々によって気持ちが変化していくこともあります。

 

精神疾患に対する知識を持つ

一言に精神疾患といっても、様々な種類の疾患があります。その疾患がどのようなものか、またどのような経過をたどっていくものなのかなど、正しい知識があることで適切な対応ができるようになります。知識がないままでサポートをしてしまうと、傍からみるだけではなかなか本人の理解が難しく、「怠けているのでは…」「薬を飲むと依存してしまうのでは…」など間違った解釈や本人への声かけをしてしまうということが起こってしまうかもしれません。
本人を理解し、スムーズに良い方向に進んでいくためにも、ご家族の方が正しい理解を持っておくことは大切です。

 

服薬や受診のサポートをする

精神疾患のある方を家族の方がサポートの為に知っておきたいこと

医療機関への受診は、人によっては抵抗感があったり、体調が悪いとなかなか自分だけで身体を動かして行くことが難しい場合もあります。精神疾患や本人の理解のためにも、通院を同行して、主治医から説明を一緒に聞くことはとても有効な方法でしょう。
また、服薬もその人の症状に合わせてだんだんと増減したり、主治医が治療方針を考えながら処方されています。一日横になって過ごしがちで服薬を忘れてしまうなど、本人だけで服薬の時間や量をきっちりと守っていくことが難しい場合は、ご家族が声かけするなどしてサポートできるといいでしょう。

 

精神疾患のある方をサポートするの際の注意点

本人の意思やペースを尊重する

精神疾患は、回復に向けてゆっくりとした経過をとることが多いです。薬も飲み始めてすぐ効果を感じるものもあれば、数週間、数か月かけてだんだんと効いてくるというものもあります。仕事を休職している場合など、本人もご家族も焦ってしまうことがあるかもしれませんが、まずはゆっくりと休息すること、そして回復してきたら適切なスピードでリハビリテーションをしていくことが望ましいです。服薬の指示や生活のアドバイスなどがあればそれを守りながら、本人のペースを大切に過ごしてみてください。

また、本人が疾患そのものや症状に対して否認的であることもあります。その場合も、受け入れられないという気持ちそのものや、自分のペースで自身の困り感に向き合っていく過程を尊重し、サポートしていくことが大切です。

 

巻き込まれ過ぎない

初めて家族が精神疾患になった場合や、これまで身の回りにも経験がなかった場合、ご家族自身の戸惑いも大きいことがあります。その中で、本人がとても落ち込んでいたり、逆に激しい感情を表出するような場合には、ご家族の精神的な状態にも大きな影響があります。その際、ご本人の感情にそのまま反応して返すのではなく、一定の距離をとりながら対応できるのが望ましいです。それができるためにもやはり正しい知識を身に着けることは助けになります。

また、特にご家族をはじめとする身近な人たちの感情の表し方は、病気の再発に大きな影響を与えるといわれています。とはいえ感情を表してはいけないというわけではありませんので、自分の言いたいことを大切にして表現すると同時に、相手が伝えたいことも大切にして理解しようとするアサーティブなコミュニケーションを心がけると、本人も家族も双方を大切にできることに繋がります。

 

まとめ

精神疾患は、場合によっては長く付き合っていくことになる場合もあり、適切な知識を学びながら対応していく必要があります。その際、ご家族が味方であることは本人にとって大きな安心となります。
ただ、その過程でご家族が疲れてしまうことがあります。過度に疲弊してしまわないように、頼り先(主治医・支援サービスなど)は積極的に利用しながらサポートを続けてください。精神疾患を持つ家族がお互いの状況について話したり相談できる「家族会」などもあります。そこでまた新しい相談先やサポートが得られる場合もあります。

また、基本的には本人のペースを尊重していくかかわりが望ましいですが、ご家族が無理を続けるようなスタイルでサポートをすることは望ましくありません。ここまではやる、けれどここからは難しいなど、上手く線引きをしていくことも大切です。ケアをしている人は、ご自身のケアを後回しにしがちです。

今はインターネット上でも情報が見られたり、相談できる場所なども増えてきました。専門家や経験者への相談も上手に活用しながら、家族も疲れないサポートの形を目指してみてください。