「ADHDの人に、どんな仕事を任せるべきか…」
「ADHDの傾向がある人を、どの部署に配置しようか…」
障害者を雇用する企業にとって、ADHDの人にどんな仕事を任せるかは重要な課題。明らかにADHDの傾向はあっても、医師の診断を受けていなかったり本人が自覚していないケースもあります。
人事によっては本人が辛いだけでなく、会社に損害が発生してしまう可能性も否めません。そこでADHDの特性を把握しつつ、ADHDの人に向いている仕事と向いていない仕事をご紹介します。
「事務職」「営業職」「技術職」に分けて様々な仕事を挙げて解説しますので、最後までお読みいただくとADHDの特性と仕事内容をどうマッチングさせるかが見えてくるでしょう。
目次
ADHDの人に向いている仕事と向いていない仕事を考える前に、まずADHDの特性や症状を把握しましょう。ADHDは日本語訳すると「注意欠陥・多動性障害」となり、「注意力がなく」「衝動的である」という特性があります。それぞれの特性による具体的な事例をご覧ください。
人によっては、ADHDの特性が理解できず「なぜこんな簡単なことができないの?」「自分勝手に動き回って……」と思ってしまうこともあるかと思います。そのため、仕事の場面でトラブルとならないよう、ADHDがどんな特性のある障害かをあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。
それではADHDの特徴から、ADHDの人の得意・不得意を整理してみましょう。
ADHDの特性をネガティブに見れば不得意な点が目立ちますが、得意な分野では高い能力を発揮する才能ある人とも言えます。よって、本人の得意不得意をハッキリさせることがADHDの人に任せる仕事を決めるカギとなるのです。
ADHDに向いていない仕事として「事務職」が往々にして挙げられますが、それは単調で継続性が求められるケースが多いためです。例えば、以下のような事務作業はADHDの人にはあまり向いていないと言えるでしょう。
ただし、ADHDだから事務作業ができないわけではなく、工夫次第でADHDでも事務の仕事はできるため、決めつけずあくまで参考に留めていただいたほうが良いでしょう。
ADHDの人にとって「営業職」は業務内容により得意不得意が分かれます。
営業職の仕事には、顧客管理や事務手続き、顧客獲得のための営業電話といった業務も含まれるためです。また、顧客の前での失言やしゃべりすぎるという特性についても考慮しなければいけません。よって、ADHDの人が営業職に就くなら、業務内容次第で向き不向きを判断する必要があるでしょう。
営業職では顧客のアポイントが大事。アポイントが取れなければ延々と別の顧客にアプローチしていく必要があるため、場合によって仕事が単調になる可能性もあります。よって、ADHDの人に営業職を任せる場合、移動や企画立案などを伴う業務が適してると言えるでしょう。
ADHDの人に最も向いていると言われるのが「技術職」です。クリエイティブ系とも言い換えられますが、ADHDの人は興味のある分野には高い集中力と能力を発揮します。そのため、アイディアや創造性が求められる業務はADHDの人にとってやりがいのある適職となる可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、技術職の中には一つのミスが重大な事態を招く職種もありますので、専門性が高くミスが許されない職種では注意が必要です。ADHDは「注意欠陥」という特性があるため、以下のような職種は向いていないと考えたほうが良いでしょう。
ADHDの向き不向きを職種別にご紹介しましたが、ここで向いている仕事と向いていない仕事をまとめてみましょう。
一覧で見ると向いていない仕事の方が多いため、ADHDの人には就職や転職は不利なようにも思えます。しかし、上記はあくまでADHDの人に苦手な作業内容が含まれているかどうかで分けています。
「ADHDの人は事務ができない」とか「ADHDの人に接客をやらせちゃダメ」ということではありません。例えば、以下のような工夫を行えるなら、ADHDの人でも事務作業や顧客対応といった苦手な仕事ができる可能性は高くなるでしょう。
・仕事を短時間で終われるよう細切れにする
・作業自体を量ではなく時間で区切る
・ITを活用して作業を自動化する
・いっぺんに多くの作業を行わせない
・顧客対応はマニュアルやフローを作成する
・判断に迷うときに相談できる体制を整える
・就労形態を裁量労働制やフリーランスにする
ADHDの人には「高い発想力」や「テキパキとした行動力」、「枠にとらわれない」といった長所も数多くあります。本人が興味のある分野に集中できる環境を整え、苦手とする作業はサポート体制や代わりを用意するなどすれば、企業にとってADHDの人は貴重な戦力になることでしょう。