双極性障害(躁うつ病)から仕事に復帰するには?復職準備、再発防止策など

復職をお考えの方
双極性障害
職場復帰
2021/4/27
2021/4/26

双極性障害(躁うつ病)から仕事に復帰するには?復職準備、再発防止策など

「躁うつ病」とも呼ばれる「双極性障害」は、気分の落ち込みや不眠、意欲の低下など、心と体に様々な症状が見られる精神疾患です。この病気にかかると、休職せざるを得なくなってしまう方はたくさんいます。

しかし、きちんと処方された薬を飲み、対処方法を考えることで、復職することも可能なのです。この記事では、「双極性障害」の方が職場復帰をする際の準備として、どんなことを行えばいいのか、どんな支援があるのかについて、解説します。

 

 

復職までの流れと注意点

「双極性障害」に陥ってから復職を考える際に重要なのは、体調が前よりも回復したかどうかではなく、認知機能の回復ということまで考える必要があります。認知機能とは、高度な脳の処理に関する機能のことを指します。例えば、順序だてて物事を考えたり、集中力を維持したり、文章から重要な点を読み取るなどがこれに当たります。

「双極性障害」では、こういった認知の機能が低下してしまうため、業務に様々な支障が生じてしまうことになります。認知機能の回復が不十分なまま復職すると、自分の思っているように仕事ができないことで、ストレスが積み重なり、病気を再発してしまうこともあり得るのです。

そのため、認知機能の回復という観点から復職をとらえるようにすることを忘れないでください。例えば、外出をしてみたり、人と話してみたり、家事などを行ったりして、少しずつ復職に向けてできることから準備をしていくようにしましょう。

 

 

主治医や産業医と相談する

双極性障害(躁うつ病)から仕事に復帰するには?復職準備、再発防止策など

復職を考える際に、とても重要になるのは、本人の「早く復職したい」という焦りの気持ちが先行しすぎると、復職したとしても再発してしまうリスクが高まるということです。厚生労働省の「うつ対応マニュアル」によると、うつ病の初回の治療後の再発率は60%と高い水準を示しています。ゆっくりと準備をしたり、医師とコミュニケーションを取ったりしながら、復職まで進めていくことが大切です。

双極性障害で回復期にある方でも、困ったことや自分の中で不安に思っていることは、いつでも医師に相談するようにしましょう。なお、これは復職後も同じです。復職してすぐは、今まで休んでいた分を取り戻そうと頑張りすぎてしまう方がとても多いようです。しかし、無理はせず、少しでも違和感を持ったら、会社の産業医や主治医に、状態を伝えることを忘れないようにしてください。

 

 

職場復帰支援(リワーク支援) の利用

現在は、「双極性障害」の方の復職を目的として、それぞれの地域で様々なリハビリ用のプログラムが実施されています。これらを「リワーク支援」といいます。対象は双極性障害以外にも、適応障害などを含むうつ病の方で、症状がほぼ回復期にある方が主に在籍しています。

様々なプログラムを受けること、また、周囲の人とコミュニケーションを取ることで、復職を前提とした社会生活に少しずつ慣れていくことが目的です。リワーク支援では、数ヶ月の間で様々な体験をすることになり、双極性障害の方のためのプログラムには以下のようなものがあります。

・認知行動療法

認知のゆがみに気づき、それを修正することで、より良い考え方を身に付けるための精神療法です。双極性障害の再発に効果的だと言われています。

・自己洞察

なぜ自分がこの病気になったのか、職場でどのようなことがあったからこうなったのかなど、発症した要因を考えることで、再発予防策を考えることができます。

・アサーショントレーニング

上手な断り方を学び、自分自身と相手の感情を大切にした、コミュニケーションの技術を取得できます。

その他にも、施設によっては、会社での生活を擬似体験するSSTの課題や、アメリカで開発された、「WRAP」という自分自身の元気のために作り出す再発予防プランを取り入れているところもあります。こういったプログラムには医師や臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士などが連携して進めているので、安心して受けることができます。リワーク支援を受けることで、病気や自分について知ること、そして再発予防策を考えることができます。「双極性障害」の方は、安心して復職をするために、このような支援を受けることをぜひ検討してみださい。

 

 

無理な復職を考えず、退職・転職も検討を

双極性障害(躁うつ病)から仕事に復帰するには?復職準備、再発防止策など

これまで、「双極性障害」の方が復職するためにどうしたら良いかについて触れてきました。しかし、ゴールを復職に設定してしまうと、うまくいかなかったときに、また自分自身を責めてしまうことになります。大切なのは、自分自身の心と体が元気になることができるかどうかです。「どうにかして復職しよう」と躍起になるのではなく、まずは自分にとって健康でいられるためにできることを少しずつ積み重ねていきましょう。

どうしても焦ってしまう気持ちがあるかもしれませんが、まずは軽い運動をしてみる、読書をするなど、リラックスできる状態を作り出すことから始めてみてください。働かないことにより、お金や対人関係に関する不安もどんどん出てくるかもしれません。しかし、長い目で見れば、心をしっかりと休めた上で、再発せずに復職できることの方が、焦って復職するよりは何倍も良いと言えます。頼れる家族や友人がいる場合は、遠慮せずに頼っていきましょう。

また、休職していた方は、同じ職場に戻ることに抵抗感がある場合もあるでしょう。「休んでいて迷惑をかけてしまった」「みんなの分まで働かないと」と思ってしまう真面目な方もいるでしょうし、今までの成果を知っている上司に、復職後すぐに、「元気になったなら、これをよろしく」などと責任ある仕事を任されてしまう可能性もあります。

そのような可能性が少しでもあるならば、思い切って職場を変えるという選択肢もあります。コロナウイルスの影響でリモートワークに切り替わっている職場もたくさんありますし、自分のペースで働ける、負担の少ない仕事を探すことも考慮に入れてもいいかもしれません。休職中は、より自分がゆったりと過ごすためにどんなことができるか、転職なども含めて考えてみることができると良いですね。

 

 

【出典】
双極性障害(躁うつ病)厚生労働省
復職がうまくいくために大事なこと 日本橋メンタルクリニック
復職支援における双極性障害の困難性と支援の工夫
五稜会病院 リワーク ヴィレッジ
リワークプログラム-RAKU- よくあるご質問
東京足立病院千寿サテライト メンタルクリニック三叉路
うつ病・双極性障害(躁うつ病)【気分障害】 新宿御苑前メンタルクリニック
うつ病復職支援デイケア(リワーク) 心の風クリニック