精神障害の方が仕事が続かない原因と長く続ける為のポイントを解説

復職をお考えの方
仕事
精神障害
2021/3/25
2021/4/26

精神障害の方が仕事が続かない原因と長く続ける為のポイントを解説

はじめに

 近年、障害者雇用率が引き上げられ、精神障害者も肯定雇用率の算定対象になったことから精神障害をもつ社員の雇用をする企業・事業所が増加しています。しかし、在職中に精神疾患に罹患し休職したものの復職後離職してしまったり、障害者雇用などで精神障害のある方を採用したにもかかわらず短期で離職してしまうという声をよく聞きます。

しかし、全ての精神障害のある方が短期で離職してしまうわけではありません。ここでは、離職してしまう精神障害のある方の仕事が続かない原因や、長く続けるためのポイントを見ていきましょう。


精神障害の方の離職率は?

精神障害のある方の雇用を取り巻く環境は、近年大幅に改善しています。求人・就職件数が増加し、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなど支援機関の利用数も増加しているなどサポート体制も拡充しています。

一方で、就職後は、精神障害のある方は他の障害種別の方に比べ離職率が高く、平均勤続年数についても、短い傾向がみられます。精神障害のある方は、3か月離職率が30.1%、1年の離職率に至っては50.7%まで上がっています。(知的障害:3か月14.7%、1年32% 発達障害:3か月15.3%、1年28.5% 身体障害:3か月22.2%、1年39.2%)

また、精神障害のある方が新規に就職する際、主に3つのパターンがあります。1つ目が、障害を開示し、障害者雇用求人に応募する方法。2つ目は、障害を開示し、一般求人への応募する方法、3つ目が障害を開示せず一般求人へ応募する方法です。全障害種別での定着率の統計では、障害を開示せず一般求人で就職された方の離職率は高くなっていますが、精神障害がある方は、開示せず一般求人へ応募するケースが多くなっています。また、残念ながら障害者雇用求人で就職したケースでも離職率は他障害に比べて高くなっています。
(出典:障害者雇用の現状等 平成29年9月20日 厚生労働省職業安定局


精神障害を抱えた方はなぜ仕事が続かないのか?

精神障害のある方の離職率が他障害種別と比べても高くなっている原因は何でしょうか。それを説明したグラフがあります。原因として上げられるものとして①職場の雰囲気・人間関係②仕事内容が合わない③疲れやすく体力意欲が続かなかった、ということが読み取れます。また精神障碍者への待遇が非正規雇用が多く、待遇面の影響も大きくなっています。

同じように仕事を続けられる上で改善のポイントとしては、①コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置、上長や専門職員との定期的な面談②調子の悪いときに休みをとりやすくする③労働時間、通院や服薬の配慮などが上げられています。

要因は様々ありますが、コミュニケーションや人間関係に関することの影響が大きくなっています。理由としては、精神疾患と一口に言っても、どんな病気・障害があるのかは人によってかなり個人差があり、その方が感じている困難さに対して個別対応していく側面があるからです。どのような仕事や環境であれば、疲れすぎず体力意欲を持ちながら働けるか、その個人に合わせて調整していく必要があり、それを実現するためには丁寧なコミュニケーションが欠かせないのです。

 

長く仕事を続けるためのポイント

精神障害の方が仕事が続かない原因と長く続ける為のポイントを解説

精神障害がある方が、長く安心して自分の力を仕事で発揮していくためには、企業・職場の方とのコミュニケーションを通じて働きやすい環境を作っていく必要があります。そのためには、精神障害がある方ご自身ができることとして、就職前の段階から、焦らずに、等身大の今の自分の「自己理解を深めておく」ことがとても大切です。

  • 自分にとってどのようなことが障害になるのか(例えば、圧迫感を感じるやりとりが苦手、大人数が苦手など)
  • どんな時に体調を崩しやすく、その時どう対応すればいいのか
  • コミュニケーションをとる手段として、定期的な面談が必要なのか、それとも困ったときだけ相談できればいいのか。

など

以上のように、ご自身の障害特性に向き合い、理解し、試行錯誤を経て対策を考えておくことが大切です。それができれば、何か不安なことが出てきたときにも「相談」という形で職場のコミュニケーションをとることができ、適切な合理的配慮が受けることが可能になります。

もちろん、企業側が業務特性上すべての困難さに対して合理的配慮をしていくことは難しい場合もありますが、まずは自分を理解し、伝えることで企業側も精神障害のある方を理解するきっかけを掴むことができるのです。人によっては辛い作業となる場合がありますが、結果としては自分を大切にすること、守ることに繋がります。

自己理解の作業を進める場合は、積極的に人に相談することをおすすめします。
家族など近しい人から普段の様子を踏まえて客観的な意見やアドバイスをもらったり、就労・生活支援センターや障害者職業センターなど専門的な支援機関を頼るのもおすすめです。
場合によっては能力評価が受けられたり、就職後も企業とのやりとりにも介入してもらえるジョブコーチ制度の利用もできます。
よりゆっくりとリハビリも兼ねてサポートを得ながら就職活動を進めたい場合は、より密なサポートを得ることができる就労移行支援事業所を利用するのも1つです。
そして、このように就職活動の過程で他者に頼れることは、就職後に困ったときに職場の方に適切なSOSを出せるという大切なスキルを身に着けることでもあります。

また、自己理解を進める上では、ご自身が障害についてどう認識しているか、という障害受容の進み具合がとても関係します。
そもそも障害に対して否認的で向き合うことが難しい状態であると、自己理解を進めることはとても苦しく、結果として就職できたとしても統計の結果として出ているように離職率は上がってしまいます。
ただ、その場合も自分の障害についてどう向き合えばいいか分からない、受容するのが難しい、というその気持ちや感情を否定するのではなく、「自分はまだまだここに向き合うのは苦しいんだな」と自分のことを認めてあげてください。それ自体何も悪いことではありません。

悲しい気持ちやうまくいかないもどかしさ、焦りの感情も出てきやすいですが、そこを焦って進めてしまうことが自分を大きく見せたり、無理してしまったり、うまく人に自分のことを説明できずに、やはり離職に可能性も高くなります。
まずは今の自分の状況を認識し、等身大の自分について観察するところから始めると、今の自分に合った職場と出会えたり、ありのままの状態を職場に相談できるといった適切な対応ができるようになります。

 

まとめ

精神障害のある方が抱える困難さは千差万別です。
企業からすると、同じ障害名でも同じ対応でうまくいかないこともあり、周囲の人との相互作用の影響を受けやすい障害といえると思います。その中で、長く仕事を続けていくためには、ご自身の障害受容と自己理解が重要になります。

また、障害がなくても一般的な就職・転職活動においても自己理解は非常に重要なものです。自分の得手不得手を知り、それを人に伝えながら自分の働くスタイルを作っていくということは、そのまま自分のことも、周囲の人のことも大切にすることにもなります。

ぜひ積極的に他者を頼り、無理をしない方法で自分らしい働き方を実現してください。