知っておこう!障害者雇用の際の、入社前から入社後の主な流れ

復職をお考えの方
就職活動
障害者雇用
2021/3/22
2021/3/11

はじめに

初めて障害者雇用で就職活動を行う場合、「一般求人の就職活動とは何が違うんだろう?」と不安に思われる方向けに、就活準備から応募、採用面接や入社までの流れと、入社後に早期離職せずに活躍するためのポイントについてまとめました。
具体的な流れは企業によって異なりますが、押さえておきたいポイントには共通点があります。 全体の流れを知り、見通しを持っておくことで準備しながら進めることができるので、ぜひ確認してみてください。

 

書類選考の主な流れ

まず求人に応募する際は書類選考からスタートになる場合が一般的です。現在は ウェブ の求人媒体から応募する場合も多く、まずインターネット上の申し込みフォームから入力することが多いですが、企業によっては、その申し込みフォームに入力してある内容を書類選考の一部としてみなしていることもあります。 もし志望動機や障害についてなど記載する欄がある場合には、空白にせず、履歴書を書くときと同じように丁寧に伝えることを意識して書いてください。
もちろん、紙の履歴書や職務経歴書で準備する際にもわかりやすく丁寧に書くことは大切です。障害者雇用の場合は企業が何らかの合理的配慮をすることを前提に選考を行っていきますが、その際に書類選考だけでその人のスキル、また障害や合理的配慮について把握するのは採用担当者にとっては難しいことです。

そこで志望動機など、自分の言葉で「なぜその企業を志望するのか」、人となりや思いが伝わるような記載があると、「障害のことは詳しくわからないけれども一緒に働く人として会ってみたいな」と思ってもらえる可能性が高くなります。また障害者雇用の場合には、履歴書・職務経歴書と合わせて障害者手帳のコピーを添付することになります。できれば障害者手帳のコピーだけではなく、障害に関する自己紹介資料も添付してみてください。

  • どんな障害なのか
  • 仕事の場面での困りごと
  • それに対して自分で工夫していること
  • 企業から受けたい合理的配慮

これらについて記載しておくと書類選考を通過して面接に進んだ際にも、その資料をもとに具体的な働く場面のことを想像しながら話を進めていくことができやすくなります。これらのことが紙に書き出して整理できている、ということが自分自身が障害のことについて理解できているということのアピールにもなります。 自分が口頭で説明する際にも、手助けになる資料となりますのでぜひ準備してみてください。

 

面接時の主な流れ

書類選考通過すると次は面接となります。 企業によって異なりますが面接は1回か2回のところもあれば、その間に実習を挟んだり、採用担当者だけではなく一緒に働く現場の方との面接なども実施されることがあり、複数回の面接が設定されることもあります。 面接の回数が多いと就職活動が長くなり負担になりますが、自分自身もその職場で本当に働くことができるかどうか、自分自身にとって働きやすい環境かどうかを見極めていく機会にもなりますので、提案された場合には積極的に参加してみてください。

面接自体は、一般的な就職活動と同じでこれまでの経験や活かせるスキル長所や短所などについて質問されることが多いです。またその企業のカルチャーに合うかどうかという人柄についても確認されるでしょう。この際、仕事のスキルやコミュニケーションについてなど、自分の長所をアピールできることがあれば是非積極的にアピールしてみてください。
企業は障害者雇用だからといって障害の部分だけを見ているわけではなく、戦力として一緒に働けそうか、一緒に働きたいと思える人柄かという視点で見ています。 障害に関することを説明する心の準備だけではなく、これまでの経験の中で特に力を入れて取り組んだことや成果につながったこと、他者を助けたエピソードなどは大きな説得材料になります。

一方、障害者雇用の面接において一般的な採用面接と違う点は、障害者合理的配慮の確認についてという部分です。企業には採用した社員に対して安全配慮義務があり働く上で何らかの困り感がある社員に対して 適切なサポートや管理をする義務があります。
障害に関する合理的配慮については企業によってどれぐらい取り組めるかの差もありますので、その点についても擦り合わせる機会となります。 前述したような障害に関する自己紹介資料などを準備し、採用担当者が障害について詳しくなくても、自分にとっての障害の困り感や自分で取り組んでいる工夫、助けてほしい点について説明してみてください。

この時ポイントとなるのは、自分ではどのような努力や工夫をしているか、その上で業務上困ることがある場合にはどのように手助けをして欲しいのか、できるだけ具体的に伝えることです。障害に対しては障害のある方本人と、企業側の双方が一緒に取り組んで工夫していくのが一番ですが、前提として、何を工夫していけばいいのか、自分が一番主体的に取り組んでいる姿勢を見せることが企業側にとっての安心になりますし、配慮もしていこう、という気持ちを持ってもらいやすいです。
必要であれば就労支援機関や相談しやすい人を頼りながら整理してみてください。

 

入社前面談の主な流れ

入社が決まったら仕事を開始する前に入社前面談をすることがあります。
人事担当者や一緒に働くことになる直属の上長と話すことが多いと思いますが、就労支援機関を利用利用している場合は、その支援者の方も同席で実施されることがあります。

入社前面談は、一緒に働くスタッフの人達と顔合わせの機会になり、業務や働き方の見通しを持つための大切な機会となります。 これまでの採用面接などで伝えた合理的配慮についても、具体的にどのように実施していくか確認されることも多いです。障害開示をどこまでするか、通院などで休むタイミング、困ったときに誰に相談するのかなど、働く環境をイメージしていきます。不安に思っていることや確認したいことなどがあればこの場が一番相談がしやすい機会になるかもしれません。事前に相談内容を書き出しておくとよいでしょう。

 

入社後の定着支援について

入社して業務を進めていくにあたりメンター社員が多くの場合つくと思います。 業務の指示を受けたり分からないことがあれば確認したりできる担当者のことです。 人数の少ない部署だとそれが上長である場合もあるでしょう。入社前面談などで業務の進め方が決まっていたとしても、働く中で必要な合理的配慮が新しく出てくることもあります。そのような変化や気づき、困りごとを上長やメンター社員に伝え、業務の進め方や考えをすり合わせていくことがとても大切です。

例えば、最初の一週間は1日の振り返りをする面談を短時間でも設定する、その後も一か月に1回は業務のことや心身の調子について共有する時間を持つなど、お互いのコンディションを把握しておけるような体制を作っておけるといいでしょう。

希望があれば就労支援機関のサポートを受けることもできます。例えば就労移行支援事業所や障害者職業センターのジョブコーチを利用する場合は実際の働く職場にジョブコーチの方に同行してもらって企業の担当者とのやり取りを一緒に進めていくことができます。
公的な就労支援機関ではなくても、何かがあった時自分が相談しやすい家族や友人、医療機関の主治医など相談先も複数持っておけると安心です。 是非自分に合う長く働き続けるためのサポートを利用しましょう。

 

まとめ

ここまで障害者雇用の際の入社前から入社後の主な流れについて解説してきました。障害者雇用と意識すると、どうしても障害について意識がいってしまいがちですが、基本的な流れとしては一般の就職活動と大きく異なるわけではありません。

自分がやりたいことやスキル、貢献できることを整理して取り組みたいんだという気持ちを伝えましょう。一方、長く働き続けるためには自分で自分のことをよく理解しておくことはその後の自分を楽にすることにつながります。他者の力も借りながら、自分らしい働き方にチャレンジしてみてください。