障害者雇用の面接で聞かれやすい質問の傾向とは?

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2021/3/24
2021/9/14

精神障害を抱える方が、面接時に聞かれやすい質問の傾向とは?

はじめに

近年、企業の障害者雇用が進み、中でも精神障害者雇用数の伸びは大きくなっています(厚生労働省 令和2年障害者雇用状況)。
一方で、精神障害がある方は就職後に離職率も高い傾向にあり、障害のある方ご本人も、雇用する側の企業にとっても大きな課題です。企業にとっても精神障害は目では見えず分かりにくく、活躍のためには濃いコミュニケーションをとり、必要な情報を共有していくことがとても大切です。

その最初の機会が採用面接になります。面接は緊張する場ですし、内定をもらいたい、早く就職を決めたい、という気持ちも出てきがちです。
一方、実は企業側の採用面接官も、障害のある方にどこまで何を聞いたらいいのか迷っている場合があります。ここでは、採用面接の場で、どんなことを伝えられるといいのかお伝えしていきます。
障害者雇用を前提に話をしていきますが、手帳を持たない精神障害のある方でも、障害をオープンにして就職活動する場合は基本的に同じ流れになりますので、参考にしてみてください。

 

面接官が何を知りたいか理解する

企業により、障害者雇用で何を大切にしているかというスタンスは異なります。
障害有無に関係なく、実力を発揮して戦力となることを求めている企業もあれば、必要な合理的配慮を丁寧に行い、スモールステップにキャリアを進めていく企業など様々です。企業の大小や事業フェーズ、障害者雇用への習熟度などによっても異なります。

一方、基本的にどの企業でも面接において確認しておきたい事項は以下のようなものです。

●一般的な就職活動と同じ、これまでの経歴やスキルについて
障害者雇用か否かにかかわらず、これまでどんな経験があり(仕事もプライベートも含む)今後どのようなことがしていきたいかということは、志望動機と合わせてよく質問されることです。
ここでの回答により企業は、社内でどの部署に配属可能性があるか、どのような業務と合いそうか考えていきます。

●障害や病気について
書類で障害者手帳のコピーを提示するなどして障害名や等級を伝えていたとしても、企業の担当者は詳しいことは分からないことがほとんとです。どんなことが障害となり、業務の中で困り感になるのか、どんな合理的配慮があれば作業できるのかを伝えることで具体的な活躍場面を面接官に想像してもらえます。

また、企業には従業員が安全かつ健康に労働できるようにするための安全配慮義務が労働契約法により定められています。採用後に従業員に必要な配慮を提供するため、またどこまで配慮が自社で可能か判断するために面接の場で確認しているのです。

 

 

病状についての質問の傾向

精神障害を抱える方が、面接時に聞かれやすい質問の傾向とは?

●これまでの病気や障害の経過について教えてください。

企業にとっては、その病気や障害そのものというより、これまでどのような経過で今に至るかということを把握することはとても大切なことです。基本的に精神疾患は急性期があり、その後個人差はありますが慢性期もしくは寛解状態へと移行します。直近で初めて罹患した方もいれば、長く付き合っている方もいらっしゃるでしょう。できれば簡単にでもこれまでの経過と共に、現在の状態も伝えてください。

●(転職の場合)これまでの仕事の中で困ったな、配慮が欲しかったということがあれば教えてください

もし前職で障害が関係する何らかの困り感があれば、次に生かせることがあるかもしれないという視点での質問です。具体的に困ったポイントや、もっとこんな環境であれば活躍できたかもしれないという体験を伝えてください。併せて、自分でもその経験を踏まえて工夫して対処できることが増えたエピソードがあれば、障害に対して人任せにせず自分でも工夫できる人なんだな、というアピールになります。

●必要な合理的配慮があれば教えてください

前の質問と似ていますが、今現在自分がどんなことに困っていて、どんな環境であれば働きやすいのかお伝えてください。例えば静かな環境の方が働きやすい、その日によって体調の変動があるのでフレックスタイムがあると活用したい、一度にたくさんのことを指示されると混乱するので1つ1つ指示がほしい、など具体的に伝えるのがポイントです。

企業側も全ての配慮ができるとは限りませんが、把握できている希望する配慮については伝えてください。できれば、その企業で活躍するためにはどのようなことができた方がいいのか質問して把握しておけると、実際に働くことになった際の心構えになります。

また、「配慮はいりません」と言い切ってしまうのは懸念です。本当に配慮がいらないのであればよいのですが、実際には何らかの配慮が必要で、相談しない状態で業務がスタートしてからやはり配慮が必要と分かると、お互いに苦しい状況となり、早期離職につながってしまう可能性が高くなってしまいます。

 

 

経歴についての質問の傾向

精神障害を抱える方が、面接時に聞かれやすい質問の傾向とは?

障害者雇用か否かに関わらず、入社した後にどのような活躍をしてもらえそうかという視点で、これまでの経験についてはたくさん質問されるかと思います。

● これまでどんな業務を担当してきましたか。どんな成果でしたか。

これまで仕事の経験があれば、そこで経験したことや得たスキルがどのようなものであったか、という質問です。特に、自分が得意なこと、今後もやりたいことなどがあればその温度感も併せて伝えるとよいです。そして、その結果がどうなったか具体的な表現で伝えるとアピールになるでしょう。どのような場面で力を発揮する人材なのかを面接官に伝えることができます。

●得意なこと苦手なことがあれば教えて下さい

合理的配慮と共通する部分があるかもしれませんが、障害有無にかかわらずある得意なこと・苦手なことです。好きなこと・そうではないこと、という視点でもよいかもしれません。これまでの経験の中から自己分析して整理しておくといいでしょう。

 

 

その他聞かれる事のある質問の傾向

精神障害がある方は職場のコミュニケーションについて悩みがちです。一緒に働く企業の人も悩むポイントになりますので、働きやすさに繋げるために伝えておくのがおすすめです。

●人とのコミュニケーションについて気になることがあれば教えてください
ここでは、例えば大きな声で叱責する人が苦手というような気になることや、たくさん人とコミュニケーションを取りたいタイプか、あまり人とはコミュニケーションとると負担になるタイプかなど、自分の特性や希望を伝えてください。採用面接官は、配属部署や物理的な環境、一緒に働く人をイメージできます。

●どんな性格ですか?また身近な人にはどのように言われますか?

人となりを知るための質問です。採用面接は、かちっとした定型文のような回答をする方が一定いらっしゃいますが、企業側が知りたいのは面接用に作られたその人ではなく、「一緒に働きたいと思える人か」です。この質問では、仕事に限らず普段の自分や、周囲からどんな人と見られているかを聞くことでその人らしさを知りたいと思っています。

 

 

まとめ

精神障害のある人の面接は、お互いに気を遣ったり、相手の意図を汲むのに気を張ったりしがちです。でも、面接は本質はお互いに一緒に働けそうか確認する場ですし、その時の募集枠が少ないなど、運もあり全てが実力如何というわけでもありません。自分のこれまでの経験や考えを棚卸し、自分の経験や魅力を自身を持って伝えてみてください。