精神障害の等級別、おすすめの職種と必要な支援

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2021/2/16
2021/9/14

精神障害の等級別、おすすめの職種と必要な支援

はじめに

精神障害には、3つの等級があります。1級、2級、3級の分類で、等級の数字が若いほど重度となります。つまり最も重度なのは1級です。これらの等級については症状別に段階が分けられ、それぞれの等級別に障害者手帳を保持することになります。障害者手帳を保持しているとさまざまな制度の適用を受けられるわけですが、それとは別にこうした精神障害の等級をお持ちの方が仕事をするとなると、どんな仕事が適しているのでしょうか。そして、それ以前にそもそも働くことは可能なのでしょうか。

当記事では、精神障害の等級についての害いようと、それぞれの等級別に可能な仕事、向いている仕事について解説します。精神障害をお持ちの方で、働きたいという気持ちをお持ちの方はぜひ参考にしてください。

 

精神障害の等級について

最初に精神障害の等級についておさらいをしておきましょう。精神障害に1級から3級まで3つの等級があり、それぞれの等級は以下のようにカテゴライズされています。

・精神障害1級

他人の援助がなければ日常生活が実質的にほとんど不可能な状態です。入院を要する場合が多く、その場合であっても院内では生活援助を必要とします。在宅であっても自発的に医療機関に通うといったことが困難であるため、家族などの付き添いが必要です。食事や後片付け、入浴といった日常生活も自分だけでは困難なので、援助が必要になります。

・精神障害2級

日常生活に著しい制限が加わるものの、他人の援助がなくても生活できるケースもあるのが精神障害2級です。必ずしも付き添いがなくても外出することは可能ですが、何か予定外の出来事やストレスがかかるような事態になった場合に単独での対処は難しいでしょう。ルーティンになっている外出であれば可能なので、医療機関だけでなく作業所など就労に出向くことも症状によっては可能になります。1級のように引きこもり状態になってしまうとは限りませんが、自発的に何か行動をするとなると困難を伴います。

・精神障害3級

2級よりもさらに軽度なのが、精神障害3級です。日常生活や社会生活に一定の制約はあるものの、2級よりは軽度で、1人での外出にも難がないという人がほとんどです。ただし、強いストレスなど想定外の出来事があった場合には対処が困難になる可能性は高いでしょう。障害者雇用施設などでの就労は可能で、人によっては一般就労をしていることもあります。日常生活において自分のことをこなすのに困難が少ない人も多く、炊事、洗濯、掃除といった家事をこなせる人も多く見られます。

 

等級別おすすめの職種

精神障害の等級別、おすすめの職種と必要な支援

前章では精神障害についてそれぞれの等級の定義や概要について解説しましたが、これを見ると実質的に仕事をするのが可能なのは2級と3級の方というのが現実的な線になりそうです。それを踏まえて、精神障害の1級から3級まで、それぞれ等級別にオススメの仕事や必要な支援について解説します。

1級向けオススメの仕事と必要な支援

精神障害1級の方は、生活をするうえでの支援が必要なので、1級の状態で仕事をするというのは困難だと考えるべきです。まずは症状の改善を目指し、2級のレベルにまで回復することを目指すための支援が必要です。

精神障害1級の方は入院しているケースが多くなりますが、この場合は生活の援助を受けながら日常生活をこなし、まずは退院して在宅で生活ができるようになることを目指します。1級の重度になると人との交流が非常に乏しくなるため、親しい人との交流も乏しくなりがちです。そこで親しい人や身内の人などはできるだけ関わりを持ち、自発的に交流を持とうとしない本人を支援していくことが重要です。

2級向けオススメの仕事と必要な支援

2級の方は入院を必ずしも必要とはしないため、付き添いなしで外出をしたり習慣的な外出も可能です。日常生活においては制限があり、支援を必要とするケースが多いため、障害者自立支援法にもとづく生活訓練を行い、そのうえで就労移行支援や就労継続支援をすることによって作業所などでの就労を目指すことになります。作業所ではそれぞれの利用者のペースに合わせた就労ができるスキームがあるので、こうした環境で本人のペースを尊重しながら単純作業をこなしていく積み重ねが有効です。

また、企業に勤務して仕事をする場合にオススメなのが、リモートワークです。これだと出勤の必要がなく、自分のペースで仕事をすることができます。コロナ禍の影響で一気に普及が進んだリモートワークですが、それ以前から障害者が働きやすい仕組みであるとして推奨される流れがありました。本人のペースで進められる仕事をリモートワークでこなしていくことで社会との接点を持ち、自信を積み重ねていくことはとても有意義です。

3級向けオススメの仕事と必要な支援

3級の方の多くは作業所などで就労していたり、企業との雇用契約によっては一般就労をしていることも少なくありません。障害者枠だけでなく一般枠での雇用も選択肢に入るので、本人の症状や希望に合わせて「どれだけ働きたいか」を形にするのがベストです。等級に関わらず、精神障害をお持ちの方が働いていくには「働き始めること」だけでなく「働き続ける」ことが重要になります。そのために就労移行支援や就労継続支援があるわけですが、3級の方は社会復帰に最も近い位置にあることもあって、丁寧に進めていくのが良いでしょう。

オススメの仕事については選択肢がとても広く、単純作業だけでなく事務的な作業、さらにはパソコンを使った作業などもこなせる方が少なくありません。リモートワークによって在宅で仕事をこなすこともストレスを軽減する効果があるので、本人の能力や適性に合わせて最適なものを選ぶべきでしょう。

 

まとめ

精神障害の等級について、1級から3級まで個別に概要と就労の可能性について解説しました。実質的に就労の可能性があるのは2級と3級の方なので、それらの該当する方はオススメの仕事や最適な働き方、社会との関わり方をしっかりと検討しながら仕事に復帰していくのが良いと思います。そこで小さな成功体験を積み重ねることで自信につなげ、社会復帰へのロードマップを描いていくのが理想的です。