うつ病や精神障害から復職する際のリハビリ出勤で気を付けるポイントとは?

復職をお考えの方
職場復帰
2021/5/1
2021/6/10

はじめに

近年メンタルヘルスの不調により、職場に行けなくなり、休職となる方が増加しています。休職者が職場に戻るまでには、様々な段階を踏んでいきます。
本記事では、復職目前の時期にどのように過ごすことが望ましいのか、またその際にどのようなことに注意すればよいのかをご説明していきます。

 

復職が決まってからの流れ

復職の目途が立ってからの流れは、いわゆる通勤訓練、リハビリ出社、時短勤務を経てから復職するという流れを踏む会社が多いようです。

国としては2009年に厚生労働省 中央労働災害防止協会より『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』が発行されています。
その手引きでは、リハビリ出勤を設けている場合、より早い段階で職場復帰の試みを開始することが出来、結果として早期の復帰に結びつけることが可能となるとし、また、ご本人が実際の職場において自身や職場の状況を確認しながら復帰の準備を行うことが出来るため、より高い職場復帰率をもたらすことが期待されるとしています。

ただ、注意しておきたいことは、会社は自身の労働を提供し、対価を得る場所です。厳しい言い方をすると、基本的には、会社は治療やリハビリテーションをする場ではないことを認識しておく必要があると思います。それでは実際にリハビリ出勤とは何か、どんなことをするのかを説明いたします。

 

①通勤訓練

通勤訓練とは、実際に出勤する際の服装で、出勤する時間に職場に行くことを指します。
この訓練は、会社に行くことを億劫だと感じている方にお勧めしています。
中には産業医面談や、上司への報告で会社に行く際に、メンタル不調を起こさなかったり、会社へ行くことを億劫だと感じなかったりする方がいます。その際は、この訓練の期間を短くすることを助言しています。

通勤訓練の目的は『出勤を想定した行動をとった際の心身の反応を評価すること』です。
そのため、会社へ行くことを億劫だと感じていない方も、数日間は取り入れることをお勧めします。
注意点としては、通勤訓練の取り扱いは会社ごとに違うため、ご自身の判断で進めないことが大切となります。

ある事例を挙げますと、会社や主治医・リワークに相談せずにご本人が良かれと思って最寄りの駅まで通勤訓練をしていました。しかし、その方の会社では、休職時は他の社員に会うことを禁止するというルールがあったため、厳重注意となったという事例があります。
通勤訓練を始める前に行っておくことですが、まずは主治医に通勤訓練を行うことを確認し、リワークスタッフとスケジュールを決めておくことです。
どのような段階を踏んで通勤訓練を進めていくのかを確認していきます。
一般的な例としては、通勤で使用していた電車に乗る、出勤時の服装で行う、最寄りの駅まで行ってみる、出勤時間に近づけるなど、場所や時間等を段階的に出勤時の状況に近づけていきます。
ただし負荷の強さは個人で違いがあると思いますので、評価が必要となります。
おおよその方が、時間を決めずにまずは職場の近くまで行ってみることから始めます。患者さんから「スーツ、革靴だと疲れる度合いが違う」と言われたことがあります。このことからも、職場に行くこと自体で心身の不調が引き起こされない場合でも、通勤訓練をしたほうがいいと言えるのではないでしょうか。しかし、上述したように会社側としては、安全配慮義務や、交通費、労災等の考え方の差異がありますので、通勤訓練は会社の就業規則に従うこととなります。
最寄り駅まで行くのか、会社に入るのか、席に座るのか、誰かとコンタクトをとるのかなどを確認したうえで進めていきましょう。上司とコミュニケーションを取ったり、エントランスまでしか入れなかったりなど、会社によって通勤訓練の形は様々なようです。

 

➁リハビリ出勤

リハビリ出勤とは、実際に復職後の部署、自身の席で一定時間過ごすことを指します。
もちろん仕事はできないので、その時間に何をするのかは会社と相談したほうが良いと思います。
リハビリ出勤において重要なポイントは、給料の発生の有無です。給料が出る場合をリワークスタッフは時短勤務と呼んでいます。会社ごとに呼び方は違うかもしれませんが、お金の発生の有無で、その時間にできることも変わってきますので、まずは給料が発生するのか確認を行ってください。
通常、リハビリ出勤は休職中に行う出勤の練習と定義されますので、仕事をしないことが大切となります。労働基準法なども関わってきますので、会社の就業規則を確認し進めていきましょう。

また、リハビリ出勤を始めるタイミングですが、一概には言えず、それぞれ職場の就業規則に準ずる形かつ、ご本人さんの経済状況や傷病手当等のタイミングを踏まえることが大切かと思います。

続いてリハビリ出勤の進め方ですが、3段階で時間を延伸していくことを薦めています。おおよそスケジュールとしては、以下の3段階をそれぞれ2週間程度行う形が多いです。

①午前中
②9時~15時
③9時~17時

ポイントとしては、①午前に出勤をし、午後はリワークに参加していることです。
この時期のリワークでは、その日の振り返りや次の日への準備性を高める面談や作業を行います。リハビリ出勤の後にリワークを挟むことで会社側も安心されることが多く、このシステムをお勧めしています。

②9時~15時、③9時~17時の際は、電話連絡をして、出勤状態や様子を報告していただきます。また、東京リワークセンターではナイトケアを行っている日がありますので、その日は出勤後に来ていただき、1週間の振り返りを行います。リワーク施設によっては土曜日にフォローアップしている場合もあるようです。

リハビリ出勤のスケジュールの組み方は会社毎に様々です。ご本人が時間や環境の変化に対応できていること、疲労感を残さずに次の週も出勤できていることが大切となります。
会社側や支援者はリハビリ出勤を通して、それらの評価を行います。ご本人が疲労を感じていないこともあるため、実際に会った際に評価をする必要があります。
表情や服装、整容、反応や言語流暢性等、ご本人が自覚していない疲労感を他者からの視点として、フィードバックします。ここでの注意点は通常の疲労感は差し引いてフィードバックする必要があることです。

そしてリハビリ出勤を既定の期間終えると復職面談となります。主治医、産業医、リワークで振り返りを行い、実際に復職日をいつにするのか決めていくことになります。

 

 

復職が決まってから気を付けるべき事とは?

最後に、復職が決まってからの注意点をご説明いたします。
まずは、通勤訓練・リハビリ出勤が会社規定であるのか、あるのであれば、期間はどのくらい必要なのかを確認してください。
これは、会社規定でリハビリ出勤がある場合、いざ復職が決まった際に、休職期間との兼ね合いや会社の産業医とのスケジュール調整などで、物理的に間に合わないということもあり得るためです。
次に復職の許可をもらう順番を必ず確認してください。下の図は、厚生労働省が提示する職場復帰までの流れとなります。基本的にはこのように進めていくことが多いかと思います。会社の就業規則によって、若干の違いも考えられますので確認しましょう。

[caption id="attachment_595" align="aligncenter" width="640"] 職場復帰支援の流れ[/caption]


ここで重要なことは、ご自身が現在どのステップにいて、次のステップに進むためには、だれの許可が必要なのかを把握しておくことです。
具体的には主治医・産業医・人事・リワークがおおよそ復職許可のポイントを握っておりますので、許可を取る順番の確認を行いましょう。

ある事例として、主治医から許可がおり、会社にもその旨を伝え、早々に復職日を設定した方がいらっしゃいます。
主治医としては、このまま順調にいけば復職ができるというだけで、具体的な日付を出しての復職許可は出していませんでした。結果としてこの方の復職日は後ろ倒しになりました。これにより、会社側の心証が悪くなってしまったという事例がありました。

ここでの反省点は、『復職許可の日にち』の誤認です。
現段階で復職してよいという許可なのか、復職に向けた行動をとってよいという許可なのか、復職日をどのように決めていくのかを主治医にきちんと確認しなかったことが反省として挙げられます。主治医から許可が出て、すぐに会社に連絡をするのではなく、まずは復職の日付や、その日までどのように過ごすのかの計画を練り、各方面に確認しましょう。
日付の使い方には十分注意しましょう。もし心配な際は、リワークスタッフに報告・相談をしてから、職場に連絡をするのもよいかと思います。

 

まとめ

今回は復職のめどが立ってから職場復帰までの流れや注意点をご説明いたしました。
一番大切なことは主観的評価としてのご自身の判断ではなく、客観的評価としての会社、主治医、リワークスタッフと連携を図りながら、進めていくことです。業務遂行能力としては会社、疾病性としては主治医が最終的な判断を行うと思いますので、それぞれの状況をリワークスタッフとの面談を通して明確化していくことが大切かと思います。