リワークプログラムとはどんな支援が受けられるのか?

復職をお考えの方
リワークプログラム
2021/2/16
2021/9/14

リワークプログラムとはどんな支援が受けられるのか?

はじめに

近年、メンタルヘルスの不調により、会社に行くことができなくなった方を対象にした、リワークプログラム(復職支援)を行う施設が増加しています。
コロナ禍においてはますますそれが加速すると思われます。それに伴い、プログラム内容や利用の仕方も多種多様化しています。本記事では、リワークプログラムの基本的な情報から、施設の違いをまとめています。

 

リワークプログラムとは

リワークとは、元は“return to work”の頭文字を取った造語です。リワークは復職支援のことを指し、主にメンタルヘルスの不調により仕事を休職中の労働者が、円滑に職場復帰をするための支援プログラムのことです。

リワークプログラムは、NTT東日本関東病院の秋山先生と、作業療法士の岡崎さんが始めました。脳卒中による片麻痺や高次機能障害などメンタルヘルス以外の休職者へのプログラムはシステムとしては見られず、個別対応になっていることがほとんどです。

 

リワークプログラムの対象となる人は?

会社に所属しており、うつ病や統合失調症などのメンタルヘルスの不調により、仕事を休まざるを得なくなった方が対象となっています。簡単に言ってしまうと、戻る会社がある方が対象です。

ここで確認ですが、リワークプログラムはあくまで復職支援のプログラムです。初めて働く方や仕事を探している方は対象にならないことに注意をしてください。専門家の中でも勘違いされている方がいます。

 

リワークプログラムを受けられる期間

リワークプログラムとはどんな支援が受けられるのか?

それぞれの施設で定められている場合もありますが、おおむね3~6か月と設定しているようです。そのため、3か月以上の休職期間が残っていない方は通所を断られるケースもありました。これは、生活リズムの安定や、考え方のクセ、働き方を変えていくなどいわゆる“内省”を行い、それを行動レベルにするためには3か月~6か月はかかる場合が多かったです。

しかし最近の社会の風潮から、早く仕事に戻ってほしいというニーズもあり、その場合1か月での利用を可能とする対応をとる施設も出始めました。短い期間で卒業した場合には、復職後のフォローアップに力を入れたり、会社でのリワークにつなげたりするなど、様々な形での支援も行っております。

次に長く利用をする弊害も考えていきます。前述したとおり、多くの施設では3~6か月を回復の目安としてプログラムを設定していると思います。そのため、1年以上通い続けることは、同じプログラムを何回も受けることとなり、プログラムへのモチベーションが下がることが懸念されます。

またプログラムの狙いや目的が分かってしまっている状態で参加することになるため、プログラムの効果が下がってしまったり、故意ではありませんが、他の患者さんへのネタばらしなどの悪影響も挙げられます。リワークが長くなったり、何度も利用したりする場合には、ご自身の課題や面談を増やすなどの工夫をして、リワークの使い方について、ご本人、スタッフで相談しながらプログラムを進めていくことが大切かもしれません。

 

リワークプログラムの種類

リワークプログラムを行っている施設は大きく分けて4種類あります。医療、福祉、公的機関、会社です。会社でのリワークは、会社の独自性を取り入れられることもあり、コロナ禍の社会情勢で増加している分野でもあります。

・医療系リワーク

医師を始め、医療系の有資格者がいます。作業療法士や看護師、精神保健福祉士、心理士など多様で、病気による症状について専門的なアプローチが期待できます。また利用に際して期限が無いことで、復職後のフォローアップも受けることができます。夜間帯の通所ができるナイトケアや土日にプログラムを開催している施設も増えてきました。そのため、仕事を休まずとも、スタッフと面談をしたり、他の参加者と交流することを可能となります。
費用は自立支援制度を活用することができるため、1割負担で参加できます。
また医療リワークの中には一般社団法人日本うつ病リワーク協会が認定する施設やスタッフがあります。

・福祉系のリワーク

主に就労移行支援事業所で行われる定着支援事業のことをいいます。特徴的なことは費用負担が少ないことで、中には無料の場合もあります。
スタッフ構成としては医療従事者ではないことが多いため、一般の会社で働くという感覚がある中で支援を受けることができます。期限はほとんどの施設が2年(延長して3年)で支援が受けられなくなりますので注意が必要です。

・公的リワーク(障害者職業センター)

公的なサービスのため無料で利用することができます。ただし公務員は受けられないことがあるようです。国が行っているリワークで心理検査等をベースとして必要な能力や職場で求められる能力など、数字をもとにした評価やアドバイスを受けやすいことが特徴です。
ただし、半日のプログラムのため、定時勤務、加えて残業に耐えられる体力が回復しているのかという判断をすることが難しいと思われます。
また、登録までの時間を要すことがあります。民間のリワークでは1週間前後で登録が可能な施設が増えてきたようですが、公的なリワークでは、長い場合、3か月以上待機することもあります。そのため、経済的困窮を強いられている方には利用が難しい場合があります。

・会社リワーク

会社の中で行うリワークプログラムです。
私が聞いた限りでは、他のリワークのメリットを取り入れながら、会社に所属する産業医、産業保健スタッフがプログラムを作っているようです。
主なプログラム内容は通勤訓練や、時短勤務です。作業内容を評価するよりは、所定の時間に出勤ができる状態なのかを評価している会社が多いことが現状です。しかし、会社リワークの内容は変化していくことも考えられますので、ご自身の会社にリワークプログラムがあるのか、プログラム内容は何か、確認することをお勧めします。

 

まとめ

4種類のリワークプログラムについて触れましたが、それぞれのリワークに長所・短所があります。利用を検討される場合は、電話での問い合わせや見学、口コミ、SNSなど様々な方法で情報を集めることをお勧めします。

実際に自身に合うかどうかは通ってみないとわからないことも多いですが、事前に情報を集め、準備をしておくことも大事なことです。
事前に集める情報としていくつかのポイントを挙げていきたいと思います。1つは復職率と復職継続率です。ご本人だけでなく、ご家族や職場の方の安心にもつながるため、皆さんが通う候補に挙げている施設の復職の実績や、復職後のフォローアップをしているかどうかの確認もしておくことをお勧めいたします。人事の方の中には、メンタル不調者への接し方で苦慮している方もいます。

フォローアップのあるリワークを利用していれば、病気・症状についてはリワークのスタッフが支援し、人事の方は勤怠や生産性を評価するなど役割を分担することでスムーズな復職継続が可能となります。
最後になりますが、リワークプログラムの利用を検討する際は、リワークプログラムを受ける回復段階にあるかどうかを医師が判断するため、主治医の先生に一度相談をするようお願いいたします。