就労継続支援B型とは?入所条件やプログラム内容を解説

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就労継続支援B型
2021/9/13
2021/9/13

障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスの中に、働くことの訓練を受けることができる就労系のサービス(就労支援)があります。就労支援には、「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の3つがありますが、ここでは「就労継続支援B型」について解説していきます。

 

 

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型とは?入所条件やプログラム内容を解説

就労継続支援B型とは、障害のある方が、体力や年齢などの理由で一般企業や就労継続支援A型の事業所で雇用契約を結んで働くことが困難な人が、自分の体調や体力に合わせて生産活動を行う場として利用できる福祉サービスです。

就労継続支援B型では、主に作業を行いながら就労に必要なコミュニケーションや体調管理などを含めた訓練を受け、その作業の対価として工賃を受け取る仕組みになっています。

事業所を運営するスタッフとして、社会福祉士や精神保健福祉士をはじめとする障害者支援の専門職や、作業を円滑に進めたり売上の向上を目指していくスタッフが配置されています。

利用にあたってはインテークと呼ばれる初回面接で、今までの仕事の経験や障害の詳細などをスタッフに伝えた上で、自分に合った作業や利用の仕方の相談ができます。また、6か月に1回、今までの半年をどんな風に過ごしたか振り返ったり、次の半年でどんなことを取り組むかの目標を設定していく個別支援計画を作成し、その目標をスタッフと共通認識を持ちながら訓練を受けることが可能です。

利用者は、就労継続支援B型を職場のように継続して働く場として利用している人もいれば、一定期間利用した後、就労継続支援A型や就労移行支援、または直接一般就労へステップアップしていく人もいます。

 

 

就労継続支援A型との違いは?

就労継続支援A型と就労継続支援B型の大きな違いは雇用契約の有無です。就労継続支援A型は事業所の雇用契約を結んだ上での利用になるので、最低賃金や雇用保険も適用され、より職場としての要素が強くなります。勤務時間に応じて社会保険が適応されることもあります。通所に関しては基本的に週20時間以上安定して働くことができる必要があります。

一方、就労継続支援B型は、雇用契約を結ばないので、報酬に最低賃金の適用はなく、工賃と呼ばれる作業代を受け取ります。通所に関しては週の作業時間の決まりはなく、スタッフと相談して通所頻度や利用の仕方を決めていきます。

どちらも、福祉専門職が配置され、障害や体調に対して配慮を得ながら作業に取り組めるところは同じです。雇用契約有無により、就労継続支援A型はより仕事の要素が強いところが大きな違いでしょう。

 

 

就労継続支援B型を利用する条件とは?

就労継続支援B型を利用できる条件は、障害者総合福祉法で以下のように定められています。

1.就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
2.50歳に達している者または障害基礎年金一級受給者
3.1及び2に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関わる課題等の把握が行われている者

雇用契約を結ばないため利用に関する年齢の上限などもありませんし、必ずしも障害者手帳を持っていなくても利用できます。ただ、一般企業で雇用契約を結んで働くことが困難な人が利用できる、という前提があるため、学校を卒業したばかりの方(例えば特別支援学校の卒業生)が、卒業後すぐに利用することはできませんので、その場合は就労移行支援の利用を経て利用の必要が認められることが条件となります。

 

就労継続支援B型ではどんな作業をするのか?

同じ就労継続支援B型でも、作業内容はかなり幅が広く、飲食、小売り、清掃、内職などさまざまで、中にはアートやウエディング事業に取り組んでいるところもあります。企業から作業の下請けや、事業所で飲食店を自主運営していることもあります。

また、その事業所の運営方針によって同じ就労継続支援B型であっても活動スタイルや雰囲気もそれぞれです。例えば、

  • 高い工賃を支払うことに積極的に取り組んでいる事業所
  • 体調に合わせて、よりマイペースに作業できることを重視している事業所
  • 就労移行支援との多機能型になっており、就労も視野に入れることのできる事業所

などがあります。単に作業内容が違うだけではなく、運営方針の違いもあります。しっかり働きたいのか、それともゆっくりステップアップしたいのかというご自身の体調に合わせた選び方をするのも大切です。

 

 

就労継続支援B型での賃金目安

就労継続支援B型の工賃額は、事業所によって大きな差があります。令和元年に厚生労働省が発表しているデータによると、就労継続支援B型の平均工賃額は16,118 円ですが、都道府県による差、事業所ごとの差が非常に大きいのが実情です。

就労継続支援A型に近い事業形態で、工賃向上を目指してバリバリ作業し、利用者の自立を促していくような事業所では、利用者の能力や売上に応じて3万円、5万円、中には10万円近い工賃を月額で支払っている事業所もあります。

一方、安心して過ごせることを重視し、マイペースな通所と作業ができる事業所では1万円以下の工賃の事業所もあります。

どちらがいい、悪いではなく事業所の運営方針や利用者の利用の仕方による結果です。時給制のところもあれば日給制のところもあり、一概に平均と言っても週何日、何時間作業するかによって受け取れる工賃額は大きく異なります。
参考:厚生労働省 平成30年度工賃実績

 

 

就労継続支援B型の利用方法

まずは利用してみたい就労継続支援B型事業所を何カ所か見学に行ってみてください。家から無理なく通える範囲の事業所で、複数見てみるのがおすすめです。事業所の雰囲気やスタッフの方との話しやすさ、どんな障害を持った利用者の方が多いか、作業内容や工賃についてなど知ることで自分に合った事業所を選ぶことができます。

また、利用にはサービス受給者証の発行が必要ですので、お住いの市町村の障害福祉の窓口で申請します。申請には主治医の診断書や障害者手帳など障害や疾患が把握できるもの、氏名・住所がわかるものなどが必要です。サービス受給者証は申請から発行まで市町村によって1~2か月ほどかかることもありますので、利用を考えている際には早めに窓口に相談に行きましょう。

 

 

まとめ

就労継続支援B型の全体について解説してきました。同じ就労継続支援B型でもさまざまな事業所があるのがお分かりいただけたでしょうか。就労継続支援B型は、ざっくりとデイケアと一般就労の間といえるかと思います。その中には、ゆっくり自分と向き合うリハビリのような利用の仕方から、どんどん自分の力を発揮していく訓練を受ける、というところまで幅広い要素が含まれます。事業所によって何を大切にして運営されているのか異なりますので、利用を検討する際にはぜひ実際に見学に行き、スタッフへの相談もしながら自分に合った事業所を探してみてください。