不安障害にはどんな種類があるのか?

自分の症状を知る
不安障害
2021/7/26
2021/7/12

メンタルヘルスによる不調を抱えている方の中には、過度に緊張したり、落ち着かなかったり、ドキドキするというような不安がある方もいると思います。
今回は、厚生労働省の情報を用いながら、不安障害についてみていきたいと思います。

 

 

不安とは

まずは不安について考えていきましょう。
「恐ろしい」「落ち着かない」「どうにかなってしまいそう」など主観的な症状をはじめ、腹痛、発汗、息切れ、口渇など身体的に表現されたり、回避・逃避など行動も症状として現れます。これは、不安・緊張を感じた時に現れる症状で、誰にでも現れると言われています。
たいていの場合は、原因となる心配事がなくなれば、症状も自然と消えていきます。そもそも不安は、私たちが生きていくうえで何らかの危険を察知し、命を守るために逃げるときの反応であり、生きていくうえで必要なシステムなのです。

しかし、それほど危険でなかったり、むしろ何も問題がないのに不安のシステムが過度に反応してしまうことがあります。この場合に「病的な不安」である可能性を考えます。「病的な不安」は「正常な不安」と違い、理由無く生じ、あるとしてもそれと不釣り合いに強く、原因が解消されてもいつまでも続く、などの特徴があります。

「正常な不安」は、危険に備え、問題解決へ向かって行動を起こす原動力になるといった、人間にとって必要な側面をもっているのに対し、「病的な不安」は何らかの精神的・身体的な疾患の徴候である可能性があります。

 

 

不安の種類

続いて不安障害の分類についてみていきます。
不安のあらわれ方には様々な形があり、それによって不安障害の下位分類がなされています(ただし原因の明らかなものは原因によって分類)。
図に示した分類は、米国精神医学会のDSM-IV-TRを引用しています。またほかにも臨床でよく使われる分類基準であるWHOのICD-10では、パニック障害と恐怖症の関係がやや異なることと、一般身体疾患や物質によるものは不安障害からのぞかれている点が異なっていますが、他はほぼ共通しています。

「不安障害」というのは、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。中でもパニック障害は、不安が典型的な形をとって現れている点で、不安障害を代表する疾患といえます。

ここで代表的なものを紹介していきます。

 

 

パニック障害

突然理由もなく激しい不安に襲われて、心臓がドキドキする、めまいがしてふらふらする、呼吸が苦しくなるといった状態となり、場合によっては死んでしまうのではないかという恐怖を覚えることもあります。このような発作的な不安や体の異常な反応は「パニック発作」と呼ばれます。

パニック障害は、パニック発作が予期せず繰り返し生じるだけでなく、少なくとも1回の発作後に1か月かそれ以上の間に、「もっと発作が起こるのではないか」という心配(予期不安)や、パニック発作やその結果の意味についての心配(コントロールできなくなってしまうのではないか、心臓発作をおこしてしまうのではないかなど)が続いたり、パニック発作によって生活上の行動が大きく変動してしまう場合に診断されます。

パニック障害は、このような強い恐怖を感じる経験のため、パニックが起きそうな場所に行けなくなったり、行けたとしても強い恐怖を抱くこともあります。

パニック発作では、次のような症状が突然表れて、10分以内にピークに達すと言われています。

  • 動悸がする、心拍数があがる
  • 汗が出る
  • 体が震える
  • 息切れがする、息苦しい
  • 窒息する感じがする
  • 胸が痛い、胸苦しさがある
  • 吐き気、おなかの苦しさ
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
  • 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
  • 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
  • 死ぬことへの恐怖
  • 感覚まひ、うずき
  • 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がする

パニック発作は恐怖症、強迫性障害、PTSDなどのほかの不安障害、うつ病、統合失調症、身体疾患や物質関連障害などでも同様の症状がみられますが、パニック障害で経験するパニック発作は、「予期しない発作」です。原因やきっかけ無しに起こったり、いつ、どこで起こるかわからない発作を「予期しない発作」といいます。恐怖症の人が(たとえばヘビ恐怖症の人)が恐怖対象のヘビに出会った時に起こるパニック発作は、「状況依存性発作」であり予期しない発作ではありません。ただし、パニック障害の患者さんに、両方のタイプの発作が起こることはありえます。

 

強迫性障害

強迫性障害は、つまらないことだとわかっていてもある行為をやめられず、くりかえし同じことをしていないと不安でたまらなくなることが症状として挙げられます。
DSM-Ⅴによると、強迫性障害は、強迫観念や、強迫行為からなる精神障害としています。
強迫観念は、頭から離れない考えのことで、その内容が「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができなくなったりします。
強迫行為とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことです。自分で「やりすぎ」「無意味」「馬鹿馬鹿しい」とわかっていてもやめることができません。
たとえば、「くりかえし手を洗い続ける」「火の元や戸締りを何度も確認する」「階段や電信柱など気になった数や、頭に浮かんだ数字を数え続ける」といったものがあります。自分でも不合理だとわかっていても、しないではいられない「強迫行為」をくりかえすことに時間がかかり、学校や日常での生活に影響が出てしまうことが強迫性障害の特徴として挙げられます。
以下に代表的な強迫観念と強迫行為を挙げています。

 

不潔恐怖と洗浄

汚れや細菌汚染の恐怖から過剰に手洗い、入浴、洗濯をくりかえす、ドアノブや手すりなど不潔だと感じるものを恐れて、さわれない。かと言って綺麗好きとは違うので、部屋がとても綺麗というわけではない場合が多いです。私が関わった患者さんでは、シャンプーを10回以上しないと洗髪できないという症状の方がいました。

 

加害恐怖

誰かに危害を加えたかもしれないという不安がこころを離れず、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認したりする。

 

確認行為

戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認する(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手でさわって確認するなど)。水道の蛇口を何個も壊してしまう方がいました。

 

儀式行為

自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない。

 

数字へのこだわり

不吉な数字・幸運な数字に、縁起をかつぐというレベルを超えてこだわる。

 

物の配置、対称性などへのこだわり

物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になる。

 

全般性不安障害

学校のことや家族・友達のこと、生活上のいろいろなことが気になり、極度に不安や心配になる状態が半年以上続きます。
不安だけでなく、落ち着きがない、疲れやすい、集中できない、イライラする、筋肉が緊張している、眠れないといった症状もみられます。

 

 

まとめ

今回は不安障害をみてきました。これを読まれている方の中には、思い当たる症状があった方もいるのではないでしょうか?気になる方や症状が改善しない方は専門家である心療内科や精神科の受診を検討してみてくだい。

自己判断や民間療法で改善策を講じてしまうと逆効果になってしまい、状態が深刻化してしまうこともあるので注意しましょう。