うつ病になると、男性にはどんな症状が出るのか?傾向と対策は?

自分の症状を知る
アンコンシャスバイアス
うつ病
傾向
2021/9/20
2021/9/13

うつ病になると、男性にはどんな症状が出るのか?傾向と対策は?

厚生労働省の患者調査(平成29年)によると、日本では年間、男性で49.5万人、女性で78.1万人がうつ病に罹患しています。

女性は、ホルモンバランスの影響を受け男性よりもうつになりやすく、特に産後や更年期にうつ病になりやすいと言われていますが、男性の場合は40代が最も多く、特に「仕事」が大きな影響を及ぼしています。

 

 

うつ病の主な症状について

うつ病になると、男性にはどんな症状が出るのか?傾向と対策は?

うつ病は強い不安や悩み、ストレスが原因となり発症します。そして、仕事の場面ではストレスが発生しやすい環境です。

例えば、

  • 転勤、転職
  • 左遷、出向
  • 単身赴任
  • 職場の人間関係
  • 職場でのいじめ
  • リストラ
  • 低評価、または評価への不安
  • 方針の変化
  • 業務とのミスマッチ
  • ハラスメント
  • 仕事の失敗
  • 長時間労働
  • 業務過多
  • 役割を与えられない
  • 無職であること

などが影響します。1つではなく、いくつかの要因が重なることもあるでしょう。

  • 責任ある仕事の終了
  • 思いがけない栄転や昇進

といった、一見ポジティブな出来事も、環境の変化がストレスとなりうつ病の誘因となりえます。

男性のうつ病が発症しやすい中年期は、こういった仕事のストレス以外にも、子育てや介護、体力の衰えや病気にかかりやすくなるなど、ライフステージとしても変化があり、ストレスがかかりやすい時期です。

うつ病になると、こういった精神的ストレスや身体的ストレスの影響で、ストレスがかかり脳がうまく働かなくなります。眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状や、気分が落ち込む、普段好きなことも楽しめないといった精神症状が現れ、日常生活にも影響が出ます。

仕事の場面では、作業に集中しにくくケアレスミスが増えたり、他者に気を遣えなくなる、落ち着かずイライラしてしまう、遅刻や欠勤が発生する、ということが起こります。

 

 

うつ病の男性に多くみられる症状

仕事の場面では、特に責任や周囲からの精神的な重圧を感じやすく、業務遂行の責任感から、自分の精神的な不調へのケアが後回しになりがちです。

結果として、疲労が溜まってしまい解消されないまま、うつが進行してしまいます。最初は「これくらい」と思っていた負担感も、ケアせずに積もり積もることで大きな影響を及ぼします。

男性のうつ病では、上記のような基本的な症状に加えて、飲酒量が増えアルコールの問題が起こりやすいと言われます。また、薬物乱用や自死のリスクが高くなります。うつ病の罹患は、女性の方が男性よりも多いにもかかわらず、うつ病での自死は男性が女性の2倍と言われてるのです。

これは、社会の男性に対する価値規範が影響しています。

「男らしく」「涙は見せない」「弱いのはかっこ悪い」「仕事はやりきるべきだ」など、社会が男性や仕事に対して持っている価値規範が、男性に人を頼りにくくさせています。
これは、アンコンシャスバイアス=無意識の偏見と言われ、知らず知らずのうちに私たちが持ってしまっている間違った先入観、固定観念です。

男性自身も自分に対してそのような考えを持っている場合が少なくありません。
他者と共感し合うコミュニケーションが得意な女性に比べて、男性は「人に相談したり、頼ることは恥ずかしい」と感じてしまい、医療機関への受診も遅れがちです。

それにより、アルコールに頼るといった好ましくない手段をとったり、追い込まれた結果の自死にもつながったりしやすいのです。

 

 

男性がうつ病になった場合の、一般的な対策とは?

うつ病になると、男性にはどんな症状が出るのか?傾向と対策は?

うつ病になったら、医療機関を受診し、主治医の指示に従って服薬やカウンセリングを受けてしっかりと療養するのが一般的です。

職場で仕事のプレッシャーが強すぎる場合は、業務量やストレスになっている要因を相談したり、休職、異動、退職などの方法でその場から離れる必要もあるかもしれません。自分の状態を説明したり、休みたいという相談やSOSを勇気を持って出してください。

その上で大切なのは、自分が休むことをまず自分が許してあげることです。

自分自身がもしアンコンシャス・バイアスを持っていたら、自分に課していた「男だから」「みんなやっていることだから我慢するべき」「●●しなければならない」という考えを手放し、自分が人間として持っている弱さや本音を信頼できる人に話しましょう。

このような考えが強い場合は、すぐに考え方を変えるのは難しいかもしれません。また、アンコンシャス・バイアスがあること自体が悪いわけでもありません。誰もが社会の中で価値規範の影響を受けて自分の考え方を構成しているので、アンコンシャス・バイアスのある考えが浮かぶことは自然なことです。

ただ、それが自分自身を苦しめることがあります。自分が今偏った考え方をしているかもしれない、ということを自覚し、楽な考え方に軌道修正するのが大切です。

医療機関では、治療の一環として、認知行動療法などの心理療法やカウンセリングでこの考え方を変える方法を学ぶこともできます。

そして、療養を終えて仕事に復帰するときには、これまでと同じやり方ができるように回復するという視点ではなく、より自分に合った楽な考え方や働き方を新しく作っていくことが、その後も無理なく働き続けるために大切です。

 

 

まとめ

男性で、特にうつに罹患しやすい40代前後は、仕事で責任ある立場についていることも多く、自分をコントロールしながら仕事のミッションの達成をし続けることを絶えず求められる状況があります。うつ病になると普段よりもさらに視野や考え方は狭く、ネガティブになりがちです。

そこに、「強くいなければいけない」という思い込みがより一層SOSを出しにくくさせている場合がありますが、人に頼ることで生きづらさを柔らかくすることができます。自分がSOSを出せる人、休める場所を見つけてゆっくり休むことがとても大切です。

もし今うつ病に罹患していて、なかなか頼るのは難しいなと感じている場合も、主治医や身近な話しやすいと思える人から頼ってみてください。それは恥ずかしいことではなく自分を守ることに繋がります。