近年、「大人の発達障害」という言葉が、多く聞かれるようになりました。これまでは個性的、ミスが多い、ちょっと勉強が苦手、そう思われていた人が、実は発達障害だったという例が少なくありません。しかし、発達障害は、治療やカウンセリングで、日々の生きやすさを手に入れることが可能です。この記事では、発達障害の特徴や大人と子供の発達障害の違いなどについて、解説します。
発達障害は、大きく分けて4つの種類があります。まずは、それぞれの特徴を以下に見て行きましょう
ADHDの人は、落ち着きがなく、注意力が散漫になりやすいという特徴があります。
集中できない、片付けが苦手、話を整理できない、忘れ物が多い、目の前の仕事や用事よりも気になったことを優先してしまうなどといった傾向が見られます。
SLDの人は、計算や読み書きを特に苦手としています。レジでかんたんな計算ができない、大きな数の計算が苦手、似ている文字の見分けがつかない、文字が鏡文字になってしまうなどといった特徴があります。
自閉症スペクトラムの人は、コミュニケーションが苦手です。空気が読めない、何を話していいのか分からない、集団行動になじめない、相手の気持ちを察することができない、人ができる簡単な仕事や用事ができないといった特徴があります。
発達性協調運動障害の人は、身体の複数の部分を同時に動かすことが苦手です。両手で違う動きをしたり、目で見ながら手を動かしたり、手足を同時に使っての作業に時間がかかります。例えば、パズルが作れない、チームでの球技が苦手、車の運転が上手にできないといった特徴がみられます。
大人の発達障害は、子供と異なる特有の悩みを抱えていることが多いと言われています。例えば、仕事や対人関係、子育てなどのさまざまな活動の中で、発達障害が影響してくることがあるからです。
発達障害が軽度の場合は、普通の人と同じように社会に出るのが一般的です。しかし、計算や読み書きができない、コミュニケーションが苦手、作業に時間がかかる、細かいことにこだわってしまう、お金の管理ができないといった部分で日常生活や仕事に支障が出るケースも多いことでしょう。また、周囲から怒られたり、自分自身が大きなストレスを抱えたりといったトラブルも考えられます。
このような生きづらい思いをしないためにも、大人の発達障害は正しい方法で治療をしましょう。投薬や環境改善、カウンセリングやトレーニング、周囲からの理解などで、日々の生活を生きやすく変えて行くことが可能です。
「発達障害かもしれない」と思うことがあれば、早めに専門の医療機関を受診してみましょう。
大人の発達障害と子供の発達障害。症状は同じように分類されますが、治療や発達障害との付き合い方には、少し違いがあります。
子供の発達障害の場合は、就学前の検診や子供からのサインで症状に気付くことが出来ます。症状に応じた治療や接し方をすることで、大人になるまでに改善できるケースも多いでしょう。また、支援学級やデイサービスを利用して、症状にあった教育や指導を受けることもできます。
一方、大人の発達障害の場合は、大人になってから気付くケースが多い傾向にあります。子供の頃、勉強が苦手だったり、コミュニケーションが得意でなかったりした場合でも、周囲の配慮で個性だと捉えられてしまい、表に出ないケースがほとんどです。
大人になってしまってからの発達障害は、改善が難しいとも言われています。今以上に問題を悪化させないことを前提に、生活環境を整える、生き方を工夫するなどという部分に重点を置いた治療を、メインに行うことになるでしょう。
しかし、大人の場合も、早く気付けば気づくほど、速やかな対処が可能になります。「人と同じことができない」「人と同じようにしようと思うと生きづらい」。そのように感じているのなら、大人の発達障害を疑ってみることが大切です。
「自分は大人の発達障害なの?それとも、単純に勉強が苦手だったり、うっかりミスが多かったり、人見知りだったりするだけ?」と悩んでしまう方もいるかもしれません。発達障害かどうかで迷ったら、まずは次のようなセルフチェックを行ってみましょう。
・やらなければいけない仕事に集中できない
・一つの場所でじっとしていることが苦手
・考えるよりも先に身体が動いてしまうことがある
・部屋の片づけができない
・ゲームやスマホを使い始めると辞められない
・人の話を理解できない
・話をまとめられず、文章や会話が長くなる
・たし算やひき算など、かんたんな計算ができない
・本の内容を理解できない
・文字を上手く書けない
・書いた文字が鏡文字になってしまう
・似ている字を見分けられない
1.ルールや予定が急に変更になると対処できない
2.人の目を見て話せない
3.大勢で行動するのが苦手
4.空気が読めないと言われたことがある
5.相手の問いかけにどう返事をして良いのか分からない
6.予定が狂うとパニックになってしまう
7.音や光、匂いなどの五感が人よりも過敏
1.自転車に乗れない
2.ボタンの多い服の脱ぎ着が苦手
3.ハサミやコンパス、定規をうまく使えない
4.かんたんなジグソーパズルを完成できない・時間がかかる
5.食事をこぼさずに口へ運べない
6.球技ができない
7.運転に著しく自信がない
8.文字をきれいに書けない
9.日常生活全般に時間がかかる
上記のチェックに該当する部分が多ければ多いほど、発達障害の疑いが高くなります。(セルフチェックの結果=発達障害だというわけではありません)当てはまる項目が多く気になる場合は、早めに医療機関を受診して、医師の判断を仰いでください。
発達障害を知り、適切な治療を行えば、いつもの仕事や人間関係がより楽になります。無理をして周囲に合わせ過ぎてしまうのでなく、自分のペースで歩けるように、環境を整えてあげましょう。
大人の発達障害 医療法人和楽会
働く人の西梅田こころとからだのクリニック
こころのはなし ハートクリニック