何か最近調子が悪いなぁ、気持ちや心身の調子が悪い・・ということ、ありますよね。日常的にもやもや、ざわざわして気持ちが落ち着かない。マイナス思考になり、落ち込む。こういったことは誰にでもあることですが、その辛いな、という状態が長く続く場合や、いつもと違う感覚がある場合などは、他者の力を借りて対処をした方がよいかもしれません。
また、一言に不調といっても色々なパターンがあり、少し調子が悪い・・という状況からすぐに対処が必要な場合まで様々です。少し不調だなと気づいたところから、とても辛いと感じるまでにもグラデーションがあり、どこからが対処が必要な状況なのか判断するのは難しいですし、ストレスが強くなるとより客観的に考えることが難しくなります。
ここでは、不調の内容からどのような心の病が考えられるのか、医療機関に受診する場合の選び方についてみていきましょう。
心の病はいくつかの種類に分けて考えることができます。ぴったり当てはまるものがある場合もあれば、一部に当てはまったり、いくつかの疾患が重複していたりすることもあるでしょう。
ICD‐10と言われる世界保健機構が出している診断ガイドラインを見てみると、100を超えるカテゴリーに分かれていて簡易に説明するのは難しいのですが、主にうつ状態、うつなどいわゆる「心の風邪」と呼ばれるものについて解説していきます。
お腹が痛くなる、肩こりや頭痛などの症状で不調を自覚することも多いです。医療機関に受診し検査しても身体の問題は見つからず不定愁訴や自律神経失調症と診断されることもあります。その症状に有効な対応をせずにいると、悪化して心も調子も悪くなることがあります。
うつは、最もよく耳にすることがある心の病の1つです。エネルギーが少なくなり、意欲が低下し、何ごともやる気が出ない、好きなことをしても楽しいと思えない、ものごとを悲観的に考えがち、というような状態です。
眠れなくなる(不眠)、または寝すぎてしまう(過眠)という睡眠障害が出てくることもよくあります。日常でも気持ちが凹んでこのような状態になるのはよくあることですが、この状態が2週間以上続き、日常生活や人間関係に大きな影響が出て健全な生活が送れなくなると、「うつ病」という診断になります。
また、うつは発達障害の二次障害として現れることがよくあります。職場の人間関係や業務のミスマッチなどで過度なストレスを感じうつや適応障害になった際に医療機関を受診したことがきっかけで発達障害の傾向が分かり、診断が降りるということもあります。
適応障害は、原因がはっきりしており、本人と環境の間に価値観の埋められないギャップがあって、そのストレスによって心身の症状が認められているような病気です。例えば「仕事の環境が合わない」ことによる心身の不調の場合は、その職場から離れることにより症状は改善します。
生命の危機にさらされるような、衝撃的な体験によるストレスによって生じるものを心的外傷後ストレス障害(PTSD)といいます。天災や犯罪、交通事故、親しい人の死など、適応障害の原因になるものと違い取り除くことが難しく、フラッシュバック(過去の経験を思い出すこと)や眠れない・食欲が湧かないといった症状がでる病気です。
ここまで主にうつ病に関連するものの一例について説明してきました。他にも心の病として扱われる病気は、統合失調症やてんかん、不安障害、人格障害、認知症や高次脳機能障害など様々なものがあります。何か直近のきっかけで不調が出てくるものもあれば、これまでの長い人生で経験したことが影響していることや、心の問題というより脳の器質的な問題で支障が出ていることもあります。時間で解決するのは難しく治療が必要な場合も多いです。自分がどんな状態なのかの確認を自分でするのが難しいことも多いので、そうした場合は医療機関に相談し、相談してみてください。
心の病を扱う診療科は複数ありますが、その中でも代表的な3つの診療科について説明していきます。
心療内科は、身体に何らかの症状が表れ、検査しても原因が分からず心の不調と考えられる症状(いわゆる心身症)を扱います。基本的なベースとしては内科として身体の不調や状態をみながら、影響を及ぼしている心の問題にもアプローチしていきます。
・お腹の調子が悪く検査したけど以上はなく、心療内科を進められた。
・血圧が高くなることがあるが、検査しても異常は見当たらない。
といった時に受診する診療科です。
精神科は、うつ病や双極性障害、統合失調症などの心の不調を扱います。
・2週間以上気分が落ち込んでいる
・眠れない
・生活や仕事に支障がでるほどやる気がなく行動できない
・不安・幻聴・妄想などが見られる
といった時に受診する診療科です。
神経内科は心の問題からではなく、脳や脊髄、神経、筋肉に病気があり、体が不自由になる病気を扱います。てんかんや認知症、パーキンソン病などです。
・手足の力が入らない
・ふらつく
・頭痛、めまい、しびれ感
・ふるえ、呂律が回らない、ものが二重に見える
・もの忘れ
といった時に受診する診療科です。
これらの診療科を標榜している医療機関の中には、1つだけ標榜しているところもあれば複数の診療科を標榜しているところもあります。「内科・心療内科」であれば身体の問題を多く扱い、「心療内科・精神科」であれば心身両面からアプローチできると判断できます。ただ、担当医師の専門が何の分野か(例えば、発達障害の専門家、てんかんの研究をしている、小児が専門など)で違ってきますので、受診を検討する場合は医療機関のホームページを確認したり、罹っている内科などがあれば紹介してもらうなどの方法で情報収集してみてください。ホームページがある場合は、医療機関の雰囲気や治療方針なども書いてあることも多いので参考にしてみてください。
心の問題にまつわることは、範囲が非常に広く専門的なことも多いので分かりにくいことが多いですが、身体や心の疲れから誰でも心の病気になりえます。辛い状況が続くときには「行きにくいな・・・」と感じるかもしれませんが、なるべく早く専門家に相談してみましょう。気になる医療機関があっても受診に迷ったら、まず電話をかけて受診して相談できそうか確認してみるのも1つの手です。早い対処が早い回復にも繋がると言われていますので、大変ですが、自分から情報を取りに行くことがとても大切です。それによって、他者の力を借りながら回復していくことができますよ。