うつ病は復職後に再発する?予防策と注意点

自分の症状を知る
うつ病
2021/4/5
2021/4/26

うつ病は復職後に再発する?予防策と注意点

Kesslerたちの行った2007年の国際共同研究によれば、日本人で、うつ病などの精神疾患にかかる人の割合は18%だというデータが示されています。日本人は、真面目な国民性が災いして、仕事や家事に一生懸命に取り組みすぎた結果、精神を病んでしまう人が多いとも言われています。中でも、うつ病は多くの人が苦しんでいる病気であり、再発のリスクも高い傾向にあるのです。

この記事では、うつ病を乗り越えて復職しようと考えている人にとって気をつけたいことや、再発しないための対策などについて解説します。ストレスの多い現代社会において、うつ病はもはや他人事ではありません。ぜひ、普段からできることを少しずつ取り入れてみてください。

 

 

うつ病は再発しやすい

厚生労働省の「うつ対応マニュアル」によると、うつ病の初回の治療後の再発率は60%と高い水準を示しています。なお、2回目の再発率は70%、そして3回目は90%とますます確率が高くなるとされています。そのため、うつ病を乗り越え、復職できたにもかかわらず、再発してしまったために、すぐに休職するケースは珍しくありません。

せっかく意欲が湧いてきて社会に出ることができても、再発してしまったら、一気に自信がなくなり、働くことに希望を持てなくなってしまう可能性があります。しかし、うつ病の再発を予防するためにできることは、たくさん存在するのです。

 

 

うつ病の対策予防策と注意点

うつ病は復職後に再発する?予防策と注意点

うつ病は、ストレスフルな生活を送ることにより、発生するリスクが高まります。そのため、毎日の生活で少しでもストレスを減らし、リラックスできる状態を作り上げることが重要です。予防として大切なのは、自律神経を整えることだと言われています。そのために、せかせかと焦って行動せず、動作をゆっくりにすること、また、太陽光を浴びることを心がけましょう。

コロナウイルスの影響で、自宅にいる時間が増えたという人も、毎日10分は散歩をしたり、部屋の窓を少し開けてみたり、そのようなできることから始めてみてください。毎日、家に閉じこもってスマートフォンばかり見ていたり、寝てばかりいると、思考がネガティブになりがちです。面倒に感じても、お気に入りの服に着替え、料理や掃除をし、少しだけ外出するなど、自分を労る時間を取ることが大切になってきます。

また、うつ病の予防には、自己メンテナンスを行うことが有効です。「今の自分」をしっかりと観察することで、ストレスが溜まっていないかどうかのセルフチェックをする習慣を身につけましょう。ストレスは、嫌なことだけではなく、楽しいことであったとしても感じることがあるとされています。ストレスが溜まると、心も体もなんだかだるく感じたり、生活が乱れたりするなどの変化が起きがちです。こういった自分自身の小さな変化に気づき、対処できるようになることがうつ病の予防につながります。

 

 

もし復職後に再発してしまったら・・・

うつ病を乗り越え、復職できたとしても、初めのうちは、「毎日をただ過ごす」ということを目標にしましょう。「休んだ分は頑張らないと」と思う必要はありません。病み上がりの状態で無理をしてしまい、さらに悪化してしまえば、復職後に辛い思いをすることにつながってしまいます。まずは、睡眠や食事に気をつけ、規則正しい生活を送ること、リラックスできる時間を意識的に取ることを心がけるようにしましょう。

なお、復職はゴールではありません。病院に行くのをやめたり、薬を飲むのをやめたりせず、主治医の指示に従って通院を続けるようにしてください。復職後に感じるストレスをどう対処するかについて学ぶことは、再発防止につながるからです。

ただ、どんなに対策をしていても、心が疲れてしまい、再発してしまう可能性は0ではありません。もし、再発してしまった場合にも、自分のことを責めないようにしてくださいね。そのときは、主治医と相談し、再度休職をすることも視野に入れましょう。「復職後、時間が経っていないのに」と焦らず、まずは自分の身体を一番大切に考えてあげることが、回復の近道になります。

 

 

転職も考えて、職場復帰は慎重に

うつ病は復職後に再発する?予防策と注意点

うつ病の再発を防ぐためには、職場復帰を焦らないことが最も大切になります。本人が「もう大丈夫、復職できる」と感じていたとしても、心の様子は目で見ることができないため、まだその時期ではないというケースが多くあります。復職後、無理をしてしまっては元も子もありません。自分がうつ病にかかった原因が、頑張りすぎたことにあるのであれば、同じようにまた頑張ってしまうと、再発してしまう可能性が高まります。そのため、家族や友人にもサポートしてもらいながら、少しずつ歩んでいくことが、結果的に復職成功のためには一番有効になるでしょう。

なお、働き方が多様化している現代では、必ずしも、元の職場に戻らなければいけない、正社員でいなければいけないといったこともありません。心機一転、新しい職場に転職をして、自分らしく働ける道を探してみるのも良いでしょう。最近では、リモートワークを取り入れている企業も増えてきました。まずは、自宅で働き始めることが、対人関係でのストレスを軽減できて効果的な場合もあります。また、週に3日出勤をしながら、自宅で副業をするという働き方なども考えられます。ワークライフバランスを意識して、毎日頑張りすぎずに生活していくために、できることを探していきましょう。

特に、現在はコロナ禍の影響で、うつ病にかかってしまう可能性はゼロとは言い切れません。まずは、毎日の生活の中で、少しでもストレスを少なくし、自分らしくゆったりと歩んでいくことができるように意識していきたいですね。また、うつ病を乗り越えて復職をする場合には、今回取り上げたような対策を実践しながら、焦らず進んでいくことを心がけてください。

 

 

【出典】
うつ病を予防するためにできること 上毛病院
うつ病の再発予防 おおさかメンタルヘルスケア研究所附属クリニック
うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために- 厚生労働省
国際共同研究 Kessler ほか(2007)
Lifetime prevalence and age-of-onset distributions of mental disorders in the World Health Organization’s World Mental Health Survey Initiative. World Psychiatry 6: 168-176.