仕事やプライベートでの人との会話の中で、相手が何を求めているのか気を遣いすぎて疲れてしまうことはありませんか?
逆に、その場の状況が読めずに相手に不快な対応をしてしまった、ということもあるかもしれません。
セルフモニタリングができていれば、日々のストレスを軽減しながら、状況に合った言動をとれるようになります。
逆に、セルフモニタリングがうまくいかないと、状況を読めない言動で他者に「空気が読めない人だな」と思わせてしまったり、逆に相手に気を遣いすぎて自分自身が疲れてしまったりします。
セルフモニタリングは、誰でも練習することで身に付けることができるものです。
さっそくみていきましょう。
目次
セルフモニタリングとは、自分の言動や、周囲の状況を客観的に捉えることで、適切な行動をとれるようにコントロールする方法です。
認知行動療法の中にも取り入れられている考え方のプロセスで、自分の考え方の歪みに気づける、というのがポイントになります。
セルフモニタリングができると、ストレスに振り回されずに自分の状態を整理でき、自分自身をコントロールできるようになります。
そのためには、自分の状態を自分で理解・整理できていることが大事です。
人間は、頭の中だけで物事を考えるだけでは、問題を整理したり、冷静に分析したりできないことも多いものです。
特に、自分1人で頭の中で悩みごとについて考えていると、ぐるぐると堂々巡りになったり、考えがネガティブな方向に進んでいったりしやすくなります。
普段は冷静に自分や周囲のことを見ることができる人でも、自分にとって特に嫌なできごとがあった時には、問題を整理・分析できなくなり、大きなストレスにつながってしまうこともよくあります。
こんな時に、セルフモニタリングを取り入れることができれば、過度にストレスを抱えたり、自己をネガティブに捉えずに、具体的にどうすればいいのかの検討がつき、適切な方向に自分の言動を修正していくことができます。
日常的に取り入れると、何かストレスがあったとしても、軌道修正する力がつき、自分で「やっていける」と思える状態をキープすることができるのです。
うまくいかないことがあると、一定のストレスが脳にかかり、客観的に物事を捉えにくくなります。
自分自身で「何が悪かったんだろう・・・」などと考えると、どうしても考えの矛先が自分に向いてしまいやすくなります。
そうすると、実際にあった事実よりも、ネガティブな自分の感情に意識が囚われてしまいます。
この時、「感情」に意識を持っていかれそうになるところを、
「事実」を捉えなおしていくのがセルフモニタリングです。
事実を客観的に捉えなおすことで、自分自身が感じたこととのズレを認識しやすくなります。
何によってズレが発生してしまったのか、ズレていたのはどの部分だったか、理解できれば、望ましい方向に進むために何が必要かも考えやすくなります。こうすることで、心が落ち込む原因も理解しやすくなり、対応もしやすくなるのです。
セルフモニタリングでは、人に「話す」や紙に「書く」などして、出来事とその時の思考や感情を記録することで、その時の状況や自分の状態を観察しやすくします。
具体的には、以下のような流れで考えていきます。
例です。
・会議で上司から発言を求められた
・急に話を振られてびっくりした
・何を言ったらいいんだろう・・・
・自分が発言を何と評価されるだろうか・・・
・驚き、恥ずかしさ、自信のなさ
・心拍数が上がる、手に汗をかく、喉がつまる感じがする
・なんとか1つだけ意見を言った
(本当は、疑問に思っていたことがあったけど言えなかった)
このように振りかえることによって、自分の中で「ショックな出来事」と思っていたことの全体像が捉えられ、自分がその状況にどう反応したのかも分かりやすくなります。
感情に注目しがちですが、5つのポイント(状況・認知・感情、身体的反応、行動)すべてについて考えるのが、バランスのいい考え方を作るためには大切です。
この5つは相互に影響し合っています。物事がうまくいかないときは、これら5つのつながりが悪循環を起こしている場合が多く、つまづいているポイントに気づけることで、その後の対策や準備ができるようにもなります。
例えば、同じようにまた会議でストレスを感じたときも、「あ、自分は今ストレスを感じているな」と気づき、深呼吸をしたり、少し合間をおいて、緊張感を下げて返答することができるようになってきます。
また、自分自身の変化に気づくためには、日々の自分の状態を記録しておくことも役立ちます。
必ずしもエピソードの記録ではなくても、今日の体調や気分など、日々記録していくことによって「月の終わりは疲れている傾向があるな」「そうすると、思考がネガティブになりやすいな」と気づくきっかけにもなります。これもセルフモニタリングの1つです。
セルフモニタリングは、練習して徐々にできるようになっていくものです。取り組んでいく過程で自分でも変化に気づくでしょう。慣れてくると、紙に書き出さなくても、リアルタイムの状況で頭の中で観察ができるようになっていきます。
一方、セルフモニタリング自体がうまくいくとき、うまくいかない時もあります。うまくいかないときは、自分を責める気持ちが強く、自分だけでは状況を紐解けない場合もありますので、その時はカウンセラーや主治医を頼って、人の力も借りましょう。
日々のストレスも軽減させていくことができますよ。