ASDの二次障害と症状とは?(うつ病、パニック障害、対人恐怖症など)

自分の症状を知る
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対人恐怖症
2021/2/16
2021/9/14

ASDの二次障害と症状とは?(うつ病、パニック障害、対人恐怖症など)

はじめに

発達障害を抱える多くの人が、うつ病やパニック障害、対人恐怖症といった、二次障害に悩まされています。その中でも、多くの二次障害がみられるのがASD(自閉スペクトラム障害)です。この記事では、ASDに起こりやすい二次障害の症状や併発しないための予防策、併発してしまった場合の対処法について、解説します。

 

ASDの二次障害とは?

ASDの二次障害には、身体の内面で起きる内在化障害と行動の変化がみられる外在化障害が存在します。

内在化障害には、うつ病やパニック障害、対人恐怖症、不安障害などが挙げられ、落ち込んだり、やる気が起きなかったり、不安でいっぱいになったりなどといった症状が見られます。一方、外在化障害は、周囲へ反抗的な態度を取ったり、他人を傷つける行為をしたりなどといった行動です。

二次障害が生じると、

・自信が持てなくなる
・すぐに諦めてしまう
・コミュニケーションを避けるようになる

といった影響が考えられます。マイナスのループに陥らないためにも、早期発見、早期治療が大切です。

それでは次に、大人になってからも影響を及ぼすことが多い、内在化障害の主な症状をみてみましょう。

 

うつ病の症状

2週間以上気分が落ち込んでいる、食欲がない、眠れない、疲れやすい、だるい、やる気が起きない。このようなサインが出ている場合は、うつ病の可能性があります。食べられない、眠れないことで、身体に不調が出る場合もあるでしょう。

うつ病の症状は、人によって違いますが、

・いつも自分を責めてしまう。
・集中力や決断力が鈍くなり、判断ができない。
・好きだった仕事や趣味に興味が持てなくなる

このような傾向がみられる場合は、要注意です。死にたいという気持ちが強く出る場合もあるため、早めの対処が求められます。

 

パニック障害の症状

突然、死んでしまうかもしれないという不安に襲われるほどの、動機やめまい、息苦しさ、胸の痛みなどを感じるのがパニック障害です。また、心配になった本人や周囲が救急車を呼ぶものの、身体に異常がない。発作が起きてから10分程度で症状がおさまるという点も、パニック障害の特徴です。

パニック障害には、いつパニック発作が起きるか分からない、次に起きたら死んでしまうかもしれないという予期不安。電車や公共の場など、その場所でパニック発作が起きたら困るという気持ちで特定の空間を避ける広場恐怖という症状もあります。

死んでしまうほどの恐怖を感じますが、実際に死ぬことはありません。不安をできるだけ取り除きながら、適切な治療を受けましょう。

 

対人恐怖症の症状

対人恐怖症は、社交不安障害とも呼ばれる疾患です。人前での話や、初めての人との会話を苦手とし、人が集まる場所を避ける、自宅に引きこもるなどといった行動がみられます。

人との約束や外出前に、動悸を感じるほどの不安や苦しい気持ちが芽生える。人前に出ると、緊張や発汗、吐き気、身体が震える、顔が赤くなる、声を上手く出せないといった状態になる場合は、対人恐怖症を疑ってみましょう。

対人関係の不安からうつ病を併発したり、アルコールに依存したりという場合もあるため、要注意です。

 

不安障害の症状

パニック障害や対人恐怖症、強迫性障害、全般性不安障害をまとめて、不安障害と呼びます。パニック障害や対人恐怖症の症状は、先ほど紹介した通りです。

一方、強迫性障害の場合は、何度も繰り返し手を洗ったり、ガスコンロの火や家の鍵をきちんと締めたかを何度も確認したりなどという症状が出ます。さらに、全般性障害は、日常のささいなことが、あれこれ気になってしまう疾患です。家族や友達、職場の人間の言葉や言動が、極端に気になる。この状態が半年以上続いている場合は、全般性不安障害の可能性があります。

 

併発前の予防策と併発後の対処法

ASDの症状に加え、日常生活がさらに送りにくくなる二次障害。しかし、事前に予防策を取ることで、併発を避けることが可能です。以下に、併発前の予防策と併発後の対処法を、覚えておきましょう。

1.二次障害併発前の予防策3つ

ASDの二次障害と症状とは?(うつ病、パニック障害、対人恐怖症など)

・適度に休息を取る
ASDの人は興味を持つと、疲れていても夢中になる傾向があります。この状態を放置してしまうと、心身が疲れすぎてしまい、二次障害を起こすきっかけになるため、注意が必要です。

仕事を入れ過ぎないようにする、あらかじめ休憩時間を決めておく、周囲から休憩の声をかけてもらうようにするといった対策で、二次障害を予防しましょう。

・生活習慣を見直す
集中してしまうと、寝る間も惜しんで作業に取り組んでしまうASDの人。そのため、食事の時間や睡眠の時間が乱れやすいという特徴があります。

しかし、生活リズムの乱れは、メンタル面の乱れに直結しています。二次障害を予防するなら、食べる時間や寝る時間、起きる時間をきちんと決めておくことが大切です。

・意識してストレスを発散する
精神疾患は、ストレスが原因になるものが非常に多くあります。また、ASDの二次障害においても、ストレスが大敵だと言われています。二次障害を予防するなら、ストレスを減らし、できるだけ穏やかに過ごせるようにしましょう。

趣味の時間を持ったり、リラックスできる環境を整えたりすると予防になります。ただ、ストレス発散の方法は人それぞれです。苦手なことを、無理に行う必要はありません。

軽く体を動かす、のんびり入浴する、ヨガや瞑想を取り入れる、アロマテラピーやカラーテラピーで心地よい空間を作る、歌ったり踊ったりするなど、自分に合った手段でストレスを溜めないようにしましょう。

2.二次障害併発後の対処法3つ

ASDの二次障害と症状とは?(うつ病、パニック障害、対人恐怖症など)

・医療機関を受診する
ASDの二次障害だと思われる症状に気付いたら、自己判断したり、放置したりせず、医師の診断を仰ぎましょう。

ASDの人は、無理をしてしまいがちです。仕事を休むべきタイミングなど、多くの二次障害を見てきた医師の指導に従うことで、回復が期待できます。

・二次障害とじっくり向き合う
二次障害の治療は、時間がかかるケースがほとんどです。ASDの人が、休職した場合は、早く職場に戻らなくてはと焦ってしまうこともあります。しかし、この焦りもストレスにつながります。

ストレスが大きい状態では、余計に回復が遅くなります。再発しないためにも、二次障害が完治するまで、ゆっくりじっくり治療に取り組みましょう。

・カウンセリングを併用する
ASDの二次障害を併発している場合、医師の治療だけでは不十分な場合があります。
二次障害についてきちんと理解できていなかったり、知らない間にストレスを溜める行動をしていたりというケースもあるため、定期的にカウンセリングを受けてみましょう。

二次障害から回復後も、カウンセリングを続けることで、再発防止になります。

 

【出典】

自閉スペクトラム症(ASD) 北戸田駅前まつもとクリニック
不安障害 厚生労働省