働きながら障害年金はもらえる?受給資格・金額・条件など

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2021/3/24
2021/3/11

働きながら障害年金はもらえる?受給資格・金額・条件など

私たちは何かしらの傷病を負ったために、日常生活に支障が出てきたり、今までしていた仕事が困難になったりする状況に陥ることもあるでしょう。そういうときに支えとなるのが、障害年金の存在です。

障害年金は、20歳以上~65歳未満の人を対象に、障害の状態にあると判断されれば、個人の障害の程度に合わせた給付金が支給されます。この記事では、精神障害のケースを主に、障害年金の詳細と注意点などについて、解説します。

 

 

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

働きながら障害年金はもらえる?受給資格・金額・条件など

障害年金の種類は、障害基礎年金と障害厚生年金の2つに分けられます。障害基礎年金とは、心身の不調により初めて精神科や心療内科などを受診した日(初診日)の時点で、国民年金に加入していた人が受給する年金のことです。また、障害等級は1級と2級があり、障害の程度によって決定されます。

一方、障害厚生年金とは、初診日の際に厚生年金に加入していた人が受給できる年金です。障害等級は、1級と2級、3級があり、こちらも障害の程度によって等級が異なります。

また、障害等級は数字が上がるほど、障害の程度が軽くなるということを覚えておきましょう。また、障害基礎年金の支給額は、1級と2級の各支給額が一定ですが、障害厚生年金は今までに支払ってきた保険料と厚生年金に加入していた日数により、ひとりひとりの支給額が異なります。一般的に、等級にもよりますが、障害厚生年金の方が障害基礎年金よりも支給額が高くなる傾向にあります。

 

 

障害年金をもらうための認定基準

障害年金をもらうためには、まず障害の状態になっていることが前提です。しかし、障害を持っていれば誰でも年金が受給できるというわけではありません。障害があると認定されるためには、以下のような認定基準を満たす必要があります。

 

1.本人が障害の状態にあること

障害年金をもらうには、WHO(世界保健機構)が規定したICDという障害分類に該当している必要があります。精神障害なら、統合失調症やうつ病、双極性障害、発達障害などが当てはまります。

しかし、パニック障害や適応障害などの神経症圏の疾患やパーソナリティー障害は、原則的に含まれません。また、障害分類の該当と同時に、個人が日常生活や社会生活において、どの程度の制限を受けているかという点も総合的に判断されます。

 

2.初診日より1年6か月以上が経過していること

ICDの障害分類に該当する障害を持つようになっても、発病後すぐには認定基準に含まれません。障害年金をもらうためには、初診日から1年6か月以上を経ても、障害の状態が固定して残っている場合に適用されます。

 

3.国民年金の保険料を一定期間支払っていること

障害年金をもらうためには、次のように国民年金保険料を一定額支払っていることが条件です。

・初診日の前日に、初診日を含む月の前々月までに2/3以上の保険料を納めていること(保険料の免除期間や猶予期間も含まれます)
・初診日の前日に、初診日を含む前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害年金の財源は、年金保険料と国庫から成り立っていますので、保険料の納付をしてかどうかが重要となります。自分がどの程度年金保険料を支払っているか分からない場合は、年金事務所などに問い合わせると良いでしょう。

 

 

働きながら受け取れる金額と所得制限

障害年金は、働きながらでも受給することが可能です。また、所得制限もないため、会社の給料をもらいながら、年金ももらうことができます。障害年金の受給額(障害基礎年金の場合)は、個人の障害の状態によって異なり、2018年度において、1級なら月額約8万円、2級なら月額約6.5万円となります。ただし、受給者に子どもがいる場合は、受給している障害年金に対して、子どもの加算(18歳未満)が適用されます。

一方、障害厚生年金の場合は、厚生年金に加入していた期間や保険料の支払い日数がそれぞれなので、ひとりひとりの給付額は一定ではなく、異なることになるのです。また、障害厚生年金の受給者に配偶者がいる場合は、配偶者加算がなされます。

なお、障害年金には原則的に所得制限がありませんが、20歳以前に初診日がある場合のみ所得制限が伴うケースがあります。なぜなら、国民年金加入年齢は20歳からで、その前に障害を抱えた人は、年金の保険料を支払っていないため、制限や調整が必要になるからです。例えば、20歳以前に本人が働いており、一定以上の収入があった場合は、以下のとおりとなります。

1. 障害基礎年金1.2級の場合・・・前年の所得が4,621,000円以上の場合は、年金の全額が支給停止となる。

2. 障害基礎年金1.2級の場合・・・前年の所得が3,604,000円以上の場合は、年金の1/2が支給停止となる。

このようなしくみがあるため、20歳以前に障害を抱えた人は注意が必要です。

 

 

生活保護と障害年金の両方は受給できる?

働きながら障害年金はもらえる?受給資格・金額・条件など

障害年金は、経済的な支援を受けることのできるありがたい制度ですが、生活保護と並行して受給することはできません。生活保護は障害年金と違い、所得制限を始めとする様々な制限(預貯金がないこと、資産価値のある家屋や土地、車などを所有していないことなど)を伴います。また、生活保護は障害がある人だけを対象とせず、様々な理由で生活に困窮している世帯が対象となります。

生活保護を受けるには、障害年金を始め、加入している保険などを駆使しても、困窮状態から抜け出せない場合にのみ、受給ができる性質のものであることを理解しておきましょう。

 

【出典】
国民年金 障害基礎年金 厚生労働省
20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等 日本年金機構