リワークを利用するために費用はどのくらいかかるのか?

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2021/6/18
2021/6/7

リワークを利用するために費用はどのくらいかかるのか?

メンタルヘルスの不調による休職者が増える中、様々な施設がスムーズな職場復帰と再休職の予防にむけたリワークプログラムを提供しています。
しかし、どのくらい費用がかかるのか分からないと不安だと思います。今回の記事ではリワークの利用に必要となる費用や、比較検討がしやすいように施設の特徴もみていきましょう。

 

リーワークの有料と無料の違いとは?

リワークでかかる費用の考え方
利用料は1日単位で発生し、利用料×利用期間で計算されます。
リワーク施設の利用料には、利用料以外にも交通費や昼食代などが必要となります。施設に数か月通うことを考えれば、自宅から遠すぎる施設を選択すると金銭的にも身体的にも負担が大きくなるため注意が必要ですね。
利用料以外の費用負担をしっかりと確認していきましょう。また公的な体育館の利用など、施設外に行くための交通費も発生する場合があります。

 

リワークプログラムの種類

リワークプログラムを行っている施設は大きく分けて4種類あります。有料は①医療、②福祉、無料は③公的機関、④会社です。施設によっては有料・無料が変わる場合がありますので確認してくださいね。

 

有料の施設

①医療系リワーク

リワークを利用するために費用はどのくらいかかるのか?

医療機関のリワークは健康保険が適用されるため、費用の3割を自己負担することになります。3割負担の場合、デイケア(1日6時間)の利用で2,000~3,000円程度/日でリワークを提供している機関が多いようです。中には昼食(お弁当や院内の食事)が含まれるデイケアもあります。

医療機関のデイケアを月20日間利用した場合、最低でも 40,000円/月+交通費と利用料が高額になります。医療機関のリワークを利用する場合、自立支援医療制度を利用すると軽い負担でリワークを利用できることができます。東京リワークセンターでも上記の理由で自立支援医療制度の利用をすすめており、大半の方が利用されています。

 

自立支援医療制度について

精神疾患の治療には長い期間がかかる場合も少なくありません。
自立支援医療制度は、長期継続する治療の医療費負担を緩和するために生まれた国の制度です。
通常の健康保険であれば3割が自己負担となりますが、この制度を利用すれば自己負担は1割で済みます。つまり、デイケアの場合、1日あたり800円程度でリワークを利用できることになります。さらにこの制度では、外来、薬局、訪問看護も1つずつ登録できますので、全体的な費用負担が少なくなることが期待できます。

自立支援医療制度はお住まいの市町村で申請することができます。精神障害者保健福祉手帳とは制度が違うため注意しましょう。もちろん手帳を持っていない場合でも申請・受給することができます。

まだ申請されていない方は主治医・市区町村に相談してみましょう。

 

自己負担の上限額について

自立支援医療制度には1か月の自己負担の上限額が設定されています。
この制度の自己負担の上限額は世帯年収だけではなく、病状によっても変わるため注意してください。なお、うつ病などの精神疾患の場合、多くの場合は「重度かつ継続」に該当するといわれています。
上限額に達すると、その月に支払う費用は無くなり、実質無料で支援を受けることができます。そして次の月の1日に上限はリセットされます。以下が厚労省のリンクになりますので、参照してください。
新01利用者負担 (mhlw.go.jp)

医療施設の特徴としては医師を始め、医療系の有資格者がいます。
作業療法士や看護師、精神保健福祉士、公認心理師など多様で、病気による症状について専門的なアプローチが期待できます。
さらにはうつ病リワーク協会に入会できることも特徴です。会員施設では研修や実地指導制度が設けられていますので、標準化された支援を受けることができます。そのため転勤などで通所先を変更する際も同様のサービスを継続して受けることができます。筆者の勤務先の東京リワークセンターは東京都世田谷区唯一のリワーク会員施設で、筆者自身も同様に世田谷区唯一のリワーク認定スタッフです。

また医療の場合は利用期限が無いことで、復職後のフォローアップも受けることができます。夜間帯の通所ができるナイトケアや土日にプログラムを開催している施設も増えてきました。そのため、仕事を休まずとも、医師やスタッフと面談をしたり、他の参加者と交流したりすることが可能となります。

 

②福祉系のリワーク

リワークを利用するために費用はどのくらいかかるのか?

福祉施設の就労移行支援事業所は行政からの補助があるため、利用者は費用の1割を自己負担するだけでリワークを利用することができます。
1日あたり900円程度でリワークを受けられる事業所が多いです。
たとえば月20日利用した場合の施設利用料は18,000円/月となりますが、経済的負担を軽くするために自己負担額には上限が設定されています。条件はありますが、無料で受けられる場合もありますので確認してみてください。
施設の特徴として、スタッフ構成としては医療従事者ではないことが多いため、一般の会社で働くという感覚がある中で支援を受けることができます。期限はほとんどの施設が2年(延長して3年)で支援が受けられなくなりますので注意が必要です。

 

無料の施設

③公的機関

障害者職業センターでのリワーク
公的なサービスのため無料で利用することができます。ただし各都道府県に1か所程度の設置と数が少ないため、近隣にあるとは限りません。公的な機関ということで公務員は受けられないことがあるようです。大きなメリットとして心理検査等をベースとして必要な能力や職場で求められる能力など、数字をもとにした評価やアドバイスを受けやすいことが特徴です。

多くが半日のプログラムのため、定時勤務、加えて残業に耐えられる体力が回復しているのかという判断をすることが難しいと思われます。

また、登録までの時間を要すことがあります。
民間のリワークでは1週間前後で登録が可能な施設が増えてきたようですが、公的なリワークでは、長い場合、3か月以上待機することもあります。そのため、経済的困窮を強いられている方には利用が難しい場合があります。会社側との交渉や休職期間の残日数とのすり合わせが必要です。

 

④会社でのリワーク

リワークを利用するために費用はどのくらいかかるのか?

会社の中で行うリワークプログラムです。他のリワークのメリットを取り入れながら、会社に所属する産業医、産業保健スタッフがプログラムを作っているようです。

主なプログラム内容は通勤訓練や、時短勤務です。作業内容を評価するよりは、所定の時間に出勤ができる状態なのかを評価している会社が多いようです。しかし、会社リワークの内容は変化していくことも考えられますので、ご自身の会社にリワークがあるのか、プログラム内容や費用はかかるのかを確認しましょう。

 

 

まとめ

今回の記事では有料・無料で受けられる4種類のリワークプログラムについてみていきました。各施設を有料、無料という分類をしましたが、必ずしもその通りではありません。

また自治体や施設独自の補助制度もある場合がありますので、確認してみてくださいね。また費用以外にも大切なポイントはたくさんあると思います。それぞれのリワークに長所・短所があります。

利用を検討される場合は、自分の復職プランと合わせて電話での問い合わせや見学、口コミ、SNSなど様々な方法で情報を集めることをお勧めします。