発達障害の方の就職成功事例。どんな方が成功しやすいのか?

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発達障害
2021/2/15
2021/9/14

発達障害の方の就職成功事例。どんな方が成功しやすいのか?

はじめに

発達障害のある方は、学生の間はそこまで困りごとがなかった場合でも、社会に出てから仕事をする中で困り感を強く感じ、仕事や職場での人間関係に悩む方が多くいらっしゃいます。

たとえば、相手の意図が上手く組めず、あいまいな指示のニュアンスが分からずに的確に業務を遂行できない、不注意でやらなければならないことを失念してしまう、そういったミスの積み重ねでコミュニケーションがうまくとれなくなっていき困ってしまう、といったことがあります。その中には、仕事の中での困難さが過度な負担となり、適応障害やうつ病といった二次障害を引き起こしてしまう場合もあります。

しかし、中には過去の経験から学んで新しい環境で上手くいったり、自分の障害特性をむしろ生かして活躍されていらっしゃる方もいます。また、発達障害と一口にいっても、様々な特性や、様々な活躍の仕方があります。どのような例があり、どのような試行錯誤がそこにあるのか、見ていきましょう。

 

発達障害の方の就職成功事例
① 過去上手くいった経験を生かしたケース

新卒での仕事は、営業をしていた方です。ADHDの気質があり、顧客との会話などコミュニケーション自体は問題ないものの、商談でお会いするスケジュールを失念したり、書類の準備に不備などがあり、業務とのミスマッチを感じ離職しました。

改めて転職活動をしながら、色々な企業の採用担当者と話していくうちに、学生時代、イベント会社での企画や運営のバイトが楽しく、プロジェクトを進める力が評価されたこともあることを思い出しました。元々前職の営業経験を生かした仕事を探していましたが、転職軸を変更し、イベント企画の会社を見つけて転職されました。

元々、色々なものや人への興味関心が強く、複数のプロジェクトを進める役割を担いましたが、苦手な細かなタスクはサポートしてもらえる環境で働くことができるようになりました。

 

発達障害の方の就職成功事例
② 1つのことに没頭できる専門性の高い仕事を選んだケース

人と複雑なコミュニケーションをとっていくことは苦手だけれども、パソコン作業での専門性を生かせたケースです。ASDの気質があり、あいまいさのあるコミュニケーションは苦手で前職の飲食店では接客対応を難しく感じていましたが、1つのことを極めていくのがとても得意で、元々興味のあったパソコンスキルを極めようと、プログラミングの習得をしました。

専門の部署で基本的には1人でPCに向かって作業ができる環境で、複数の決まった社員とのやりとりは発生するものの、バリエーションが少なく対応できるので困り感は少なく、作業に没頭することで成果も上がり、専門性も評価されるようになりました。

 

発達障害の方の就職成功事例
③ コツコツ取り組めることや正確性を武器にしたケース

こだわりが強く、流れ作業の中で相手に合わせながらマルチタスクに仕事をするのが辛くなった方が、細かいところが得意であることを生かして転職したケースです。ASDとうつの傾向の気質があり、事務作業中心に取り組むことになりました。

間違えてはいけない経理関係のことや、宛て名の記載などがある書類の発送などを任されました。ある程度自分のペースで仕事ができる環境で、正確で丁寧な仕事ができることがとても評価されました。

 

発達障害の方の就職成功事例
④ 自分に合った仕事の進め方ができる職場環境を選んだケース

ADHDとASDの気質があり、注意が散漫になったり、コミュニケーションでニュアンスの取り違いが発生するなどの困り感がありました。しなければならない仕事を忘れるなどの困りごとがありましたが、スマートフォンアプリのリマインダーを使用して忘れたままにならない仕組みを作りました。

また、合理的配慮として求めるのではなく、基本的なコミュニケーションがチャットやメールを利用する会社を選び、口頭ではなく文字ベースのコミュニケーションがとれるようになったことで、意味の取り違いなども少なくなりました。

 

発達障害の方が就職に成功する傾向とは?

発達障害の方の就職成功事例。どんな方が成功しやすいのか?

就職が上手くいった方の多くは、それまでの過程で自分の特性について理解し、そこを踏まえた上で次のステップに進んでいます。
仕事やプライベートでの経験を通して、そこであった失敗や困りごとを振り返り、どんなことが自分にとって困り感になるのか、その時には何をサポートしてもらえたら助かり、自分ではどんな対処ができるのか棚卸をします。

特に、自分の特性について理解し、さらに自分でどのような対処ができるかトライアンドエラーにチャレンジすることはとても大切です。例えばADHDの方であればタスク管理についてどんな方法が自分に合うのか、TODOを紙に書き出す、スマートフォンのアプリを使う、クラウドのカレンダーのリマインダーを利用する等いくつも方法があります。そのどれが自分に合うのか、試す過程は大変ですが、そこで習得した試行錯誤の方法そのものが、また仕事の中で困り感が出てきたときにどう対応していくか、という方法の1つになります。

そこについて試行錯誤できずに、合理的配慮として会社に配慮を求めてしまうと、なかなかその全てに配慮できる企業を見つけるのは難しいでしょう。大切なのは、困り感があるそのものが問題なのではなく、そこに対してどう向き合っているかという姿勢が自分の中で1つ手掛かりをつかめていることです。

 

まとめ

もちろん、そういった自己理解や対処法の習得を自分1人でしていくのは難しいですし、実際に働いてみないとわからないことも沢山あると思います。そういう場面で困ったときには、ぜひ他の人の体験談を聞いてみてください。
発達障害がある当事者同士が話せるコミュニティなどもあり、就職活動の段階から働きながらの悩みを共有するなど、お互いに情報交換したり、先輩の経験談を聞いて学びながら進めていくことができます。自分と同じような困り感を持っている仲間や先輩に、上手くいく方法にはどんなことがあるのか教えてもらったり、失敗談を参考にすることはとても有効です。

普段から様子を見てくれる家族や友人などに、傍からみるとどう見えているか聞いたりアドバイスをもらうのもよいでしょう。

また、発達障害のある方が利用できる就職のサポートもたくさんあります。ハローワークでの職業あっせんや職業能力開発校で受けられる職業訓練、就労移行支援事業所で行えるコミュニケーションスキルの習得なども含めた就労支援などです。中には就職してからも継続的にサポートをしてもらえるような支援機関もあります。
専門家の知識やサポートも得ながら自分らしい働き方を作っていくことは、その後長く働いていく上で心強いサポートになるでしょう。遠回りなようで、こういった試行錯誤をすることが実は一番の近道になることも多いです。焦らず、自分に合った働き方、スタイルを作ってみてください。