精神障害でお悩みの方が、上手くリモートワークに対応していくためには?

復職後にお悩みの方
リモートワーク
精神障害
2021/4/30
2021/4/26

精神障害でお悩みの方が、上手くリモートワークに対応していくためには?

新型コロナウイルスの影響で、2020年から現在にかけてリモートワークを導入する企業が多くなっています。51.3%の企業がリモートワークを導入しており、多くの場合在宅勤務の形でリモートワークが導入されています。

2020年春の緊急事態宣言下では、急に在宅勤務に切り替わり、マニュアルやルールが整備されていない中でリモートワークが開始され、働き方やコミュニケーションにおける対策が十分ではなかった一方で、在宅勤務になったことにより生活にゆとりができ、逆に体調が安定するなどメリットを感じた人も多かったようです。ここでは、特に精神障害がある方がどのようにリモートワークを活用していけるのか解説していきます。
(参考:東京商工会議所 「テレワークの実施状況に関するアンケート」2020.11

 

 

リモートワークを上手く取り入れるには?

精神障害でお悩みの方が、上手くリモートワークに対応していくためには?

1.リモートワークのスタイル

リモートワークの導入の仕方はさまざまです。

・基本的な勤務がフルリモートで全ての業務をリモートワークで行っている
・週●日は出勤する、など出勤とリモートワークを両方活用している
・出勤する必要のある場合のみ出勤する

などです。企業によってルールが違う場合もあれば、担当している業務によっても異なります。業務内容によってはどうしても出勤しないとできない業務がある場合もあります。同じ業務を担当している同僚がいれば、その同僚とどれくらいの頻度で、どちらが出勤するか、もしくは同じ日に一緒に出勤してその業務を終わらせるのかなどの相談が必要です。

また、リモートワークが合う人もいればつらいと感じる人もおり、在宅の方が調子がいい、もしくは出勤したほうが業務に集中できる、など個人差もあるので、所属する企業のルールに従った上で自分のバランスでリモートワークと出勤を組み合わせることもできる場合があります。

2.オンラインコミュニケーションツールの活用

また、リモートワークでの業務は、主にパソコンを使っての仕事になるので、同僚とのコミュニケーションもメールやチャットが主になります。顔を見て話す機会はZOOMなどのウェブ会議ツールを使って行うことも多くなり、このようなオンラインコミュニケーションのシステムを使いこなす必要が出てきます。

今まで紙を活用していたり、対面でのコミュニケーションしか経験がないと、急にリモートワークになると戸惑いが大きくなりかねません。仕事でも仕事以外でも、オンラインツールを使う機会を作り、慣れておくとよいでしょう。

3.時間や体調の自己管理

リモートワークでは、よくも悪くも時間や体調が全て自己管理となります。出勤しての業務との違いは、

・通勤がなくなることにより時間の余裕ができるが、運動不足になる
・在宅勤務の場合は、プライベートと仕事の環境が同じになる
・基本的に一人での作業になる
・同僚や上司の目がないため、気を遣わない反面、ついついだらだらと長時間作業してしまう

上記のようなことが起こりえます。特にリモートワークが一時的なものではなく長く続けていくものとなると、これら全てのことに関しての対処を自分でしなければなりません。リモートワークをすることによって楽になる部分もあれば、バランスを崩してしまうこともありますので、自分なりのスタイルを見つけることが必要です。

 

精神障害でお悩みの方がリモートワークするメリット

精神障害でお悩みの方が、上手くリモートワークに対応していくためには?

精神障害のある方がリモートワークをする上では、メリットとなることも多くあります。

1.通勤時間がなくなる

リモートワーク、特に在宅勤務をすることによっての一番のメリットは。通勤時間がなくなることでしょう。精神障害がある方の中には、通勤が苦手な方も少なくありません。特に満員電車での通勤はそれだけで消耗してしまうものでもあるので、在宅勤務をすることによってその負担がなくなるのは大きな事でしょう。

通勤時間がなくなることで、業務開始前、業務後の時間にゆとりができます。体調を整えるためにも朝少し散歩をして陽にあたったり、勉強や趣味の時間に当てるなどすることで日々の充実にもつなげることができます。

2.同僚や上司の目がなく、緊張せずに業務ができる

職場での人間関係に疲れやすさを感じる方も多いかもしれません。リモートワークでは、基本的に自分ひとりで業務を進めていくことになるため、出勤して同僚と働くことで、周囲の雰囲気が気になったりやプレッシャーを感じていた人はストレスなく働ける環境といえるでしょう。

3.体調がすぐれない日も、自宅の慣れた環境で仕事ができる

精神障害は、日内変動があり、例えば午前中は調子が出ないけど午後は元気が出てくるという場合もあります。そんな日も、朝通勤せずにすむことで消耗を押さえられ、ある程度自分のペースで負担を少なく業務を進めることができます。昼休みには自宅であれば身体を横にして休むこともできるでしょう。

 

精神障害でお悩みの方がリモートワークするデメリット

一方、リモートワークになることでデメリットになる部分もあります。

1.コミュニケーションが取りにくい

リモートワークでは、オンラインでのコミュニケーションが主になります。チャットやメールといった文字でやりとりをするツールを使う機会が増えますし、ZOOMなどでのウェブ会議でも議題を決めた上で話すことが多くなるので、気軽な雑談などが減ってしまいます。

特に、何か分からないことがあるときにチャットなどで質問しても、相手からその返事がいつ返ってくるのか、また返ってきたとしても質問内容に合った回答が得られるかといったところで行き違いが生じ、うまくコミュニケーションがとれないことがあります。

時には電話を使って温度のある会話でその行き違いを失くしたり、文字ベースでのコミュニケーションになるからこそ丁寧に文章を作るなどお互いにスムーズにコミュニケーションをとれる努力と工夫が必要です。

2.孤独を感じ、うつ状態になることがある

リモートワークでは、基本的には自分ひとりで業務を進めていきます。休み時間に同僚と昼食をとる機会、雑談をする機会がなくなってしまいます。また、ずっと自宅にいてリモートワークも暮らしも同じ家の中、という状況にもなりますので、極端に人と交流する機会が減り、情緒の動きが少なくなります。中にはそこで体調を崩し、うつになってしまう場合もありますので、定期的にリフレッシュの機会を作りましょう。上司とも定期的に話す機会を持てるとよいでしょう。

業務時間と休み時間のメリハリをつけるのもポイントです。ギリギリまでゆっくりして朝、慌ててパソコンを立ち上げたり、終業後もパソコンを目に見えるところに置いておくと仕事が気になるなど切り替えが上手くいかないこともあります。

時間を気分を切り替えるために、例えば仕事が終わったら着替える、たまに外食する、映画などを見て情緒の動きをつけるなど自分で変化を作っていきましょう。

3.運動不足になる

リモートワーク、特に在宅勤務では通勤がなくなることで一気に運動不足になりがちです。外に出なくなると、陽にあたる時間がなくなり、セロトニンというストレス耐性を上げてくれるホルモンの分泌が少なくなります。朝の時間や昼休みなどに少し散歩をするだけでも運動不足解消となります。ずっとパソコンを見ながらの作業にもなることから、首肩が凝りやすくもなってしまいますので、自分の目線や考えを切り替えるという意味でも、ストレッチをたくさん取り入れるのもおすすめです。

 

 

まとめ

リモートワークは、取り入れることができると、精神障害がある方にとってメリットがたくさんある働き方です。そのメリットを生かすためには、デメリットになるような同僚とのコミュニケーションや、自分の自己管理といった課題への対処が必要となります。

ただ、このデメリットは精神障害がある人だけが感じるものではなく、誰にでも起こりうる問題でもあります。まだまだリモートワークは活用されはじめたばかりですので、働きにくさや困りごとがあれば同僚や上司に積極的に相談し、働きやすい環境をつくっていきましょう。