働きながら障害年金を受給することは可能?申請方法と対象となる方は?

制度/補助金
障害年金
2021/6/22
2021/7/12

働きながら障害年金を受給することは可能?申請方法と対象となる方は?

障害年金について、知っていますか?障害特性によって体調に波があったり、障害が理由で就職が困難など、困っている方も多いのではないでしょうか。お金の問題は、生活や人生に大きな影響を及ぼすものです。働いていても、アルバイトや非正規雇用などで収入が十分ではないこともあり、そんな時助けになる制度の1つに障害年金制度があります。この制度自体を知らない方も多いですが、障害年金を受ける方は、国民年金保険料が免除されるというメリットもありますので、受給資格があるかどうか、ぜひ調べてみてください。

 

障害年金とは?

障害年金とは、病気やケガで精神や身体に障害を負い生活や仕事などが制限される場合に、現役世代も含め受け取ることができる国の公的な年金制度のことです。障害者手帳の交付とは関係なく、手帳を所持していなくても支給されます。また、年金というと老齢年金のイメージが強いですが、障害年金は年齢が若くても受け取ることができます。

国民年金の加入者であれば「障害基礎年金」が支給され、会社員などで厚生年金の加入者であれば、障害基礎年金に加えて「障害厚生年金」が支給されます。

申請すればだれでも受給できるわけではなく、基本的に以下のような条件を満たす必要があります。

①初診日が特定できる

初診日とは、障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。複数の医療機関を受診した場合は、最初に受診した医療機関での診察日が初診日となります。

②国民年金保険料を納付している

以下の2つのどちらかに当てはまっている必要があります。

  • 初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が保険料納付済みか免除されている月であるとき
  • 初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料納付済みか免除を受けた月であるとき

③一定の障害の状態であること

障害は、障害の原因となった病気や怪我などの初診日から1年6ヶ月を経過した日、または1年6ヶ月以内に症状が固定化した日を「障害認定日」とされ、一定の障害がある状態であると判断されます。これは医師の判断に基づきます。

初診日が20歳よりも1年6ヶ月以上前の時点にあるときは、20歳に達した日が障害認定日となります。

また、障害年金では、障害を重い方から順に1級、2級、3級分かれています。
それぞれ、以下のように分かれており、障害基礎年金には3級はありません。
障害基礎年金:1級、2級
障害厚生年金:1級、2級、3級

障害基礎年金は令和2年度(2020年度)で1級が年額977,125円、2級が年額781,700円で、1級の年金額は、2級の1.25倍です。子どもがいる場合には支給額の加算もあります。

障害厚生年金は、平均標準報酬額や厚生年金保険に加入していた期間などによって年金額が変わります。また、1級と2級は、障害厚生年金と同時に障害基礎年金が支給されますが、3級は障害厚生年金部分のみの支給です。

 

働きながら障害年金を申請するには?

働きながら障害年金を受給することは可能?申請方法と対象となる方は?

障害年金は働きながらでも受給できる年金です。以下の書類を準備し提出することで申請をすることができます。

①年金請求書

②ご本人の生年月日を明らかにできる書類

戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか、ただしマイナンバーを日本年金機構に登録済みの場合は不要)

③医師の診断書(障害年金日から3か月以内のもの)

障害認定日と年金請求日が1年以上離れている場合は、直近の診断書(年金請求日前3カ月以内の現症のもの)も併せて必要となります。

④受診状況等診断書

初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合、初診日の確認のためのものです。

⑤病歴、就労状況等申立書

障害状態を確認するための補足資料です。年金を申請する理由を記載するものであり、とても重要です。

⑥受取先金融機関の通帳等

申請書などの様式は日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。
また、住所地の市区町村役場、年金事務所、年金相談センターの窓口で取得することもできます。

書類の提出先は、障害基礎年金の場合は住所地の市区町村役場の窓口、障害厚生年金の場合は住所地の年金事務所、年金相談センターです。

 

 

対象となる方はどんな方なのか?

働きながら障害年金を受給することは可能?申請方法と対象となる方は?

障害年金は、原則としてあらゆる病気や障害が対象です。
うつなど罹患数の多い疾患でも仕事や日常生活に支障が生じている場合は対象ですが、日本年金機構が定めた認定基準以上の障害があることが条件です。

認定基準に関しては日本年金機構の障害認定基準を参照してください。精神障害に関しては、より詳しい『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等も公表されています。

 

 

障害年金を申請するときの注意点

働きながら障害年金を受給することは可能?申請方法と対象となる方は?

障害年金を受け取りながら働いている精神障害がある方はもちろんおられますが、申請の際にどんな困り感があり支障をきたしているのか記載する必要があり、それができない場合は等級が下がったり申請が通りづらい可能性はあります。

理由として、精神障害は目に見えづらく、仕事ができている=症状が軽く見られやすいということがあります。そこで、障害年金の申請理由として、障害により業務の幅が制限されていたり、職場から合理的配慮を受けている場合は「病歴・就労状況等申立書」にその内容を記載する必要があります。また、「主治医の診断書」にどのような障害でどんな困り感があるか、就労に対する制限やアドバイスがある場合は客観的意見として記載があるとより伝わりやすくなるでしょう。これらは、書類を準備する際に自身で工夫してアピールする必要がありますので注意してください。

 

 

まとめ

障害年金は受け取ることができるととても大きな支えとなります。一方で、制度が複雑で分かりにくく、一度受給できても精神障害の場合は更新も必要になりますので、自分だけで準備するのが難しい場合は、日本年金機構の相談窓口や、主治医、年金制度に詳しいソーシャルワーカーや社労士など専門家を頼ってみてください。ソーシャルワーカーはかかりつけ医療機関や利用されている福祉施設に配置されている場合もあります。申請から受給までに時間がかかる場合もありますが、サポートも利用しながらぜひ活用してみてくださいね。