ストレスを抱えがちな方におススメするトレーニング法

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ストレス
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精神障害
2021/9/26
2021/9/13

様々な環境が目まぐるしく変わっていく現在では、大きなストレスを抱え、体調を崩す方も少なくありません。今回は、ストレスについて再考し、対処方法の学びを深めていきましょう。

 

 

そもそもストレスとは?

ストレスを抱えがちな方におススメするトレーニング法

“ストレス”は、もともと物理学の「物のゆがんだ状態」を示した用語です。
ストレスをボールで例えると、ボールを手でぎゅっと押したとき、手でかけた圧力を「ストレッサー」、それによってボールがゆがんだ状態を「ストレス反応」と言います。

一般的にストレスは、悪いものとして扱われがちですが、それだけではありません。実は、よいストレス(ユーストレス)と悪いストレス(ディストレス)に分けることができます。

ユーストレスは、意欲や向上心を掻き立て、私たちの力を引き出すと言われています。反対にディストレスは、過度の刺激、プレッシャーとも言い換えられ、私たちの力の発揮を妨げる因子となります。

ここで、ヤーキーズ・ドットソンの法則をご紹介いたします。
これは、ストレスレベルが高くなるに従い、パフォーマンスは増すものの、最適なレベルを超えて、ストレスが過剰にかかると、パフォーマンスは低下していくというモデルです。
このように、ストレスレベルが低い環境では、力を発揮することはできず、逆にストレスレベルが高すぎると、仕事や勉強が手につかなくなってしまうという体験は誰にでもあるでしょう。このモデルからも、ストレスをできる限り軽減すればよいというわけではなく、人によっては、ストレスがある方が最適なパフォーマンスを発揮できる環境になるかもしれないということがわかります。

ストレスを抱えがちな方におススメするトレーニング法

 

精神的なストレスからくる体調不良

ストレッサーがディストレスになってしまった場合、私たちはストレス反応を起こします。
ストレス反応は人それぞれ違いますが、大きく心理面、身体面、行動面の3つに分けられます。心理面でのストレス反応には、不安や抑うつ(気分の落ち込み,興味・関心の低下)、イライラ、意欲、集中力の低下などがあります。

身体面では、入眠障害(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜中に目が覚める)などの不眠、易疲労感、頭痛や肩こり、腰痛、目の疲れ、めまいや動悸、腹痛、食欲低下、便秘や下痢などさまざまな症状があります。また、行動面では、飲酒量や喫煙量の増加、食欲亢進(ドカ喰い)、ひきこもり、欠勤や遅刻の増加、仕事でのミスやヒヤリハットの増加などがあります。ストレス反応は、長く続いてしまうと、うつ病やその他精神疾患につながり、重症化、慢性化することもあります。

ストレス反応は人によって異なりますが、何かおかしいと気づいたら早急に心療内科、精神科を受診することをお勧めします。受診のハードルが高ければ、友人、パートナー、保健所など、誰かに相談をし、できる限り自分一人で抱え込まないことが大切です。

 

 

ストレスの対処方法

ストレスは“主観的な存在”とも言われています。
ここでアメリカの心理学者アルバート・エリスが提唱した“ABC理論”と呼ばれるモデルをご紹介します。

私たちはなにか“出来事”(A:Activating)が起こると、“結果”(C:Consequensce)が生じると考えると思います。
しかし、実際はA→Cの間にその人固有の“信念”(B:Belief)が関与することで結果は異なるという考え方です。

つまり、ストレッサー(A)をどのように捉え(B)、どう行動するか(C)は個人で違うということです。そして、個別にストレス反応が生じ、人によっては健康状態に影響を及ぼしてしまいます。

信念(B)の下、私たちは様々な行動をとり、ストレス対処をしているわけですが、ストレス対処法は大きく情動焦点型と問題焦点型の2つに分けることができます。
問題焦点型は、ストレスの原因を根本的に取り除き、ストレスフルな状況から抜け出せるように行動をとることです。例えば仕事中、上司とのやり取りで問題が発生したとします。その問題を上司と話し合ったり、先輩に相談するという方法をとることが当てはまります。

一方情動焦点型は、感情へのアプローチを重要視し、つらいと感じる気持ちを変化させるように行動をとることです。いわゆるストレス解消はこの情動焦点型を指します。例えば運動やカラオケ、森林浴をするなどが挙げられます。

どちらの対処法が良いという訳ではなく、バランスが大切となります。常に問題ばかり注力してしまうと、時間を要してしまい疲労が溜まったり、自分の感情をうまくコントロールできず、偏った問題解決をしてしまうこともあります。逆にストレス解消だけを行っても、問題解決されず、一向に状況は変化しません。ですので、“とりあえずストレス解消を図り、その後問題にアプローチしていく”というのもよいかもしれません。自分のとった行動が問題焦点型・情動焦点型のどちらで、バランスは偏っていないか一度客観的に眺め、使い分けることができるとよいと思います。

 

 

ストレスコントロールをトレーニングするには?

ストレスを抱えがちな方におススメするトレーニング法

ストレスコントロールの技法は、以前は医師やコメディカルスタッフがトレーニング相手となっていました。
しかし、現在は様々な情報を自分で得られる時代です。書籍はもちろん、SNSや動画の視聴で十分学習ができると思います。私のお勧めは樺沢紫苑先生のYouTubeチャンネルです。それぞれの裏付けがされていますので、納得しながら進めたいという方はよいと思います。さらに、ひとつひとつの動画がテーマに沿って短く構成されており、短時間で、気になるテーマを抽出して見ることができます。

トレーニングとしては、認知行動療法やSSTなどの技法も活用していくとストレスマネジメントにつながっていくと思います。こちらの技法は、集団で行うことが望ましいので、気になる方は医療機関への相談をお勧めします。

 

 

まとめ

今回はストレスについて再考しました。
ストレスフルな出来事は同じであったとしても、私たちの認知の仕方や考え方の違いによって、その後の結果は人それぞれであるということがわかりました。ストレス対処にはこれがよいという正解はありません。

様々な対処法や考え方を試し、自分自身に合う方法を見つけていきましょう。