精神障害を抱える方が、就労移行支援施設を選ぶポイント

復職をお考えの方
就労移行支援施設
精神障害
2021/2/15
2021/4/26

精神障害を抱える方が、就労移行支援施設を選ぶポイント

はじめに

近年、障害がある方が就職を目指す際に活用できる職業紹介・地域就労支援は充実してきており、実際に登録・利用される方も増えています。ただ、初めてこういった支援を利用する場合、種類や数が多すぎてどう選べばいいのかわからない!と悩まれることも多いのではないでしょうか。

利用できる支援機関としては、次のようなものがあります。

  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 障害者職業能力開発校
  • 就労移行支援事業所
  • 就労継続支援事業所

今回テーマとしてお話する就労移行支援施設は、全国に3500カ所以上ありますが、実際にどんな支援を受けることができ、事業所によってどんな違いがあるのかみていきましょう。
(出典:厚生労働省 平成30年社会福祉施設等調査の概況

 

就労移行支援施設とはどんなところか?

就労移行支援事業所とは、一般企業での就労をめざす障害や疾患のある人(65歳未満)を対象に、国が定める障害者総合支援法に基づき、就職前から就職、就職後の職場への定着までの過程を一貫してサポートする福祉サービスです。最長2年間の利用ができます。

就職に必要なスキルやビジネスマナー、PCスキルなどの職業訓練や、企業での体験実習、面接への対策などの就職活動のサポートなどを受けることができます。就職後には、職場にスムーズに定着するための「就労定着支援」もおこなっています。

利用方法としては、お住いの行政窓口(障害福祉課など)に就労移行支援を利用したい旨を伝えて、障害や疾患が把握できる診断書や障害者手帳等の必要書類を用意してから受給者証の申請をおこないます。障害者手帳がなくても利用できたり、自治体によっては休職中でも利用できるケースもあります。

 

施設によってどんな違いがあるのか?

精神障害を抱える方が、就労移行支援施設を選ぶポイント

就労移行支援施設は、いくつかの種類に分かれます。

1つ目は、障害種別や訓練の内容を限定せず、自己分析から障害への対応の仕方など様々なプログラムで、一般的な就職に必要なスキルを身に着けていく事業所です。訓練内容としては、主に座学でのプログラム受講やワーク、企業での実習体験などがあります。全国にある就労移行支援事業所の中では最も多いです。

2つ目は、特定の障害種別の方への支援を得意としていたり、デザインスキルやプログラミングなど専門的な知識を身に着けていく事業所です。就労移行支援は、法律上支援員の人員配置基準があり、運営している主体の方針や、スタッフの強みや専門性を生かし、支援の内容をある特定の分野に特化してサポートしているのがこのタイプです。

3つ目は実際にその事業所内で作業訓練を行い、実践の中で就職に必要なスキルを身に着けていく事業所です。具体的には企業から発注を受けたり、事業を立ち上げるなどして施設内で実践的な作業・職業訓練を受けることができます。就労継続支援B型・A型との多機能型になっているケースも多いです。

また、社会福祉士など福祉専門職が多く配置されている事業所もあれば、就職先となる企業とのやりとりが得意なスタッフが多い事業所もあるなど、どのような支援員が配置されているかによっても雰囲気は異なってきます。

以上3つのケースに分類しましたが、どの事業所が自分に合うか確かめるのには、やはり実際に行ってみて相談してみるのが一番です。できれば複数の事業所に訪問した上で決定するのがよいでしょう。その際の考え方について見ていきましょう。

 

選び方のポイント

就労移行支援事業所はたくさんの事業所がありますので、上記のようないくつかの種類の事業所があるということを念頭に置いた上で、情報を調べたり、見学に行ってみてください。

①事業所のスタッフの対応
実際にスタッフの方とのコミュニケーションをとってみるのはとても重要です。見学に行くと、事業所や訓練風景の見学や、面談室で実際にスタッフの方と話す機会がありますので、相性や雰囲気はどうかぜひ確認してください。障害特性によっても事業所対応の得意不得意がある場合もありますので、何の障害がある方の対応を得意とされているかも確認してみましょう。

②プログラム・訓練内容について
各事業所により、実施している訓練内容は様々です。

例えば、
・生活リズム、ビジネスマナーや基礎的なPCなど一般的なスキルを身に着けたい
・専門性に特化したスキルを身に着けたい
・企業実習などを通して実践の中で訓練したい
・自己分析や障害受容などについて伴走してほしい

などです。
就職したい業界や職種が決まっておらず漠然としている場合は広く一般的な支援を行っている事業所が合うかもしれませんし、逆に就職先のイメージがすでにあり、そこに特化した支援を行っているところがあればそのような事業所を選ぶのも1つです。就労移行支援を利用し就職活動していくにあたってご自身に何が必要なのか、逆に何が必要ないのか考えてみましょう。

③就職者輩出者数と定着支援体制
就労移行支援事業所から実際に就職される方の数は、事業所によってかなり差があります。利用者の方にとって適切な進路選択として福祉的就労を選ぶことがあるなど、必ずしも一般就職者数が多いことだけが優良な事業所というわけではありませんが、就職後の定着率や支援の方法なども併せて確認しておくことは1つの参考になります。

特に、精神障害のある方は他の障害種別の方に比べ離職率が高く、平均勤続年数についても、短い傾向がみられます。(3か月離職率が30.1%、1年の離職率に至っては50.7%に上昇 出典:障害者雇用の現状等 平成29年9月20日 厚生労働省職業安定局

就職後にどのようなサポートが受けられるのか、うまくいくケース、うまくいかないケースにはどんな事例があるのか等参考に質問してみるとよいと思います。

④通勤距離
基本的に毎日通所することになるので、自宅からどれくらいの距離がかかるのか確認するのは大切です。遠すぎると毎日の通所となると負担になってしまいます。一方、一定の距離も今後の就職に向けてそれが1つの通勤訓練になる側面もありますが、無理のない範囲で通えるところがよいでしょう。

 

失敗しないために抑えておくポイントは?

利用する事業所を選ぶ際、そもそも「自分が就労移行支援で何の訓練をすれば、就職につながっていくか」ということを棚卸して、それができる事業所なのか確認するために質問できるといいと思いますが、そもそも自分に必要な支援は何か?をきちんと認識するのも難しいことがあると思います。その際は、ご自身の状況を説明した上で「この事業所ではどんな支援を受けることができるのか」「自分にはどんな支援が必要なのか」という相談をしてみてください。

そこで丁寧に具体的に説明してもらえ、分からないところは質問できたりとコミュニケーションがとれるようであれば、実際に利用したときもそのような個別支援を受けることができるでしょう。

 

まとめ

就労移行支援事業所は多数事業所があり、自分に合うかどうか確認するためには見学、体験を行ってみて自分で判断するのが大切です。
その経験はその先の就職先を選ぶ際にも生きてきますので、まずはぜひ事業所に見学・相談に行ってみてください。