精神障害者に在宅ワークが向いていない5つの理由

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2021/2/17
2021/2/22

精神障害者に在宅ワークが向いていない5つの理由

働き方改革による副業の解禁など、従来の価値観に縛られない新しい働き方を模索する動きが活発になっています。その一つとして注目されているのが「在宅ワーク」です。

通勤不要で時間を有効活用できる、好きな時間だけ働ける、煩わしい人間関係も少なくて済む…などメリットばかりに目が行きがちですが、実は精神障害者には不向きな働き方かもしれない理由があります。その根拠について解説します。

 

精神障害者に在宅ワークが不向きなのは「自己管理の難しさ」にある!?

精神障害者に在宅ワークは不向きかもしれない。そのように考えられる理由はいろいろ挙げられますが、端的にまとめてしまうと「自己管理の難しさ」にあります。

仕事場は自宅ですから「通勤という気持ちを切り替えるきっかけがなく、働き方によっては勤務時間も明確ではありません。実際、筆者自身も障害当事者として在宅ワークをしていますが、「誰にも指示されず、自分一人で仕事と生活を管理する」のは思っている以上に難しいものです。

 

精神障害者に特に不向きな在宅ワークの種類や職種

具体的な在宅ワークの種類や職種ごとに「向いていない仕事」について考えてみたいと思います。イメージしていただきやすいよう具体的な障害名も挙げていますが、あくまで一つの例とお考えください。

【データ入力】
例えば、クラウドソーシングのサイトをのぞいてみると、特に案件も多くて人気も高いのが「データ入力」の仕事です。特別なスキルが不要で、キー入力ができれば仕事ができるというのが人気の理由でしょう。しかし、誤字脱字や形式の指定など、正確性が求められる仕事でもあります。この点を考えると、注意欠如の傾向がある「ADHD(注意欠如多動性障害)」の方には向いているとは言えません。また、必要以上に完璧な仕事にこだわる「強迫性障害」や「不安障害」がある方も、時間がかかりすぎてしまうためオススメできません。当然、読解が困難な「LD(読字障害)」がある方にも不向きと言えるでしょう。

【軽作業(梱包・シール貼り等)】
データ入力同様、スキルや経験が不要なため人気の軽作業の仕事。時間をかければ誰でも出来てしまう仕事ですが、大量の作業を求められることも多いためスピード勝負になります。そのため、納期へのプレッシャーが「うつ(気分障害)」の方にとって思っている以上の負担になる可能性があります。また、手足を同時に動かす事が極端に苦手だったり、手先が不器用など日常生活に支障をきたす発達性協調運動障害がある発達障害者にとって、向いている仕事とは言えない作業内容も少なくありません。

【Webライター】 「文章力」というスキルが求められるため難易度は上がりますが、比較的案件数が多いWEBライターの仕事。分野によっては自分の得意な知識や経験で勝負できるという良い面もあります。一方で、文章作成というのは「ここで完成」「これで完璧」という終わりが見えない仕事です。スケジューリングが苦手だったり、先延ばし傾向があったりする発達障害の方だと「時間ばかりかかってしまい終わらない」という結果になりかねません。また、強迫性障害や不安障害のこだわりすぎる傾向や、読字障害のあるLDの方も、データ入力の同様の理由で困難な仕事と言えるでしょう。

なぜ向いてない?在宅ワークに影響する主な精神障害と症状

仕事の種類・職種ごとに不向きな理由を見てきましたが、今度は障害種別ごとに在宅ワークとの相性を確認して「なぜ向いていないか」を考えてみましょう。

【うつ病(気分障害、双極性障害)】
在宅ワークでは、基本的に仕事の進捗は自己管理です。通勤も必要なため生活リズムの管理も自分で徹底する必要があります。その点を考えた時、生活リズムの乱れによる体調不良を起こしやすいうつ病(気分障害、双極性障害)の方にとって、在宅ワークのハードルは高いと言えるでしょう。また、「気軽に誰かに助けを求められない」という在宅ワークの性質上、自らへの責任感から過度のプレッシャーがかかっていしまい、体調が悪化してしまう可能性もあります。

【強迫性障害、不安障害】 強迫性障害や不安障害の方が持つ「完璧主義」の性質は、物事を悪い方向に向けてしまう可能性があります。在宅ワークでは、クオリティを高めるためにどこまでも「作業できてしまう」環境にありますので、仕事にのめり込んでしまい、心身の調子を崩してしまうきっかけにもなりかねません。

【ADHD(注意欠陥・多動性障害)】 基本的に在宅ワークは、仕事の正確性を自己責任で担保する必要があります。そのため、注意欠如があるADHDの方にとって気軽にチェックをお願いできるチームメンバーや上司がそばにいない在宅ワークは難易度が高くなります。上司や進捗管理する人がいないのは気楽そうに思えますが、「先延ばし癖」がある方にとっては却って仕事がしにくい環境と言えるでしょう。また、障害によっては「飽きっぽい」という性質もあります。在宅ワークはスキルが低いうちは単純作業が多くなりますので、飽きっぽい方にとってもやはり向いているとは言い難いのが正直なところです。


精神障害者に在宅ワークが不向きな理由は5つ

ここまで実際に在宅ワークをしている障害当事者でもある筆者が「精神障害者に在宅ワークが向いていない理由」を考えてみました。これまでに挙げた精神障害者に在宅ワークが不向きな理由5つをまとめてみましょう。

  1. 仕事の進捗も生活リズムも自分で管理しなければならず、結果的に体調悪化のリスクがある
  2. 仕事のクオリティは自己責任のため、不安やプレッシャーと常に隣り合わせ
  3. 「いつまでも仕事ができてしまう」環境のため、一定のクオリティで切り上げる能力が必要
  4. チェックのお願いも相談も気軽にできない環境のため、孤独・孤立感がある
  5. スキルが低いうちは単純作業が多くなる

もちろん在宅ワークには、通勤不要、体調に合わせて働きやすい、人間関係などメリットがたくさんあることも事実です。実際に筆者自身も現在は在宅ワークで(なんとか)生計を立てています。自分の特性を正しく理解し、自分に合った仕事に取り組むなら在宅で働くことも十分可能です。

「障害者向けのクラウドソーシングサービス」や「全労働日在宅勤務可の企業」、「副業の解禁」など、少しずつ在宅ワークを後押しする環境も整いつつあります。

精神障害者が働きやすいとは決して言えない世の中ですが、一人ひとりが自分に合った働き方を自ら選べるような社会の到来が望まれます。