適応障害になったら仕事は続けられる?続けるための支援や働き方の工夫について

自分の症状を知る
仕事
適応障害
2021/10/1
2021/10/1

適応障害は、うつ病の前段階の状態と言われ、うつで治療を受けている方は70万人ほどと推計されているので、実態としてはより多くの方が適応障害のような状態・症状を経験したことがあると考えられます。

誰でも経験する可能性のある適応障害ですが、聞いたことはあるけどどんな状態なのかピンと来ない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分ではちょっと頑張っているだけと思っていたけど、体調に変化があり病院を受診すると心療内科や精神科を勧められ、診断が出ることで初めて認識する、ということもあるかもしれません。

ここでは、どんな状況で適応障害になることがあるのか、適応障害になった場合にどんな働き方や工夫ができるのか、詳しく見ていきましょう。

 

 

適応障害とは?

適応障害とは、「ある出来事などがストレス要因となり、そのストレス要因によって引き起こされる情緒面や行動面のストレス症状によって、社会的機能が著しく障害されている状態」とされています。適応障害は、ストレスの原因がはっきりしていることが特徴です。

症状としては、抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状があります。また行動面では、行きすぎた飲酒や暴食、無断欠席や当日欠勤、言葉がきつくなるなどの攻撃的な行動がみられることもあります。勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には元気が出て、好きなことを楽しむことができる場合もあります。

適応障害への対処法としては、原因となったストレスから離れるのがよいとされます。例えば職場の人間関係がストレスの原因だった場合、その職場から離れることが理想です。完全に離れることは難しくても、仕事のスタイルや環境を帰るなど何らかの対処が必要です。なかなかその工夫が難しかったり、感じるストレスが高い状態が続くと、適応障害からうつ病など他の精神疾患へ移行してしまうこともあるので注意が必要です。

働く中では、入社、異動、昇進、人員配置の変化、担当業務の変更など、自分の意志と関係のない変化にも対応しなければならないことがありますし、多忙による心身の疲労も立派なストレスになります。また、仕事だけではなくてさまざまなライフイベントもストレスの要因になりえます、例えば、結婚、子どもが生まれる、引っ越し、家族の病気や介護といった誰にでも起こりうる環境の変化が、一見ポジティブに見えるようなものも含めて影響することがあります。

 

 

適応障害だと仕事にはどのような影響がでるのか?

適応障害になったら仕事は続けられる?続けるための支援や働き方の工夫について

職場で適応障害になる場合、業務量が多すぎる、長時間労働、人間関係、業務とのミスマッチなどが原因となることが多いです。
出勤できたとしても、業務に集中するのが難しくぼーっとしてしまったり、いつもはしないようなミスをすることがあります。また、人との距離感をうまくとれずコミュニケーションに齟齬が生じたり、時には攻撃的な気持ちになることもあり、結果として仕事に行くことを怖く感じる、また実際に仕事に行くことができないという状態になることがあります。

職場での対処としては、まずは原因となっている労働環境の改善の工夫をすることが必要です。業務量や労働時間の調整、人間関係を調整するための配置換えや働く場所の工夫、相性の良い仕事への転換などです。その工夫がうまくはまると、スムーズに回復することもありますし、上手くいかない場合は休職をする必要が出てきます。

 

 

適応障害で受けられる支援

まずは医療機関を適切に受診し、主治医の指示にしたがって休息をとることが一番大切です。薬を処方された場合は服薬をし、日常生活も整えていきます。休職をする場合は、一定期間治療を経て回復してきたらリワークプログラムなどの復職支援を受けるのもよいでしょう。自分の気持ちや身体の整え方から、職場でのコミュニケーションまで幅広いサポートを受けることができます。長期で休職する場合で、よりしっかりと復職へ向けた訓練がしたい場合は就労移行支援事業所など、復職や転職のサポートを受けられる支援機関を利用することができる場合もあります。

また、休職の場合は健康保険から「傷病手当金」を受給できます。傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されるもので、休職して4日目から受け取ることができ、最長1年6か月受給できます。

 

 

適応障害になった場合の働き方の工夫

適応障害になったら仕事は続けられる?続けるための支援や働き方の工夫について

適応障害になる過程では、ストレスがかかっている状態だと本人が自覚できていたとしても、なんとかその状況や環境の中で順応しようと頑張りすぎた結果であることが多いです。
まずは自分が何をストレスに感じやすいのが、どんな環境であれば無理なく働き続けることができるのか、という自分の特性について理解することが大切です。

例えば部署異動して、新しいチームのメンバーと働き始めた時に以前に働いていたチームとの勝手が違い、上司ともコミュニケーションの仕方が変わり不安や疑問を抱えている時。その働きにくいと感じている違和感をそのままにせず、上司に相談することが必要です。違和感や疑問を抱えたまま業務を続けてしまうと、時間の経過により小さなストレスも積もり積もってしまい、いつかそれが大きなストレスとなって抱えきれなくなってしまいます。

また、「期待されているのだから頑張らなければいけない」「頼まれたことはきちんとこなさなければ嫌われてしまう」などのマスト思考や不安の高い考え方をする傾向がある方が、適応障害を発症してしまうことがあります。考え方を柔軟にするためにかかりつけの主治医やカウンセラーなどに相談して、自分自身のものの捉え方、考え方を柔らかくする方法を身に付けていくことで力を抜いて仕事をすることができるようになります。

 

 

まとめ

適応障害は、自分でも「このくらいのストレスは…」と考えがちなことが大きなストレス要因となることも多くあります。
つらいなと感じた時に軽視せず、ストレスを軽くするセルフケア方法を実践することや、相談相手を持つなど、早め早めに対処をすることが回復を早くします。

本格的なうつ病になってしまうと、治療や休息期間も長く必要となってしまいますので、ぜひ勇気をもって、自分を大切にする時間をとってくださいね。