適応障害で仕事に行くのが怖いと感じたら、どんなケアが有効か?

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仕事
適応障害
2021/2/15
2021/9/14

適応障害で仕事に行くのが怖いと感じたら、どんなケアが有効か?

はじめに

適応障害は、特定の出来事や状況が、大きなストレスとして感じられ、憂うつ感や不安、不眠や行動ができないなどの症状が現れる精神疾患です。

必ずしもネガティブでショッキングな出来事だけではなく、社会でよくある人間関係や仕事の内容、人事異動や転職など環境の変化などが原因になることが多く、中には結婚や昇進など一見喜ばしい出来事でもその人にとって大きなストレスとなり、症状を引き起こすことがあります。

基本的にはその特定のストレスや状況から離れると解消していきやすい病気です。また、うまくそのストレスから離れることができないと、適応障害が長引いたり、経過によって他の精神疾患の診断基準を満たしうつ病などに診断名が変わることもあります。

就業中に、仕事での出来事や環境が原因で症状が現れている場合は、まずその仕事から離れて休養することや、ストレスの要因が取り除けるように業務や人間関係、環境を調整することが必要になります。

 

仕事に行くのが怖いと感じる原因は?

適応障害では、仕事が原因の場合、憂うつ感や不安などの症状が現れ、しばしば仕事に行くのが怖い、また実際に仕事に行くことができないという状態になることがあります。
どのようなケースがあるかみていきましょう。

残業が多く、頼れずに抱え込んでしまうケース
例えば、業務量が多すぎて連日の残業が常態化している、1つの仕事を分担できずに1人で回さなければならない、ノルマが厳しく達成を強いられている、というような状況で、「なんとか回さなければならない」と必死に取り組んだ結果として心身の体調に影響が出て、行かなければならないと分かっているのに行くのが怖い、行けなくなるというケースです。

相談相手がいないか、しにくいという状況や、そもそも業務量が多くしなければならないことに追われてしまうような環境で、責任感を強く持ち取り組んだ結果として現れます。

周囲の人と価値観の違いや人間関係が影響するケース
一緒に働く人との仕事の進め方や価値観の違いから、自分らしい自由な意思を持ちながら働くことができず、症状として現れてしまうケースです。

暗黙の了解や同調を求められるような風土で、他人からの評価や人の目を気にしがちになり、かつ相談相手もいないような状況では抑圧的な環境となってしまいストレスとなります。

また、ハラスメントがあるような職場環境でも、人間関係で大きなストレスとなりえます。

業務とのミスマッチが影響するケース
仕事内容自体とのミスマッチも影響します。
例えば、1人でもくもくと1つのことに取り組むのが得意な人に対して、新規飛び込み営業など、その人の本来の強みとかけ離れた業務を担当せざるをえない状況などで症状を引き起こす原因となりえます。

以上のようなことが原因となり、適応障害を引き起こす原因となります。

また、元々その人がもっている考え方のパターンや気質の影響もあります。繊細で真面目、手を抜くことができない、臨機応変が苦手など、物事に対する捉え方や姿勢が適応障害に罹患しやすい特性と言えます。

しかし、その特性だけで症状が引き起こされるわけではなく、環境や出来事との相互作用の結果が適応障害として現れてくるのです。

 

どんな対策が有効か?

適応障害で仕事に行くのが怖いと感じたら、どんなケアが有効か?

まずは休息
適応障害は、症状が現れてしまった場合には、まずストレスの原因から距離をとることや環境を変えることが大切です。医療機関に受診する場合は、医師の判断で必要があれば休職や服薬の支持を受けてください。

睡眠や食事などを十分にとり、運動などを適度に取り入れ、生活リズムを整えることも大切です。できれば散歩で外に出かけて日の光を浴びるとセロトニンが分泌されてメンタル不調を軽くしていく効果もあります。

生活リズムを整え、仕事に復帰した後もできるだけそのリズムを崩さないようにすることで、身体の調子が崩れにくくなり、変化があったときにも気づきやすくなります。

考え方を柔らかくしていく
また、適応障害を発症する人は、行動のパターンや考え方・物のとらえ方が偏っていることがあります。復職することや、環境を調整してまた仕事に取り組んでいくにあたって、その人自身の考え方を柔軟にすることで、同じような状況がまた起こったとしても症状が出にくくなるようにコントロールしていくことができます。

よく用いられる方法としては、認知行動療法というカウンセリングの手法があります。通院している医療機関で主治医や専門家の指示を受けながら取り組むことが望ましいですが、実際に仕事をする際も、自分で「あ、また自分の考え方のパターンがでてきたな」と認知の偏りに気づき、自分のスキルとして活用していくことができるものです。

だんだんと自分で自分の思考パターンを客観的に捉えることができるようになると、再発防止に有効と言えます。服薬や生活リズムを整えることろ合わせて取り組んでいくことが大切です。

自分にとって安心して話せる相談先を持つ
何か困りごとが出てきたとき、自分からSOSを発信できるようになるというのも大切です。職場の人、家族、友人、主治医など、全員と常に上手くコミュニケーションをとれる必要はありませんが、「この内容はこの人に相談できる」「自分で抱え込まずに普段から気楽に話せるようにしておく」ことは自分を楽にしてくれます。

特に職場においては、業務内容や環境、一緒に働く人の調整をしながら復帰していくことが多いと思われます。その際、自分の困り感をきちんと伝えることが、その先に自分も一緒に働く同僚の方も働きやすくなるために大切なことです。
伝えるのが苦手な方は、紙に書いてみたり、定期的に上長を面談ができる時間を確保してもらうなど、自分がやりやすい方法を見つけてみてください。

 

その他注意すべきこととは?

同じ適応障害と診断される場合でも、何がストレスとなるかは人や場面によって大きく違います。そして、ストレスの原因となる場面や環境から離れると軽快しやすい適応障害ですが、対策が不十分でその環境にまた戻ってしまうと、再発したり、悪化することもあり得ます。

そうならないためには、自分にとってはどのような「場面」「出来事」「環境」がストレスになりうるのか把握しておくことが重要です。
同じ職場に戻らず、異動や転職をすることになる際にも、何が自分にとってストレスになうるのか把握しておくことで、再発につながりにくい選択をすることが可能になります。
実際に自分を理解していく際に考えていく内容としては、

    • 職場の雰囲気やどんな業務のスタイルがよいのか
    • 苦手なタイプの人や、そういった際に使えるコミュニケーション方法
    • どんな仕事で自分の強みを生かせるか
    • 自分のキャパシティ
    • 自身の性格や物事の捉え方、考え方の傾向 などがあります。

 

まとめ

適応障害になる過程では、なんとかその状況や環境の中で順応しようとして、気づいたら深刻な状態になっていた、というパターンが多いです。
再発を防止するために、症状がある程度落ち着いた後に、自分の特性やどのような環境・出来事が自分にとってストレス要因になるか知り、無理なく働けるように焦らず準備していきましょう。
その過程においては辛く感じることもあると思いますが、医療機関や専門家、身近な正直な気持ちを話せる人などにも相談しながら進めてみてください。