ストレスに起因する障害の種類一覧(適応障害・PTSD・うつ・心身症など)

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うつ病
心身症
適応障害
2021/2/16
2021/2/22

ストレスに起因する障害の種類一覧(適応障害・PTSD・うつ・心身症など)

はじめに

ストレス社会が問題視される中、ストレスに起因する障害に悩まされる方も増えています。この記事では、適応障害やPTSD、うつ、心身症、自立神経失調症など、ストレスによる障害にはどんな種類があるのかについて、一覧にまとめてみました。
それぞれの特徴や症状を、理解しておきましょう。

 

適応障害

適応障害は、耐えきれないほどのストレスを抱えた時に、心身へ様々な症状がで出る疾患です。患者は、50人に1人いると言われ、女性の発症者は男性に2倍に及ぶなど、女性の割合が高い特徴があります。適応障害のきっかけは、結婚や離婚、大切な人の死、家庭や仕事の環境の変化など幅広く、元々のストレス耐性によって、発症するタイミングはそれぞれです。

気分が落ち込むなどの不安症状、眠れない、頭痛やだるさなどの身体の症状、暴飲暴食をしてしまう、仕事に行けないといった生活の変化など、現れる症状も人によって大きな差があります。

 

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

PTSDは、生死に関わるような事件や事故、忘れられない恐怖体験などの記憶がトラウマとなって残り、時間が過ぎても思い出される疾患です。具体的には、災害や犯罪、交通事故、暴力や虐待などが引き金となります。

災害や事件、事故などから1ヶ月以上過ぎているのにも関わらず、日常生活を送る中で、急に不安が押し寄せる。ストレスの原因となる場所や似た状況に身を置くと不安定になるなどといった症状がみられます。

PTSDは、安心、安全な場所に身を置くことで、時間とともに回復が期待できます。しかし、半年以上経過しても症状が変わらない場合は、投薬や認知行動療法などの治療を検討しましょう。

 

急性ストレス障害(ASD)

急性ストレス障害は、強いストレスやショックが原因となる疾患です。災害や犯罪、事故などに遭い、ふとした時に当時の記憶が思い出される、当時の夢を見る、落ち着いて生活できない、毎日が楽しくないなどといった症状が出ます。

ASDの状態が1ヶ月以上続くと、診断名がPTSDに変わります。災害や事故などの直後ではなく、数ヶ月や何年も経ってから急に記憶が思い出され、症状がでるケースもあります。

 

うつ病

うつ病はストレスが原因で、脳の機能に変調が起きる病気です。日本では、15人に1人がうつ病を経験すると言われているほど、よく知られている疾患です。うつ病になると、集中できない、すぐに涙が出る、眠れない、食欲がない、人と会いたくなくなる、死にたいと考える、頭痛やだるさ、息苦しさといった症状が出ます。しかし、ストレス性の病気の中では、比較的治療しやすいのも特徴です。

うつ病には、投薬治療を行う方法や薬に頼らず、カウンセリングやグループ療法で進める方法などがあります。いずれにしても、ストレスの少ない環境に身を置いて、時間とともに回復を目指すなど、医師の診断の元で、症状や状態にあった治療を行いましょう。

 

心身症

心身症は、ストレスを抱えた時、身体へ起きる不調が起こる疾患です。心身症という名前の病気ではなく、心身症によって、ぜんそくや過呼吸といった呼吸器の病気、高血圧や狭心症、心筋梗塞といった循環器の病気、胃潰瘍や心因性嘔吐、肝炎など消化器系の病気が生じます。また、神経、皮膚、整形外科や外科、産婦人科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科などに関係する、さまざまな病気が引き起こされることもあるでしょう。

心身症の場合、病気の治療のみでは再発の恐れがあると言われています。ストレスの根源を解決するため、メンタル面と症状の両方の治療が必要です。

 

自律神経失調症

自律神経失調症は、ストレスが原因で神経のバランスが乱れる病気です。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、バランスよく働くことで身体をコントロールしています。

自律神経は全身にあるため、めまいや吐き気、息苦しい、頭痛、腹痛、不眠、冷えなど人によって症状がまったく違う点も、自律神経失調症の特徴です。不調の原因が自律神経にあるのか、それとも他の病気なのか、まずは診断を仰ぎましょう。

 

転換性障害

転換性障害は、ストレスが原因で、自分の身体をコントロールできなくなる疾患です。例えば、歩けなくなる、話せなくなる、目や耳の機能が落ちる、匂いや味、熱い冷たいが分からなくなるなど、五感の不調が生じます。

しかし、人によって症状の程度はさまざまで、軽度の場合は自然に治ることもあります。ストレスの度合いや症状が重い場合は、完治まで時間がかかるため、焦らずにじっくり向き合いましょう。

 

その他のストレスに起因する障害

ストレスに起因する障害の種類一覧(適応障害・PTSD・うつ・心身症など)

1.睡眠障害
ストレスが原因で、眠れない。寝ているはずなのにすっきり起きられないなどという症状が出る場合があります。これが、睡眠障害です。生活習慣を見直すだけで、改善する場合もありますが、ストレスが原因の場合は、メンタル面からのアプローチを行う必要があります。

睡眠障害の原因で代表的なものは、身近な人の死や仕事でのトラブル、人間関係などです。布団に入ってもなかなか眠れない、夜中目が覚めてしまい、その後寝付けない。朝早く起きてしまう、眠った気がしないという場合は、医療機関を受診してみましょう。

2.摂食障害
摂食障害は、ストレスが大きく関係している疾患です。食べ過ぎてしまう過食症と、食べることを拒否する拒食症があります。太らないために食べたものを吐き出す、過食嘔吐の人も多くみられます。太っていることを指摘された、痩せていると周囲が優しくしてくれる、不足している愛情を食べることで満たしているなど、原因はさまざまです。

食べない場合も、吐く場合も、食べ過ぎる場合も、健康へ悪影響を与えるため、早めの治療が求められます。

一方、異食症も、ストレスが原因の疾患です。摂食障害のひとつでもあり、髪の毛や土、紙、氷など、栄養のないものを口にします。原因は、ストレスや、無理なダイエットによる栄養不足、その他精神障害の可能性があります。

しかし、正しく食べても治らない場合は、自閉症や知的障害、認知症などを疑ってみることも大切です。

 

 

【出典】

適応障害 あらたまこころのクリニック
PTSD 厚生労働省
心的外傷後ストレス障害 医療法人和楽会
急性ストレス反応(障害) こころの風クリニック
心身症について 杉浦こころのクリニック
解離性(転換性)障害について 杉浦こころのクリニック
摂食障害 たわらクリニック