うつ病と適応障害の違いとは?

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2021/5/1
2021/6/10

うつ病と適応障害の違いとは?

はじめに

よく聞く精神疾患に「うつ病」と「適応障害」がありますが、この両者の違いを正確に説明できる人はそれほど多くないのではないでしょうか。うつ病と適応障害の違いを端的に表現すると、何かストレスを感じることが起きた際に心身に不調が出るのが適応障害で、そのようなストレスを感じるようなことが何も起きていないのに心身に不調があるのをうつ病といいます。

ただしこれは、とても大まかな分類です。一口に適応障害といってもその程度はさまざまですし、ストレス耐性についても均一ではありません。それはもちろん、うつ病についても同じです。人間の病気なので、その程度や症状はさまざまというわけです。
そこで今回は混同されがちなうつ病と適応障害についてそれぞれの概要と違いを解説し、運動をする際の注意点について解説します。

 

うつ病とは

気分が常に落ち込み、何をする気にもなれない、眠れない、疲れやすいといったのがうつ病の全体的な症状です。何か内臓などに疾患があるわけではなく、精神的な不調によって体に症状が出てしまうのが特徴です。
もちろん人間なので、誰しも気分が落ち込んだり冴えない気分の日はあるでしょう。しかしこれは一過性のもので、ほとんどの場合は何か落ち込むような出来事があった、体調が悪くてふさぎ込んでしまったといったように、何らかの理由があります。しかしうつ病の場合はそういった引き金が特にないのに発症してしまい、原因がよくわからないままに症状が悪化してしまうこともあります。

 

適応障害とは

先ほど解説したうつ病の症状と、適応障害の症状はよく似ています。そのため外見上の違いがわかりづらいことも留意しておく必要があるでしょう。ただし、うつ病と適応障害が決定的に異なるのは、引き金の有無です。

適用障害には必ず、うつ状態になってしまう何らかの理由があります。どんな人にもストレスに対する耐性がありますが、その耐性レベルを超えてしまうとうつ状態になり、これが適応障害です。その耐性レベルが低かったり、発症してしまうと症状が重いと適応障害であることが濃厚になります。最もわかりやすいうつ病との境界線は引き金の有無なので、何か心が折れるような出来事があってうつ状態になっているのであれば、それは適応障害であると考えるのが妥当です。
「適応」することに「障害」があるのですから、この名称のとおりです。

 

うつ病と適応障害の主な違い

うつ病と適応障害の違いとは?

うつ病と適応障害の違いを知るうえで、先ほどから引き金の有無について解説してきました。これが最もわかりやすい違いですが、それ以外にも違いがあります。

 

うつ状態の発症タイミング

1つめに注目したいのは、発症のタイミングです。適応障害の場合、強いストレスを感じてからすぐに何らかの症状が表れます。そして、そのストレスそのものから離れると症状も収まるため、何が引き金になっているのかがすぐにわかるのと同時に、その人は適応障害であることもわかります。これに対してうつ病は特に引き金になった出来事があるわけではなく、慢性的なストレスを受け続けた結果発症していることが多く、その原因と考えられるようなことから離れたとしてもすぐに良くはなりません。

 

楽しいことへの反応

そして2つめに知っておいていただきたい違いは、うつ状態になっている時の変化です。うつ状態になると何が起きても反応を示さなかったり、楽しいことがあってもそれに関心を示さないと思われがちですが、適応障害の場合はそうではありません。うつ状態になっていてもそれはストレスに対して適応できていないだけなので、何か自分の好きなこと、楽しいことがあればそれにしっかりと反応することができます。

 

性格的傾向

3つめの違いは、性格です。うつ病を発症する人には性格的な特徴があるといわれています。自分に厳しい人や几帳面な人、生真面目、凝り性、気を遣うタイプなど、これらの性格はうつ病になりやすいとされており、こうした性格の人が何か大きな挫折を経験したり環境が変わって継続的なストレスを受け続けるとうつ病になってしまう可能性が高くなります。適応障害の場合は特に性格的な傾向はなく、どんな性格の人であっても発症する可能性があります。

 

薬の効き具合

うつ病には、抗うつ薬がいくつかあります。これらの薬はよく効くことで知られていますが、適応障害の場合は薬があまり効きません。このことを踏まえておくと、薬を飲んでもあまり効かないという場合はうつ病よりも適応障害を疑うことができます。

 

運動をする際の注意点

うつ病と適応障害の違いとは?

うつ状態になると運動が症状改善に効果的であるといわれています。メタボリックシンドロームのように具体的に運動療法として確立しているわけではないのですが、運動をすることによってホルモンバランスが改善したり、外に出て日光を浴びることの効果などは誰でも想像しやすいのではないでしょうか。

うつ状態を抑える神経伝達物質に、セロトニンがあります。このセロトニンは軽い運動をしたり外で日光を浴びるなどをすると分泌されやすくなるため、うつ状態の改善に直接的な効果が期待できます。さらに運動をすることで食欲が増進するので、食べる楽しみが生まれます。これもうつ状態の改善には重要なことなので、運動がプラスになることはあってもマイナスになることはないでしょう。

マイナスになることはないと述べた運動ですが、運動であれば何でも良いというわけではありません。まず注意したいのは、運動に対する過度の期待とストイックになりすぎることです。「運動しなければ」と自分に義務を課して運動をするというのは、自分に厳しい人ほどやってしまいがちですが、それに体がついてこないと自分を責めてしまい、逆効果です。そうではなく、できることから始めて少しでも運動ができた自分を評価するというプラス思考が必要です。全く外に出ることも億劫だった人が外で10分間歩いただけでも、大きな前進なのですから。

 

まとめ

外見上の症状が似ているうつ病と適応障害について、今回はその違いを4つの点に集約して解説しました。これでおそらく、うつ状態にある人がどちらに属するのかがわかるようになると思います。うつ状態になったら運動が効果的だといわれていますが、それがかえって逆効果にならないための注意点も解説しましたので、まずはできることから1つずつ始めてみてください。