生きていくうえで仕事は重要。でも、うつ病になってしまったら休む勇気も必要な理由。

自分の症状を知る
うつ病
2021/7/16
2021/7/8

うつ病は、心の病だと多くの方に理解されていますが、実は脳の病気です。他の身体疾患が原因になったり、体質的にうつになりやすい傾向がある方もいますが、仕事をしている上で身近なのは、心理的なストレスが要因の1つとなるものです。

うつ病と診断されると、多くの場合休息を十分にとる必要があります。仕事をしている場合は、職場に相談し休職する必要があるでしょう。そんな時、どんな風に気持ちを整理していけばよいのか、みていきましょう。

 

 

仕事でうつ病になる原因とは?

うつ病は、職場の環境、プレッシャー、長時間労働など、さまざまな要因が重なることで脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなり、発病すると考えられています。仕事だけではなく、結婚や出産などの喜ばしい出来事や、災害などでも起こりえます。

また、何か特定の大きなストレスがあったとしても、それだけが原因とは言えず、環境と個人の相互作用の結果として症状が表れます。

「うつ病になる個人に原因があるのでは」という考えは少し短絡的で、その人が持っている気質は要因のひとつでしかなく、多くはその個人と環境との相互作用によるものです。
同じ環境で働いていても、誰もがうつ病になってしまうということはありません。 担当する業務の特性とのマッチングや、人間関係の相性、 個人がもともと持っている気質などがお互いに影響し合って、その結果としてうつ病の症状が出てくることがあるのです。
また、人によって持っているキャパシティは異なり、その人に合ったスタイルで仕事がしていけたら一番良いのですが、業務が多かったり、長時間労働があったり、上司との関係性がうまくいかないなどのきっかけで体調を崩すことがあります。しかし、それは誰にでも起こりうることです。
原因はひとつではありません。

 

 

長い人生の中での休息は誰にとっても必要

自分自身がうつ病になり、思いもよらず診断された場合、少なからずショックを受けると思います。受け止め方も人それぞれでしょう。

うつ病は脳の病気だと説明しましたが、脳も身体の一部です。無理に動かし続けると歪みが出てきて、調子が崩れるのは身体の他の部位と同じなのです。

重いものをよく持つ仕事で、腰痛が悪化し休むことになった、というのはイメージしやすいですよね。休まずに無理して続けると、どうなってしまうか想像できると思います。
心、脳も同じです。

過度な負担がかかっている状態であれば、十分に回復できるだけの休息をとる必要があります。十分休めれば、徐々に回復していきます。

完璧に症状がすぐになくなることは難しいかもしれませんが、その休みの間にケアの仕方や、今後どう付き合っていけばいいか学び、考えることもできます。

先ほどの例でいくと、重いものを持っても大怪我に繋がらない腰の使い方を学んだり、ストレッチのケアを十分に受けるなど対策ができます。これ以上は重労働は無理だなと思ったら、もっと違うやり方で働ける方法はないかと模索することもあるでしょう。

 

 

休むのに勇気が必要なのはなぜ?そこにヒントがある

うつ病となると、自分でも「気持ちの問題だ」「自分がまだ頑張れていないんだ」と考えてしまうこともあります。そうなってしまう原因として、

  • ストレスが高い状態になると自分のことを客観的に判断することが難しい
  • 精神疾患に対する正しい知識が不足していて、自分の中にも謝った認識があり認めたくない気持ちがある。また、同僚からも偏見を持たれるのではないかという気持ちがある
  • 休むことで会社に迷惑をかけてしまうという気持ちがある、また、要因が会社の環境である部分もあり付き合い方が難しい

などが上げられます。
しかし、この気持ち自体が、もうこれまで十分に頑張ったからこそ出てくる気持ちです。
業務量が多く長時間労働だったり、人間関係が上手くいかなかったり、そのような背景があるからこそ、どこか我慢したり頑張りすぎたりして、十分に自分に気をかけることができずに辛くなってしまうのです。
だとすれば、辛くない、自分に合ったやり方に軌道修正していく必要があります。

それはとても頭を使う作業ですし、心の体力も時間も必要です。会社を休んだ罪悪感や焦り、今後への不安を感じることもあると思いますが、休むべき時にしっかりと休むことが、次の一歩を踏み出す時のエネルギーになっていきます。

また、心配や不安が大きく心を支配してしまう時は、考えていることが自分のことではなく周囲のことを気にしてしまっている場合も多いです。

社会から見た自分、会社での立場、周囲の人との仕事や行動の差、家族からの意見など、自分以外の他者からの目線や価値規範に左右されてしまっている状況です。
これではなかなか気が休まりませんし、安心することが難しいです。

休むことは、そういった外部の刺激から離れて、自分を主人公にしていくことともいえます。マイペースに自分を取り戻して、十分な休息をとることができれば、徐々に自分らしさを取り戻すことができます。

残念ながら、職場や家族など身近な他者がなかなか理解を示してくれないこともあるかもしれません。それは多くの場合、うつ病への正しい理解の不足からくるものです。

一緒に医療機関を受診してもらうことで理解してもらったり、苦しい場合は距離を適切にとった上で自分の安心安全を確保するのが大切です。

 

 

まとめ

今回は、うつ病になってしまったときの休むことの大切さについてお話してきました。とはいえ、病気の受け止め方や、どう付き合っていくか考えがまとまっていくスピードには大きな個人差があります。

うつ病と診断されたことで、これでやっと休めると思った、という人もいますし、逆にすぐに受け止めるのは難しく、何年かかけて理解が追い付いていった、という人もいます。人によっては辛い作業でもありますので、自分ひとりで受け止めるのが辛いと感じる場合には、専門家を頼るのもよいでしょう。

医療機関や就労支援サービスを提供している機関のカウンセラーやソーシャルワーカーなどに相談することもできます。

また、うつ病に関しては、頑張りすぎることが悪化につながることがとても多いです。十分に休息をとり、その中でも自分に合った休み方、セルフケアの仕方を見つけて自分のものにしていってください。

仕事を離れても、求めていけば頼ることができる社会資源も案外たくさんあります。自立は、依存先を沢山持っていることで成り立ちます。自分が心を休めることができる場を作っていってくださいね。